3月28日(木)、東京・東京理科大学で落語家の月亭方正が就職活動生を対象に特別講義を行いました。

就職活動に悩む学生が、「落語」について学び自ら実践するなかで、プレゼン力やコミュニケーション力など、就活を乗り切るために必要な力を磨くことを目指して行なわれる本講座。2月から3月にかけての全6回の講義を通して、参加学生は落語の基本的なスキルを学び、最終的には人前で落語を披露します。

落語には、人に情報を伝えるためのテクニックや観客を味方につけるための力など、就活に応用可能なスキルが数多く含まれているそう。高度で複合的・総合的な話すテクニックを、月亭方正がみっちり伝授!

最終回となったこの日の講義は、これまで同様東京理科大学教職教育センター教員の井藤元准教授をファシリテーターとして行なわれました。

11名の生徒が屋号をつけて落語に挑む!

この日の講義は全24名のうち、前回までに落語を披露していない11名の生徒が落語を発表。方正が講評を行ないました。

最終回の落語披露はこれまでと違い、生徒がこの日のために屋号をつけて臨みます。最初は“理大亭事変”こと櫻井彩菜さんの『鶴の恩返し』。まずは屋号について、「東京事変の椎名林檎さんが大好きなので、事変という名前にしました」と笑顔で話し、そこから本題のお噺へと入ります。

噺が終わると、方正はすごく良いと褒めたうえで、「みんなも参考にしたほうがいいと思うけど、自分の好きなものについて話すとき、ウソのない、すごくいい顔になるから、そういう話題を枕に選ぶといいよ」と語りかけます。

続く“猛虎亭六甲”こと西島一輝さんは、読んで字のごとく大の“虎キチ”(阪神タイガースファン)で、今シーズンのタイガースへの期待を熱く語ったうえで『みそ豆』を披露しました。さらに福岡出身だからとみそ豆を明太子に変更し、オリジナリティを出します。

聞き終わった方正は「面白かった!」としながらも、「『みそ豆』の噺を知ってる人にとっては面白いけど、初めてこの噺を聞く人にとってはちょっとわかりにくいかも」と、アレンジをするなら初めて聞く人の気持ちも考えて、もう少しわかりやすくした方がいいとアドバイスします。

落語をアピールし、見事内定を勝ち取った生徒も

“理大亭たんたん”こと南さやかさんは『ケチの鰻』を披露。「牛タンがすごく好きだから」という理由で屋号に“たんたん”と付けたという南さんは、食べ物を味わうとき、味覚と嗅覚に全身を集中させるため、目をつぶって匂いを鼻から吐き出すようにしているんだとか。

そんな話を枕に落語を披露し終えた南さんに、方正が「事前に彼女から『鰻の匂いを嗅ぐのはどうやったらいいですか?』って聞かれたんですけど、そんなにいつも匂ってるんやったら聞かんでもわかるんちゃう(笑)?」とツッコみます。

落語を披露した生徒の中には、面接で、最近落語を始めたとアピールした結果、見事内定をもらったという生徒も。
彼女は自身の面接でのエピソードを話し、「面接で落語をアピールするといいと思うので、よかったらみなさんも!」と勧めていました。

そのほか、枕はないものの、とても丁寧で聞きやすい落語を披露した生徒や、途中でセリフを忘れてしまい、方正に助け舟を出してもらった生徒、方正の『みそ豆』を徹底的に聴いて覚えたと言い、方正を「オレと全く一緒の間やったからビックリした(笑)!」と思わず唸らせた生徒など、さまざまな面々が落語を披露していき、あっという間に11名の落語披露が終わりました。

最後に方正が就活生にエールを……

最後に方正が、「みなさんお疲れさまでした。この講義で落語を披露するということはいい経験になったんじゃないでしょうか。この経験を就活や人生に少しでも役立ててください」と就活生にエールを送り、最終回の講義は終了。

ファシリテーターの井藤氏からも、「今はまだみんなそんなに自覚はないと思うんですけど、今回の講義で落語を披露するという経験によって、知らず知らずのうちに自らのポテンシャルが上がってきていると思いますし、今後の就活にもそれが活かされることを願っています。」とのメッセージが送られ、最後は教室中が方正先生への大きな拍手と笑顔に包まれました。

終了後も生徒からのサインや記念撮影ににこやかに応じ、生徒と最後のコミュニケーションをとる方正。

そして最後は、「じゃあみなさん、お元気で! ありがとう!」と笑顔で挨拶し、全6回に渡って開催された特別講義を締めくくりました。

人前で話すこと、アピールすること、要点を掴んで相手を引き込む話し方など、落語にはプレゼンテーションにおける大事な要素がたくさん詰まっています。
就活生だけでなく、社会人にも役立つ要素が満載です。
皆さんもまずは噺家さんの声、目線、体の動きなど、生で体感できる寄席などを観て、参考にしてみてはいかがでしょうか。