自身の半生を描いたエッセイ『天才はあきらめた』(朝日文庫)が10万部を突破し、トーク力やMC力だけではなく、その“文才”にも注目が集まっている南海キャンディーズ・山里亮太。

このたび、2010年より雑誌『B.L.T.』で連載してきた短編妄想小説が『あのコの夢を見たんです。』(東京ニュース通信社)として一冊の本となり、4月12日(金)に発売されることが決定しました。

本作は、ブレイク前の土屋太鳳、平手友梨奈、広瀬すず、吉岡里帆など、今をときめく旬の女優やアイドルを主人公に、山里が物語を執筆したもの。連載時の作品に加筆・修正を施し、より表現豊かな物語に仕上がっています。

今回、著者の山里にインタビューを実施。彼の“妄想力”の根源は一体何なのか? ぜひ、最後までご覧ください。

桜井日奈子や松岡茉優からお礼を言われる“妄想”

――この連載がまとまると聞いたときの心境を教えてください。

公私混同でやっていた小説ですし、こちらの脳内で描いたものを一方的に投げつけただけなので、よく(主人公になった)皆さんが許可してくれたなって思いました。これをきっかけに僕の妄想が合法化されるというか、オフィシャルストーカーとして許され、免罪符をいただいたと思っています。

――(笑)。主人公の女性はどうやって決められるんですか?

編集部の方との話し合いですね。ときどき「こんな人がいますけど、どうですか?」って言ってくださることもあります。その場合は、候補に挙がった方についていろいろ調べている途中で、妄想が“カチャッ”と開く瞬間があって、執筆をきっかけに好きになることがあるんですよ。

――妄想した女性が、だんだん世間の人に認知されるのは、“妄想して良かったな”と思う瞬間なのでは?

僕は売れる人を見つけるんじゃなくて、売れる直前の人に出会う確率が高いだけなんですよ。だから、僕の脳内の小さい劇場から、世界の劇場に旅立ったような感覚です。若手専用の劇場の支配人が、「うちの子頑張ったな」としみじみ思うような。

先日、たまたま桜井日奈子ちゃんと会ったら「あのとき主人公にしてくださってありがとうございました」って言ってくれて……。ほかにも、飯豊(まりえ)さんとか、土屋(太鳳)さんとか、子どもの頃から仕事をしていた(松岡)茉優とか、いろんな人が声をかけてくれます。

年齢を重ねて培った“書く力”を発揮

――加筆・修正もされていますね。

書き始めたころになかった技術が年齢を重ねて培われたので、設定は好きだったけど、“稚拙だったな”というものを大幅に書き直しています。

――書く技術を高めるために、何か練習されたのでしょうか?

修飾語や景色の表現は、勉強して覚えた感じです。文字に触れるときは、“いいな”と思う一文を自分のなかで数式化して、心のなかに蓄積していきました。例えば、「西加奈子さんのこのフレーズがいいな。なんでこの一行が面白いんだろう」って思ったら、ちゃんと理解できるまで待って、数式にしてノートに書いています。

――様々なインプットや経験をした今だからこそ、できることなのでしょうか。

妄想の種類が、昔なら“付き合いたい”とか、“あんな娘がクラスにいたらな”っていうのがほとんどでしたけど、人間愛みたいなものを覚えだすと、“この子の幸せのために犠牲になりたい”って妄想をしだすんですよ。ターゲットにされた本人は、気持ち悪いとは思うんですけど。

――妄想がトークや漫才のネタに生かされることはありますか?

『JUNK山里亮太の不毛な議論』(TBSラジオ)のネタには生きていますね。ラジオで妄想力を鍛えて、本でも披露して、またラジオで盛り上がって……あとライブでも言ったりもします。「本田翼さんと、こういうかたちで出会いたい」とか。

――ラジオでもおっしゃっていましたが、今回も書店巡りはされるのですか?

書店さんもサイン書かれちゃうと返品できなくて、カツアゲ感が出ちゃうので「来ていいよ」ってところに出向かせていただきたいです。『天才はあきらめた』で、いろんなところでサインを書かせていただいたので、沢山の書店さんとご縁ができましたし、僕のコーナーを用意してくださる書店さんもあるので、ご挨拶に行こうかなと思っています。

――やはり、読む人の感想は力になりますか?

めちゃくちゃなります。今でも『天才はあきらめた』でエゴサしているくらいですから。この前、福岡でライブをやったときに、1人の学生さんが本を持ってきてくれて「これがなかったら、学校を辞めようと思ったんです」って言ってくれたのは、本当に嬉しかったですね。

オードリーに感じた“嫉妬”を力に…

――笑いに関して、妄想は叶っていますか?

叶っている方だと思います。好きな仕事ができていますし、最近では、8月に中野サンプラザで『山里亮太の大140』ってライブが決まって嬉しい限りです。

サンプラザにはライブを観に行ったりするんですけど、どこか辛いというか、「これだけの人数を、この人は1人で盛り上げたんだ」って思っていましたし、「もし自分があそこに立ったら」ってよく妄想していたんですよ。それが実現するから嬉しいですね。

この間、aikoさんのライブでさいたまスーパーアリーナに行ったときに、約3万人の前で歌っているのを観て「すげー感動するけど、これを観ているだけでいいのか?」とか思いますからね。

――それこそ同期のオードリーさんがラジオのイベントで武道館ライブをやられたときも何か思ったのでは?

めちゃくちゃ嫌でしたよ。あの日からは、作業しなきゃいけないときに眠くなっても思い出して起きますし、何日か飲み歩く日が続いたときに、携帯に「オードリーが武道館やったぞ。飲み歩いている場合か」って書きましたもん。人のすごいところを見たら、自分がサボっている部分と照らし合わせて、もう1回頑張る気持ちになります。

――今の立場になっても“まだまだ”と思うんですね。

オードリーは武道館やってますからね。行った人から「めちゃくちゃ面白かった」って聞くし、4時間武道館を笑わせ続けたっていうのは、自分の経験にないので悔しいですよね。

――では、その思いは自分のライブでぶつけると。

まだ立っていられるし、仕事が楽しいし、夏に向けて頑張ろうって気持ちがあるから、ライブによって支えられていたんだなって認識しましたね。今回の件は「140」ってライブをやってなかったら、嫉妬で狂い死にしていたと思います。

妄想界ではまだまだ“ひよっこ”!?

――悔しいというよりも嫉妬が強いんですかね?

自分のことを嫉妬と妄想の化け物だと思っています。

――では、第三者に山里さんを紹介するとしたら“妄想の第一人者”と呼ぶのが適切ですか?

めっそうもないです。上には関根(勤)さんがいらっしゃいますから。ただ、時々出てくる「自分妄想族なんです」ってアイドルの子には「あ?」とは思います。

――(笑)。立場的にはどのポジションになるのでしょうか?

関根さんやケンコバさんがいらっしゃるし、あと“被害妄想力”ですけどブラックマヨネーズの吉田(敬)さんもいらっしゃいますからね。あの方の妄想力も素晴らしいと思います。いろんな方々がいらっしゃるから、妄想界での歴は長いかもしれませんが、駆け出しなのかもしれません。

――最後に今後の野望を教えてください!

この本は短編なので「長い小説を自分は書けるのか」と思ったり……。機会があれば挑戦したいなとは思っています。

本書は、テレビや舞台では観ることのできない山里の魅力が詰まった一冊です。約9年間続けた“妄想物語”を、ぜひ受け取ってください!

『あのコの夢を見たんです。』

著者:山里亮太(南海キャンディーズ)
発売日:4月12日(金)
価格:1,620円(税込)
発売元:東京ニュース通信社

【小説にモデルとして登場する女優・アイドル】
・荒井萌(現・あらい美生)
・飯豊まりえ
・大友花恋
・桜井日奈子
・菅井友香(欅坂46)
・土屋太鳳
・中条あやみ
・波瑠
・平手友梨奈(欅坂46)
・広瀬すず
・松岡茉優
・八木莉可子
・優希美青
・吉岡里帆
・芳根京子
・渡辺麻友
(※敬称略/50音順)