カナダ生まれの落語家・桂三輝(かつらさんしゃいん)は、桂三枝(現・文枝)に弟子入り後、日本のみならず、世界でも活躍。英語に訳した落語を武器に、各国で笑いを生み出しています。

そんな三輝が今回、落語を通じて英語が学べる書籍『桂三輝の英語落語』(アルク)を発売。

本書は三輝の英語落語をテキスト化し、解説付きで学べるだけではなく、音声もダウンロードできるため、「生き生きとした英語が学べる」と話題になっています。

ラフマガでは、三輝にリモートインタビューを実施。本書についてはもちろん、弟子入り時代の思い出や現在取り組んでいることについても話を聞きました。

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カナダ人も感銘を受ける英語テキスト本

――今回の本は、英語学習月刊誌『ENGLISH JOURNAL(イングリッシュジャーナル)』(アルク)掲載の特別連載から抜粋されたものだそうですね。

そうですね。『ENGLISH JOURNAL』は、英語を勉強したい方々向けのマガジンで、奥深い記事が書かれていますし、雑誌としても楽しめる企画が掲載されています。

――三輝さんの英語落語をダウンロードできるのは、本書の大きな魅力だと思います。

雑誌で連載していた時はCDで出していたので、ダウンロードは現代的で嬉しいですね。(連載用の音声は)普段お客さんの前でやっているのと同様の形で収録したんですけど、それを編集部の方々が“この表現面白い”とか“こういうのは日本語にないな”と思うものを選んで、言い回しを解説してくれるので、勉強にもなりますよね。

――解説を担当する松岡昇さんの説明も的確ですよね。

ものすごく良いですよ。日本人から見て不思議に感じる言い回しが分かって勉強になりました(笑)。解説の分かりやすさや、全体的なレイアウトが見やすいので、(出来上がった本を見た時に)感動しましたね。私は喋っているだけで、作った人がウマい!

――(笑)。英語を勉強したい方や興味を持っている方には“もってこい”の1冊なんですね。

ある程度英語を勉強している方でも、様々な言い回しが勉強できるのでおすすめです。

文枝師匠の教えを今もなお実践!

――改めて、三輝さんが落語に出会った経緯を教えてください。

もともと劇作家や作曲家をやっていまして、それまでは日本の能や歌舞伎に興味があったんですよ。日本に来て5年くらい経った時に、横浜にある焼き鳥屋に週8回くらい通っていたことがあって(笑)。マスターに「そんなに日本の文化に興味があるなら、上の座敷の部屋でふた月に1回落語会をやっているから観てみたら?」って言われたんですよ。軽い気持ちで観に行ったら……恋に落ちたね(笑)。

――なぜ文枝師匠に弟子入りしようと思ったんですか?

落語に出会って、どこかの一門に弟子入りしようと決めたんですよ。当時は、文枝師匠が落語界のトップでテレビスターっていうことは知らなかったのですが、ある人に勧められて寄席を観に行った時に、師匠が創作落語をやっていて、完全に惚れました。“この方の傍にいられたら一生幸せ”だと思いました。

――師匠の教えで思い出に残っているエピソードを教えていただけますか?

師匠は言葉に厳しかったですね。(当時から)私は日本語はできたけど、尊敬語、謙譲語とかはまだできていなかった。最初は、ほかの師匠方に失礼になるから「ちゃんとした日常会話ができるようになるまで、黙っとけ」って(笑)。桂一門に入ったからには、「カナダ人だ」っていう言い訳は通用しない。厳しいけど、特別扱いされたくなかったので、そのように教育をしてくれたのが嬉しかったですね。

師匠は、私がどこへ行っても恥をかかないような芸人になるよう、様々なことを教えてくれました。師匠の厳しさには一生感謝しています。

――それから、世界で『英語落語』の公演やツアーをしていくわけですが、最初から順調だったんですか?

全く順調ではなかったです。翻訳している時に(外国のお客さんに)合わせ過ぎたんですよ。アメリカの言い回しに寄せると「日本らしさがなくなる」というのは、海外で落語をした時に学んだことですね。それから、できるだけ師匠がやっている落語の雰囲気やリズムを取り入れて『英語落語』をやり始めました。

でも、すぐに受けるわけではなくて、何回もアメリカ人、カナダ人、イギリス人とかいろんな人の前でやって、スベって……。なんでスベったか、なんで受けたかっていうのを考えながら修正していったので、結構な戦いでしたね。しかしそんな紆余曲折を経てようやくウケ始めました。

――昨年9月からは、アメリカ・ニューヨークのブロードウェイでの落語公演をスタートさせました。現地の方に言われて印象に残っている言葉はありますか?

お客様の中で、ずっと海外に住んでいる大阪生まれの方がいたんですよ。公演が終わってから、その方が「英語で落語をやっていたけど、どう考えても大阪弁にしか聞こえへんかった」って。私の落語の中で“大阪の雰囲気”が伝わったのが嬉しかったですね。

今度は中国語で落語を披露する!?

――現在、新型コロナウイルスの影響でブロードウェイ公演はできない状況。先日は、ラフマガでニューヨークの現状を語っていただきましたが、現在日本では、どんな活動をされているんですか?

ブロードウェイでは、木曜・土曜の20時から公演をしていたので、ニューヨーク時間の木曜・土曜の20時からYouTubeチャンネルで英語の生配信をしています。日本時間の木・土20時からは、日本語での生配信も行なっているので、週4回生配信をしていますね。

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また、現在中国語を勉強しているんですよ。実は、私の落語を中国語に訳したものが、中国のSNS・Weiboで拡散されていて、800万回も再生されているそうで。日本人で中国の文化が好きな人もいるし、中国人の中で日本のアニメや文化が好きな人も多数いると思うので、落語をやったらウケるんじゃないかと。

中国語の勉強についても、あえて中国語の先生にお願いするのではなく、まずは小噺を翻訳サイトで訳して、中国用のYouTubeチャンネルとWeiboのアカウントで披露しています。「みなさん私の中国語を直してください。先生になってください!」とお願いしたら、すぐにコメントが寄せられ、丁寧に直してもらえるんです。(修正を重ね、最終的には)正しい中国語で、落語公演ができたらと思っています。

――壮大な展望を教えてくださり、ありがとうございました! 最後に三輝さんの『英語落語』が詰まった本書の見どころを教えてください。

皆様、日本の素晴らしい伝統芸能である落語を楽しみながら、英語を勉強しましょう!

取材・文:浜瀬将樹

『桂三輝の英語落語』

著者:桂三輝(演者)
表現解説:松岡昇
価格:1,650円(税込)
付属商品:音声ダウンロード付

詳細はこちらよりご確認ください。

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