「『M-1グランプリ』(テレビ朝日系)で優勝したら芸人を辞める」……そんなセンセーショナルな発言で、お笑い界を驚かせているゆにばーす・川瀬名人。

川瀬は2013年、はらとゆにばーすを結成。わずか数か月で『THE MANZAI』(フジテレビ系)認定漫才師に、さらに夢だった『M-1』では、2年連続ファイナリスト(17、18年)となりました。そんな笑いに熱く、芸人として着実に階段を上っている彼が、普段どんなことを思っているのか? 川瀬の頭の中を探るべく「ラフマガ」では、彼にレギュラーコラムをお願いすることにしました。

今回川瀬には、コラムのことはもちろん、先日開催された『M-1』について、そして今後のゆにばーすの活動について語ってもらいました。

コラムは「人間性が見えるもの」だから嫌だった

ーー数年前まで会員制の「ケータイよしもと」で連載していた『認定戯言』を、ラフマガで再開することになりました。 “川瀬さんが何を考えているのか?”ってお笑い好きな人は気になると思います。今回は誰でも見られるコラムになりますが、注目を浴びることについてはどう思いますか?

『M-1グランプリ2017』で決勝行くか、行かへんかくらいの時は「ケータイよしもと」も有料やし、“誰も見ぃひんやろ”って思っていたくらいで、本来は(コラムを書くのが)嫌やったんですよ。(ゆにばーすは)人間性がバレると、ネタが面白くなくなるタイプで、“なんであんなイキってたやつが、この感じなん? はらさんばっかりやん”って感じになっちゃうから、避けてきた部分もありました。

でも、今年の負け(『M-1グランプリ2019』準々決勝敗退)と、ミルクボーイさんの漫才を見ていたら、ネタにちょっとでも“僕”が出た方がいいなって思ったし、バレる部分はあってもいいのかなって。かと言って、テレビは“キャラがバレるから嫌”とかじゃなくて、ただただあんまり出たくないだけ。コラムくらいがちょうどいいのかなって思います。

ーー以前から文章を書くことはあったんですか?

(近畿大学)文学部だったんで、コラムではないですけど、学生の時からmixi(SNS)とかには(日記を)書いていたりはしたんですよね。でも、人に見せるようなやつは『認定戯言』が初めてでした。

ーーたくさん本を読まれているそうですが、いざ書く側になると難しいものですか?

大学の時、いとうせいこうさんのゼミを受講していて、毎週「4,000字の小説書いてこい」みたいな課題があったので、書くのは全然苦じゃないです。最近は本を読んでないですけど、高校の時3年間友だちがいなかったので、めちゃくちゃ読んでいました。

ーーエッセイやコラムは読まれるんですか?

ブラマヨの吉田(敬)さんの『黒いマヨネーズ』(幻冬舎)を読みましたけど、あれ死ぬほど面白くないですか? もっと注目されていいと思うんですよ。

ーーわかります!

あんなに文才あって笑かせられるっていうのがすごい。

川瀬名人から見た『M-1グランプリ2019』

ーー二度『M-1』の舞台を経験した後、今年はテレビを通して『M-1』をご覧になったと思います。何を感じましたか?

とんでもなかったです。負け惜しみじゃないですけど、“準決勝でやる予定やったネタさえやれたら行けてたかな?”って思っていましたが、行けてたところで余裕で負けていたと思います。

僕は決勝に出させてもらった上で“運がデカすぎる”っていう結論に行きついたんですよ。順番で左右されるし、その日のお客さんの雰囲気とかもある。何回も出ることによって、優勝の確立を10分の1にして10分の2にして……って結論に達したんですけど、でも、ミルクボーイさんは多分どの順番でも優勝したと思います。

誰も傷つけることはないし、毒をコーンフレークに向ける手法があったとはね~。あれに誰も気づかなかったんですよね。思想自体も新しいのに、漫才のフォーマットとしても見たことがない。まぁ、勝てないっすよねー。

ーーミルクボーイさんが披露した漫才は、結成の頃からされていたシステムだそうですね。

2~3年前から「ミルクボーイさんが面白い」って言われていたんですけど、題材がニッチで、企業名とか番組名とか固有名詞だったんですよ。それもあるから、一般的な名詞に変えて、かつ全員に分かりやすいネタを選んだんじゃないですかね。

ビックリしたのが、準決勝でコーンフレークのネタを観た時に、「コーンフレークみたいなものは、芸人でいうところのショートコント集団7人組や」みたいな例えがあって、そこめっちゃウケてたんですけど、それを決勝で削っていたんですよ。“これは茶の間には伝わらない”って踏んだんでしょうね。芸人いじりみたいなものも審査員が「ん?」ってなることもありますから、すごいバランス感覚があるんやなって思いました。

ーー敗者復活で面白かったメンバーはいましたか?

今年はほんとに甲乙つけがたいというか、みんな色んな漫才の形を持ってきてましたよね。(敗者復活から勝ち上がった)和牛さんのウケ方はかなりキレイやったし、全員文句ないんじゃないかなって思います。めっちゃウケてたのは天竺鼠さんかなって思いましたけど、客票ってなった時に、誰でも笑えてウケも良かったのは和牛さんかなって。

個人的にはカミナリがいいネタやってたと思います。芸人からしたらめっちゃツボを押さえているんですよ。今までは、「川柳」とか「すべらない話」っていう題材やったんですけど、(今回選んだのは)キッチン周りっていう全国民のあるあるのシチュエーション。で、伏線も二重、三重に張ってんのかな。そもそもその題材で面白くできた時点で、ある程度勝ちというか。コンフレーク的なことですよね。

コラムが“漫才の題材”になるかも?

ーーコラムを書くのは苦ではないとおっしゃっていますが、ネタ作りはどうされているんですか?

前は、メモってたやつをガーッと出して、僕らにしか出きひん設定の漫才コントを作っていました。最近は、漫才コントが主流になっていたんで、それで勝負していたんですけど、やっぱり和牛さんとかには演技力で負けるんで、(登場人物を)本人役にしたんですよ。それやったら、演技力もいらないし、自分らしかできひん設定やし。それが17、18年の『M-1』って感じです。

ーーいろいろ悩んでたどり着いたと。

16年に準決勝で負けた時は、しゃべくりでやっていたんですけど、しゃべくりはどうしても技術や芸歴がいるというか、持ってる人間性がもろに出て、(観客に)受け入れられる知名度も必要なんですよ。準決勝でウケはしたんですけど、エゴサしてみたら、どうしても関西人から受け入れられていない。「水素水買いたい!」とか「セクハラされたい!」みたいな題材で“はらちゃんは、ほんまにそんなこと思っているんか?”みたいな。リアリティーがないなって思って、17年から自分らにしかできひん漫才をしたら、ビタハマりしました。でも、19年にはちゃんと限界がきましたね。

今回の『M-1』敗退で、今後のゆにばーすさんの方向性の変更や、マイナーチェンジされることはありますか?

一応しゃべくりでいきたいなって思っているんですけど、いきなりは無理だと思うんですよ。漫才コントをした時に、10分の2しゃべりの導入が合って、10分の8が漫才コントの中身やったんですけど、これを徐々に比率を下げて、しゃべくりに移行できたらとは考えていますけど、なかなか……。めっちゃ試して出来上がった形が、フォーマットっぽくなるのが一番いいんですよね。

ーーはらさんが「詐欺メイク」などで独自の路線を走っていますが、彼女の個人活動についてはどう思ってらっしゃるんですか?

欲を言うと、アイツにもテレビ出てほしくないんですよ。アイツって中身は普通なのに、会話がうまくできひんから変な奴やと思われるタイプで。“普通”ってバレたら大喜利的なボケがウソになるから、ほんまは嫌やったんですけど、そこまでの権利はないじゃないですか。こっちも「『M-1』優勝したら辞める」って言うていますし、優勝した後、生きていくために“やっておいた方がいいんちゃう?”とは思います。

ーー深いところまでありがとうございます。最後に、インタビュー時点でまだ未定のことが多いですが、コラムではどんなことを書こうかと考えてらっしゃいますか?

以前やと、無理やりにでもお笑いのことを絡めていたんですけど、吉田さんのコラムとか見ると、“単純に面白いヤツっていいよな”ってめっちゃ思っちゃったんで、ここから漫才の題材になりえるくらいのものを目標としてやりたいと思います。

川瀬名人の連載コラムは近日中に公開予定です。これまで、ほぼテレビにも出演せず、人間性を隠してきた彼の紡ぎだす文章に興味がある人も多いはず! コラムスタートまで楽しみにお待ちください。

ゆにばーす・川瀬名人

生年月日:1984年08月11日
身長/体重:177cm /60kg
血液型:O型
出身地:奈良県 北葛城郡王寺町
趣味:ポケモン,ポケットモンスター(大会に出るくらい)/金八先生を見ること/読書/賞レース予選鑑賞
特技:読んでいない本を帯を軽く見ただけでA4 2枚の原稿用紙に感想書けます/剣道初段/漫才/実演販売/応援演説/スピーチ
出身/入社/入門:NSC東京校 16期生
Twitterアカウント:https://twitter.com/univermeijin
※コラムは近日公開予定

ケータイよしもと『認定戯言』
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