ケータイよしもとで連載していた人気コラム、『ゆにばーす川瀬名人の認定戯言』がラフマガで復活しました。
川瀬名人の「戯言」にお付き合いください。

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【新連載!】『ユニバス』【ゆにばーす川瀬名人の認定戯言#1】

タイトル『居合斬り』

言い訳をしたい。

コロナによる戦後最大の見通しの立たない無限連休が訪れたことで、ネタを披露する事は愚か、練習という超自発的飛沫感染、果ては喫茶店のネタ打ち合わせすらままならない状況である。

海外の状況を見るに、M-1があるのかないのか、あっても予選にお客さんを入れることができるのか、そんなこと言い出したらキングオブコント絶望的じゃねえか、という意見まで聞こえてくる。

これら複合的な要因により、有力なM-1戦士達のモチベーション低下を切に願い、M-1の予選通過の確率が少しでも上がって欲しい。

と言いながらも己のモチベーション維持もそう容易いものではない。甲子園強豪校がこっそり部活してるとかの話しも気持ちはものすごくよくわかる。

が、このご時世、三密をパーフェクトで満たしている闇ライブ(吉本の事務所外の人が運営しているフリーライブ)もやっていない。

というわけで、モチベーション維持のため1日に一度、M-12001年から見返している。

冷静に振り返るとあのTVスターの兄さん方でも鬼のように緊張してるし平場も意味不明なことを口走ってたりする。

そしてとうとう2018年をまた見返すことになってしまった。

もう自分が気にしてるほど世間の記憶にはないが、振り返っても2015年以降のM−1では屈指に滑っている。

川瀬は髪型だけ異常に整っており他のパラメーターはゴミだった。

がもう一度、両手で顔を覆って指の隙間から見つめ直した結果、不味かったところを一か所見つけた。

出だしで噛んだのは置いとく場所もないけど置いとこう。

序盤の大声だった。

巨人師匠にも言葉遣いのことを言われたが、ここで僕が感じたのは言葉遣いのことではない。まあ勿論言葉遣いのこともあるとは思うがそうなると、からし蓮根の死ねというツッコミがウケた説明がつかない。

感情の推移である。

そんな大声でその言葉使うほど、怒ることかね?

ということなのである。

徐々にボケの行動にイライラしてとうとう我慢がきて爆発してキレる、というのが自然な感情の推移である。

しかしながら僕は急にキレることが大好きなのである。

緩急における急である。

急にキレる人を見るのはとても面白い。

10年前、芸人を志して東京に出てきて3ヶ月、色々あってホームレスになった。

色々あって、は許してほしい。

この経緯の説明はトークライブ2回分くらい必要である。

ホームレスになって困るのは寝る場所の確保なのであるが、大事なのは屋根である。

寝ている間に降ってくる雨が与える絶望を一般の人は知らない。一度屋根を外して寝てほしい。

よって屋根のある公園はいつだって激戦区である。

遠くから見て

「あ!屋根あるやん!」

となっても近くまで行くと先客がいる。いないとしても屋根っぽい骨組みがしてあるだけでスカスカという一番許せないパターン。

ある日、屋根のある場所を見つけた。

先客もいない、骨組みだけではないガチ屋根。

条件反射でその公園の近所にあるスーパーに段ボールを取りに行き屋根のあるところに敷く。

夕方だったがすることもなくロクな寝床で寝てない日が続いていたので、屋根のある安心感かすぐにウトウトし始めた。

「▽#Å∞¥⁂!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

なになになになに!?

飛び起きると、目の前に歯のない小さい汚いオッサンがとてつもない声量で叫び散らしている。

「▽#Å∞¥⁂!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

全然何言ってるかわからない。

わかっていることは一つ。

この人、怒ってる。

おそらく寝床を取られたからだろう。

驚くべきは自身の反応である。

笑ってしまっている。

このオッサン、ウトウトしていたとはいえ、気配も感じさせず近づいてきてこの怒りっぷり。

なんなんだ、このおっさん。

笑いが止まらない。笑いが止まらないけどおっさんが飛びかかってきそうなので逃げた。

当時は自分でもなんで笑ったのかわからなかったが

今になって思う。

あれは居合斬りだ。

全くの静から動に転じる。

全くフラットな状態から100%MAXでキレたオッサン。

笑いにおける緩急そのものだったのだ。

正直この手法が正解かどうかもわからない。

実際、寄席でやるとお客さんは結構引く。

緩急は緩急でも理由が見えないと伝わらないのかもしれないし、まだまだ正解の塩梅はわからない。

生憎と2018居合斬りは空を斬りそのまま自信をズタズタに斬られた。

2019は鞘すら抜かしてもらえなかった。

2020、世がコロナから解放された時の芸人達の居合斬りを是非お楽しみに。

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