3月31日(火)、東京ダイナマイト・ハチミツ二郎がTwitterを更新。「明日からオレ、サラリーマンになります。芸人は辞めません。コロナ渦の影響ではありません。」と宣言し、世間を驚かせました。

その後、二郎は実際に株式会社ソノリテ(以下ソノリテ)に入社しました。Twitterにてテレワークの模様や出社状況は報告しているものの、その実態は謎のまま。

そこで今回、ラフマガでは二郎にインタビューを実施。サラリーマンになったきっかけや具体的な仕事内容について、詳しく話を聞きました。

きっかけは社長からのオファー

――どういった経緯で、株式会社ソノリテさんへ就職することになったのでしょうか?

もともとは、クラウドファンディングでキングコング・西野が“絵本”を作ったので、俺はクラウドファンディングで“エロ本”を作ろうと(動き出しました)。その中で“20万円の出資で誌面出演8ページ(ハチミツ二郎自らインタビュー)”という特典があったんですけど、1人の社長が出資してくれたんですよ。

インタビューをしている途中で、“働き方改革をしているIT会社の社長”だってことがわかったんですけど、それを聞いても最初は意味がわからなくて、詳しくは聞きませんでした。

その社長が出版記念パーティーにも来てくれたので話をしていたら、ソノリテはマイクロソフト社の『Office 365』のサービス関連の会社なんですけど、アプリとかLINEスタンプ、ゲームを作っている会社の社長だとわかって。俺が『勇者ああああ~ゲーム知識ゼロでもなんとなく見られるゲーム番組~』(テレビ東京系)の『俺のゲームアプリ発表会』って企画で、『ですよ。を探せ』っていうアプリをプレゼンした放送を観たらしく、「『ですよ。を探せ』をウチで作らせてくれないか」と言われました。

そこで「俺がゲームの会議に出て、ギャラをもらって、アイデア出しをすることができるのか?」って聞いたら、「全然来なくて(出社しなくて)いいから、二郎さん、サラリーマンになってみませんか?」と言われて。“これは面白そうだな”って思いましたね。

子どものときは、プロレスラーか漫才師になりたかったんですよ。『M-1グランプリ』(テレビ朝日系)とか『THE MANZAI』(フジテレビ系)にも出られたし、プロレスでも、プロレスラーの大仁田厚と『ノーロープ有刺鉄線電流爆破デスマッチ』って芸人がやらなくていいこともやったし、“あとやり残したのはサラリーマンだけだな”って。何か言われるかなと思ってマネージャーに聞いたら、「わかりました」と返されて、「本当にいいの?」っていう。

会社の社長も「吉本興業の仕事が月に30日あったらそっちに行っていい。日数で給料を減らしていくだけで何の痛手もない」と。それから吉本が3月に劇場休業で、4月1日(水)にソノリテに入社して、7日(火)から緊急事態宣言が発令され……50日間出勤していましたよ。

――(笑)。芸人とは180度違う仕事ですよね。

最初は単純にふざけている部分もあって、“みんなを面白がらせよう。困惑させよう”って思っていたんですけどね。

ソノリテが展開する“働き方改革”が何なのかっていうと、みんなパソコンに『Office 365』ってソフトを入れていて。会社に500人の社員がいたとして、メールとかチャットを1対1でやっちゃいけない。常に4~5人でメール、500人全員でチャットをしているから、(プロジェクトに)参加していなくてもそのやりとりが見られるんですよ。新人をいびる上司がいても、そのメールを全員が見ているから、セクハラ・パワハラを未然に防ぐことができると。

アメリカからきているシステムらしいんですけど、そういうのって目から鱗で。確かに俺と誰かが喧嘩していたとして、このやりとりを2人くらい女性が見ていると思ったら、暴言は吐きづらいし、「てめぇがやれよ!」とか言えないなって。そういうのを、いまどんどん勉強しています。

二郎が挑む“笑いのない大喜利”

――いまはパソコンを、一から学んでいる状況なんですよね。

前はパソコンで原稿を書いていたんですけど、スマホが出たばかりのとき、オリエンタルラジオ・中田がiPhoneで原稿を書いていて、「絶対にこっちのほうが早い!」って教えられて。それから原稿仕事や単独ライブの台本づくりをスマホでやるようになりました。

最初はワンクリックとダブルクリックの違いもよく分からないレベルの知識だったのが、今は『(Microsoft) PowerPoint』で資料が作れるくらいになりました。『(Microsoft)Excel』では計算表やグラフなど、なんでも作れます。

――研修で名刺交換も一から勉強しているとお聞きしました。

そうですね。局の人とか作家さんからもらったりするので、交換したことはあったんですけど、細かいことは分かっていませんでした。すぐポケットに入れてはいけないとか……これまではすぐに入れていましたから(笑)。

――出社形態も変わっているんですよね。

今回の外出自粛で、3回くらいしか出社せずに、あとは全部リモートワークになっちゃって。でも新型コロナウイルスの影響が終わっても、テレワークを推奨している会社なんで自宅で仕事をするんですけど、社長から「週1出社してくれ」って言われまして。

ITのオタクみたいな社員がいるんですけど、「そいつが俺の猛烈なファンらしい」と。「“どうしても会いたい”って言うから、週1だけ来てくれ」って。

――(笑)。二郎さんはソノリテさんで、どんなことをやっていきたいと思っていますか?

20歳まで高校に行って、卒業したら東京のNSCに入って、インディーズで活動をしたり、他のプロダクションに入ったりしたけど、自分のアイデアってお笑いにしか落とし込んでこなかったんですよ。

けど、たとえば新しい水を出すとして“いろはす”って名前をつけると。(このように)ボケも何もないけど、(商品価値が高まるような)ネーミングを考えたいなと。笑いのない大喜利みたいなことで、「そういうところでアイデアを使えないかな」って社長と話をしていたら、「その都度出社でギャラを払うよりも、入社しないか」って話に(つながりました)。

サラリーマンの立場になって分かったこと

――サラリーマンを経験して、考え方も変わったのではないでしょうか。

芸人は好きでやってるんでそんなこと思わないんですけど、やっぱり月曜日が嫌なんですよ。日曜日になると“明日から1週間か……”って。仕事がイヤということじゃなくて、土日が休みになっているから“明日月曜か……。早く起きなきゃな”みたいな。本当に『サザエさん』(フジテレビ)の見え方が変わってきました。あの曲が切なくなったのは13歳以来ですよ。

あと、いま芸人の方がストップしていてサラリーマンの給料だけなので、ビールも発泡酒に変えたり、今まで個室の焼き鳥屋しか行っていなかったけど、“『鳥貴族』行くか”とか。

劇場に来る人だって働いていて、それで得たお金で来ているわけじゃないですか。劇場では4,000~5,000円を取っているわけですから。“これは、いい加減なことはできないな”って改めて思いました。

でもあんまり真面目になりすぎると、ネタが面白くなくなっていきそうなんで、あまり“まっとう”にならないように気を付けています。

――では、サラリーマンをやってみて発見はありましたか?

前のマネージャーに俺とか相方の松田が「スケジュール表を出してくれ」って言っても、出すのがすげー遅かったんですよ。でも、いまは自分が会社でExcelの表を使っているので、「すぐやれ」って言われても、これやりながら誰かの現場についたり、電話連絡したりしているなら“遅くなるのは当たり前だな”って分かるようになりました。でも、それにしても前のマネージャーは出すのが遅かった。2回催促するまで来なくて「これ完全に忘れてただろ!」って。

――(笑)。サラリーマンとしての最終目標を教えてください。

こうなったら子会社でもなんでも、社長になれるくらいまでやろうかと。平社員のまま終わっても仕方ないし、副業が社長っていうのもいいなと。

インタビュー終了後には、「また課長になったら話を聞きに来てください」とはにかんだ二郎。これまで培ってきた笑いに対するアイデアをどう形にしていくのか、今後が気になるインタビューとなりました。

取材・文:浜瀬将樹

ハチミツ二郎

Twitter:https://twitter.com/tokyodynamite

【関連記事】