2019年12月18日、上方落語協会が『第3回岩井コスモ証券presents上方落語台本大賞』の受賞者を発表。吉本新喜劇の脚本家や役者としても活躍する西島巧輔の『心霊スポット』が佳作に選出されました。

次世代に語り継ぐ、将来の古典となりうる作品を募集する本大賞。選考委員長は落語家の桂文枝、副委員長は作家の難波利三など、7人の選考委員によって選出されます。

今回、受賞の喜びを語ってもらうべく、西島にインタビューを実施。彼が出演する吉本新喜劇についても語ってもらいました。

2丁拳銃・小堀とのライブで…

——佳作受賞おめでとうございます。まずは喜びの声をお聞かせください。

一昨年にも自分の中で自信があった2本を応募(1人2編まで可能)したんですけど、賞にはひっかからず……。そこで落ち込んじゃって、昨年は出さなかったんです(笑)。でも、“出すに越したことはない”って思って、送らせてもらったら選んでいただきまして、(佳作と)聞いた時は1日テンションが高かったですね。純粋に内容で評価して貰えたことが嬉しかったです。

——落語を書くきっかけは、2丁拳銃・小堀裕之さんだとお聞きしました。

僕は新喜劇の脚本も書いていまして、その流れで小堀さんに「何かやろうや」と声をかけてもらったのが最初です。3年前に『はぐれ亭 創作落語の会』(小堀と西島2人がゲストを招き、創作落語を披露するライブ)がスタートしたのですが、そこで、8か月連続でイベントがありまして。自分が演じる台本はもちろん、ゲストの方が演じる本を書く月もあったので、だいぶ鍛えられました。

——そうしたイベントを通して書く力が養われたんですね。

自分が出て、さらに演じるっていうことも大きかったと思います。落語を書く際は、自分の負担にならないようにしたいので、“話が明確で無駄なセリフがないようにしよう”と考えて作っていました。それは、新喜劇で勉強させてもらったことなんですよ。説明台詞が長いのはアカンとか、そういうのは役に立ったと思います。

——新喜劇の脚本と出演をされていたこともプラスに働いたと。

それは絶対にあります! 作家だけやっていても賞は頂けなかったかもしれないですね。やっぱり舞台に出て、お客さんや演者さんの反応をみて、“このくだりいらんな”とか、“先輩このセリフ言いにくそうやな”とか勉強出来ているのは大きいです。

コント的発想でたどり着いた創作落語

——台本大賞に作品を送ろうと思ったきっかけは何だったんですか?

自分が通用するのかどうか、新喜劇でやってきたことが落語でも認められたら……という想いがありました。あと、小堀さんも同じ台本大賞で過去に『ハンカチ』と『運動会』で優秀賞を獲られていましたし、自分も箔が欲しかったっていうのもあります。

——今回、『心霊スポット』というテーマはどうやって決められたんですか?

コントの設定のように考えました。心霊スポットに若い”死にたて”の幽霊がやって来るんですけど、そこには何百年前から落ち武者とゾンビがいるんです。その人らに偉そうにされるんですけど、若い幽霊が『テレビの心霊番組とかで怖がらせたりしていますからね』と言い出して、立場がひっくり返されて……っていう話です。

——書く側にまわってみて、改めて気づいた落語の魅力を教えてください。

はじめは思ってなかったんですけど、なんだかんだ“究極の芸は落語やな”って思いましたね。着物と座布団があれば、漫談もできるし、ストーリーもコントもできる。そうなると、芸としては一番究極かなって。だからこそ、桂三度さんとか、月亭方正さんも落語にたどり着いたんかなって思います。

座長によってタイプが違う!

——落語と新喜劇の台本を書く際、脳の使い方は違うものですか?

新喜劇はセットや小道具があるから説明する必要がなくて、落語はないものをあるように説明しないといけないんですよね。ビジュアルとしても、走るだけで面白い表現は落語にできないですし、その笑いを引くしかない。でも、逆に落語は想像できるから強いんです。ここが宇宙やっていえば宇宙やし、どっちもいいところはあるんじゃないかなって思います。

——現在、木村祐一座長と石田靖座長の新喜劇に出演されていますが、新喜劇の脚本を書くようになったきっかけは?

劇団で脚本を書いていたことがあったんですけど、吉本に入って『こいつ何か書くらしいよ』って聞いた先輩から声をかけてもらったのが始まりです。新喜劇は4~5年やらせてもらっています。

——脚本を書くにあたり、座長の木村祐一さんとのやりとりで印象に残っていることは?

本を書く際、2~3行の筋を10本くらい座長に提出して、次はプロットを書いて、その後、台本にするのが普通なんです。でも、木村さんの班で脚本をやるようになって2~3回目の時に「こいつはプロットの段階で注文したら、それを守ろうとして面白くなくなる」って見抜かれたのか、いきなり第一稿で提出するようになりました。木村さんは作家もやられてるんで、下の人間のことをしっかり見られてるんやなって思いましたね。

——では、石田さんとの稽古中のやりとりで印象に残っていることは?

石田さんは、演者ありきで、演者が面白くなるようにしたい方なので、稽古の段階で「こいつはこうした方が面白くなるんちゃうか?」とか「これやりにくいんちゃうか?」ってどんどん変わっていくため、構成はきっちりしていない方がやりやすいんです。僕もその演者さんがウケてくれるのが目標なので、いくら脚本が変わろうが結果ウケれば「やったな!」って思います。両方楽しく、苦しみもあります。そのお二人から勉強させていただけるのはありがたいですね。

今回、西島が受賞した『心霊スポット』を含む、入選作の表彰式とプロの落語家が演じる発表会『入選作発表落語会』は、4月25日(土)より、神戸新開地・喜楽館にて開催予定です。お楽しみに!

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