TBS『メイドインジャパン』、NHK『逆転人生』、そしてテレビ東京の『ひねくれ3』と、ここ数カ月でMCを務める新番組が3つスタートした、南海キャンディーズ・山里亮太。

さらに、エッセイ『天才はあきらめた』(朝日文庫)、短編妄想小説集『あのコの夢を見たんです。』(東京ニュース通信社)、番組本『生! 池上彰×山里亮太 深読みニュース道場』(角川書店)などの書籍も続々と出版され、テレビ以外にも活躍の場を広げている山里は、この春最も大躍進を遂げている人の1人といっても過言ではありません。

8月には中野サンプラザでの単独トークライブ『山里亮太の140』も控え、ますます活動に注目が集まる山里。ラフマガ編集部は、現在の心境や、新番組にかける意気込みを聞いてみました。

「どんだけ運がいいんだよ、って」

――この春、MCを務める3番組がスタートし、なかにはゴールデンの単独MCの番組も含まれていますが、今の率直なお気持ちは?

「超ラッキー」って感じですね。どれも面白い番組で、そこにMCとして関わらせていただけるなんて、どんだけ運がいいんだよ、っていう。それに感謝しまくっている状態です。

――好調の要因はなんだと思いますか?

本当に“運”ですね。いやぁ、よかった~!って感謝しかないです。たぶん“ここが評価された”とかじゃないと思います。

――強いて挙げるとしたら?

う~ん……実は、『ねほりんぱほりん』もそうなんですけど、NHKさんにはこれまでも番組に出していただいていて、その制作の方々が、新番組をつくる制作陣に「山里っていいよ」って伝えてくれていたみたいで。

ほら、伝言ゲームって途中で内容が変わることってあるじゃないですか? きっとそんな感じで、「いいよ」ぐらいだったのが「すごいよ」に変わっていって、『逆転人生』のようなすごい番組に呼んでいただけたんだと思います。

――山里さん自身が“逆転人生”みたいなところもあると思いますが。

確かに。もともと、こんな番組のMCをやらせてもらえるような人間じゃなかったですから。「気持ち悪い」とか言われたり、女性からも「石めくったら虫がいた」みたいな顔で見られたり。

そんな人間がMCになれるなんて、ホント大逆転ですよ。たぶん、ずっとおかっぱだった髪型を少しアレンジするようになったからじゃないですかね。ちょっと痩せたし。そこがデカいんじゃないかという説もあります(笑)。

――(笑)。新番組に書籍の執筆、さらにはネットニュースの名誉編集長就任など、様々なジャンルでの活躍がめざましい山里さんですが、その活動の原動力はなんですか?

それは、「めちゃくちゃがんばってる人たちへの嫉妬」ですね。

――こうして活動の幅が広がってくると、嫉妬心は薄れてきませんか?

いや、そんなことはないですね。ありがたいことに、オードリーがつい最近武道館ライブ(『オードリーのオールナイトニッポン 10周年全国ツアー in 日本武道館』)をやってくれたんで、ガンガン炎は燃えてます。

ほんとにすごい人たちがいっぱいいる世界でビビってしまう自分がいるんですけど、それってまだ努力の余地がたっぷりあるってことじゃないですか。ありがたいことに、今はお仕事をたくさんいただいていて楽しいんですが、これらは努力を怠った瞬間に、全部なくなるかもしれないものなんで。

こんな楽しい、嬉しい仕事をなくさないためにはどうするべきかを考えたら、自然と“努力しなきゃ”って気持ちが生まれます。

サボりたいときの“自分への戒め”は…

――山里さんが世間に求められている理由は、ご自身ではどんなところにあると思われますか?

こぢんまりして聞こえるかもしれないですけど、僕、スタッフさんからの言葉で1番嬉しいのが「助かったよ」や「山ちゃんのおかげで成立したわ」なんです。これは想像ですが、そういう感謝の言葉をずっと“嬉しい”と思ってやってきたことが、求めてもらえる理由につながったのかな?とは思います。

番組制作のプロであるスタッフさんたちが、寝る間を惜しんでつくったものを最後に僕に全部くれるなんて、感謝しかないですよ。そんな人たちが面白いと思ったものを、きちんと実現しなきゃって気持ちでずっとやってます。

そういう意味では、破天荒なことはできてないかもしれないけど、あまり企画を邪魔をしないということも、もしかしたら理由のひとつなのかもしれないですね。

――活躍の場を広げるにあたって、心がけていることはありますか?

“自分を奮い立たせられるようにしておく”ということですね。そのおかげでサボることからも逃げられるし。「ホントこれ、ありがたいんだよ?」「今寝てていいの? ありがたいのに?」って自分に言い聞かせて、そのために何をするべきかを考えます。

そんな風に、いただいた仕事に対する感謝を忘れずにいれば、ご迷惑をかける率も減るかなぁとか。“ありがたい”と思う気持ちを大事にすべきかなと思います。

――“ちょっとサボりたいな”って思うこともあるんですか?

もちろん、めちゃくちゃあります。すごく早い時間に寝ちゃったり、お酒を飲んじゃったり。「あ、今調子に乗ってんな」って思ったら、例えば今なら「オードリーの武道館ライブ」を思い出してお酒を控えたり、同年代のMCや先輩たちの技を見て、気を引き締めたりしています。

――自分で自分を定期的に戒めるんですね。

そうですね。僕はたぶん、才能だけで勝ち取ってる仕事がひとつもなくて、“運と縁と努力”でやってるんで。だから、定期的に自分を戒めないと迷惑かけちゃうなって思うんですよね。

普通の人の物語だからこそ、前向きになれる「逆転人生」

――新番組『逆転人生』(NHK)は、主人公たちの数奇な人生を追体験しながら、どん底でも希望を捨てない人間の強さを描いたドキュメントバラエティですよね。

テーマが「逆転」という番組なんで結末はわかってるんですが、あまりに再現VTRがリアルで、途中で一緒に絶望しちゃうんですよ。「こんなの無理だよ、どうやって勝つの?」というどん底の状態から勝つ爽快感を味わえて、すげぇなぁって感心しちゃう番組です。

この番組何がすごいって、特別な人間が起こした奇跡の話じゃないんですよ。“普通の人”だから、自分と重ね合わせて考えられるんです。壁にぶつかったときは逃げるのが普通で、越えられたらすごいんですけど、自分でもできるような越え方をするんですよ。

それを見ると「じゃあ今、自分の目の前の壁って越えられるじゃん。だってこうやって越えてる人がいるんだもん」って、前向きになれると思うんですよね。

自分の国を「すごい」と思うことは大切なことだと思う

――『メイドインジャパン』は、日本で暮らす外国人が、“日本一素晴らしい”と思ったメイドインジャパンの製品を携えて、故郷に里帰りする様子に密着するバラエティですが。

この番組では、自分たちが普段使ってるものが、当たり前にあるものじゃないってことに気づくんですよ。持ち帰る場所によっては「これは魔法のアイテムだ」って喜ばれるんですけど、それはただの炊飯ジャーだったり、ただの鍋だったりするんです。その様子を見ていると、僕らが日常的に使っているものが、実はすごいものだったんだっていうことが再確認できるんですよね。

「日本人は魔法使いなんじゃないか」って言われることもあるんですけど、そういう風に外国の人から褒められるのってすごいことだなぁと。今は「“メイドインジャパンってすごいんだぞ”って言うけど、それ言ってんの日本人だけだよ」って時代じゃないですか。

そういう愛国心みたいなものを鬱陶しく思う人もいるけど、「いやいや、もったいないよ。自分の国をすごいって思うことが、どんなに大切なことか」って思うんです。海外の人からの言葉を聞いて、自分たちの国のすごさを再確認して、国をもっと元気にしていこうよっていう人たちを増やせるんじゃないかって思いますね。

いい意味でタイトルを裏切れた!?「ひねくれ3」

――『ひねくれ3』(テレビ東京)は、山里さんとハライチ・岩井さん、三四郎・小宮さんの3人が、若き挑戦者や成功者の話をひねくれ目線で検証するという番組ですが、初回収録を終えての感想は?

みんな、自分の役割を完全に理解してやってるんで、すごく楽しいですし、面白かったですね。岩井は良くも悪くもすごく我が強いんで、「この人にこういう目線で噛みついてください」という制作側の期待をそのまま再現するわけじゃなくて、自分が納得したら頷くし、気になるところはどんどん噛みついていきます。

小宮もそうするけど、2人とも無理して噛みつかない。ゲストも「すごく喋りやすかった」って言ってくれるので、いい3人なんだな、ベストメンバーなんだなって思いますし、長くやれたらなって思いますね。

タイトルを見ると、3人が悪態つく番組みたいですけど、実際観ていると、すごくいい授業を受けたような気がするはずです。視聴者からすれば、ひねくれている僕らが成功者に妬み嫉みでガンガン絡みついていって、それをバンって振りほどかれてる様子を楽しく観ているうちに「人生ってこういうことか。これって真理だよな」って勉強になってた、みたいな感覚になると思います。なので、いい意味で『ひねくれ3』っていう言葉を裏切れている気がします。

――これまでも様々な番組でMCをされていますが、MCのどういう部分に面白さを感じますか?

笑い声が上がる瞬間がホントに幸せなんで、自分がきっかけで笑い声が聞けたり、出てる方々が「楽しかった!」って言う、そのきっかけになれている数が多ければ多いほど嬉しいですね。

――逆に、難しいと感じるところは?

時間の都合とか、僕の仕切りが悪くて喋れない人とかがいたときは、「もっと振ってあげられたらよかったな」って後悔することもあります。コメンテーターの方とかが喋り続けているのをうまく止められずに待っちゃってたり、発言をきっちり受け止めてあげられずに「なるほど。〇〇さん、どう思います?」って流しちゃったりしたときは「ああ、勉強不足だったなぁ」って思いますね。

あと大御所の方に遠慮しすぎて、収録後に「もっとツッコめばもうひと笑いあったのになぁ」って悔しくなることもあります。例えば、「ツッコミを間違って、機嫌を悪くされたらどうしよう」って恐れを言い訳にして、僕が笑って済ませちゃっているときなんかに、ひな壇にいる銀シャリの橋本が大御所の方に面白いツッコミをしたら、もう敗北感がすごいです。

一方で、自分がやられてイヤだったこともわかるから、そういうことはしない自信はあります。「全然つまんないじゃん!」っていうオチには持っていかないとか。自分がそれですごく傷ついてきたから。

――3番組を通して、MCでやってみたいことはありますか?

視聴者が「それ気になってたんだよ~!」って思うような、いい質問をいくらか出せるようになりたいですね。小手先で逃げないで、ちゃんと芯を食った質問ができるようになっていかなきゃなと思います。

トークライブは精神安定剤みたいなもの

――8月には、恒例のトークライブ『山里亮太の140』が開催されますね。ぜひ意気込みをお聞かせください。

(会場の)中野サンプラザは、これまでのライブではいちばんキャパ(=収容人数)が大きくて、憧れの場所でした。2,222人を相手に、たった1人で舞台に立つのは人生で初なので、ここを越えたら、なにかもうひとつ成長できるんじゃないかなぁと期待しています。

死に際に自分の芸人史を振り返ったときに必ず思い出すライブになると思うので、それを見届けてくれる人が2,222人も来るんだろうかっていう緊張感と、それを越えたときに自分がどうなれるんだろうっていうワクワクの両方があります。

――テレビでもラジオでもない、トークライブのいちばんの魅力とは?

笑い声をダイレクトに聞けるというのももちろんですけど、トークライブのお客さんって、どこか僕のカウンセラーになってくれているような気がして、安心するんです。僕が心のなかで思っていることを聞いて、「いいんだよ。そういうふうに思っていいんだよ」って、笑い声が教えてくれているみたいなイメージです。心のなかにある毒みたいなものが浄化されるというか。

これはホント、心のデトックスだと思います。みんな一流のカウンセラーなんで。全部聞いてくれて、(会場を出たら内容は忘れるという)約束も守ってくれるし、「仲間だなぁ!」って。

それこそオードリーの武道館とか、僕が何にもしてなかったらきっと嫉妬で狂い死にしてたと思うんですけど、それを止めてくれるのが『140』に来てくれるお客さん。みなさんの笑い声を聞いてる限り「オレだっていつか武道館いけるはずだ」っていう気持ちが精神の安定になってるので、安定剤みたいなものですね、ライブは。

終わったあとは、飲みながらずっと「幸せだ」って言ってますから。

周りの人に自分にも武器があることを教えてもらった

――これだけ世間に認められても、妬み、嫉みみたいな気持ちは相変わらずあるものなんですか?

ガンガンありますね。いまだにノートに書きまくってるもん。でも、腐らずやってきたのは、『ゴッドタン』やマツコ(・デラックス)さんみたいに、それをエンターテイメントに昇華してくれる場所や人たちがいたから。

マツコさんが「あんたの心の中のもの、全部吐き出しなさい」って番組の企画書を出してくれたりして……ありがたいですよね。ホントに周りにいい人が多くて、運がいいんです。その人たちに、自分のなかにある“武器”に気づかせてもらいました。

――ちなみに、今年はコンビとして何かやる予定はありますか?

漫才をやりたいとは思っています。今、相方(しずちゃん)がすごく漫才をやりたがっているみたいで。でもあの子は謙虚というか、ネタ書くのはこっちだから自分からは言えないみたいで、マネージャーさんを経由して言ってくるんだけど、オレは自分のネタばっかり書いているという(笑)。

でも、この前も一緒に飲んでてその話になったし、最近コンビでの漫才が楽しくなってきてるんで、やると思います!

 

「原動力がめちゃくちゃ頑張っている人たちへの嫉妬」とはっきり話す山里の目はエネルギーに満ちていて、それでいて穏やかで、山里の魅力を感じる瞬間でした。

この春からの新番組も、”精神安定剤”となるトークライブも、ぜひ皆さんご覧下さい!