舞台に映画、ドラマにと、その個性的なキャラクターでブレイク中の山内圭哉と、独特の世界観で俳優のみならず脚本・演出でも演劇界を席巻するものの、ことごとくブレイクの機会を逃し続ける“関西の秘密兵器”こと福田転球。そんなふたりのユニット公演『2Cheat』が、13年ぶりに神保町花月にて復活します!

山内圭哉(写真左)、福田転球(写真右) 出典: ラフ&ピース ニュースマガジン

2006年の第3回公演では満員御礼だったにもかかわらず、なぜか13年間放置されていた伝説の舞台。今回の復活を記念して、福田転球と山内圭哉に“ふたりが笑えることのみを追及する”『2Cheat4』について聞いてみました。

――おふたりのユニット公演『2Cheat』が13年ぶりに復活しますが、なぜそんなに間が空いてしまったのでしょう?

山内「これまでも公演しようと思ったことはあるんですけど、これを元々始めた頃のマネージャーやプロデューサーたちと離れてたっていうのはありますね。なかなか状況が整わなかったというか、腰を据えてやれるタイミングがなかなかなくて。でも、ずっとやりたいとは思ってたんです」

――気がついたら13年も経っていた……みたいな感じ?

山内「そうですね。自分たちがちょっと忘れかけてたときに、神保町花月から『あれ、やりません?』というお話をいただいたのが大きかったです。『そういえばやってたねぇ!』『最近そういうアホなことしてなかったね』みたいな。もしお話をいただいていなかったら、(復活公演まで)20年ぐらい経ってたかも。でも、ふたりで飲んでるときは必ず『あれやりたいなぁ』とは言うてたんですよね」

「福田転球の楽屋での面白さを舞台に」という思い

――そもそも『2Cheat』シリーズは、どういった経緯でスタートしたものなんですか?

山内「これは、後藤ひろひとさんと川下大洋さんによる演劇ユニット『Piper』に、僕が加入して3人体制になった時期に、後藤さんは王立劇場で、川下さんは『ドナインシタイン博士の世紀末学会』っていうイベントをそれぞれソロでやってたんですよね。それで、当時のマネージャーに『あんたもやんなはれ』て言われて。そこで、『僕が日本でいちばん面白いと思っている――ただし、おもに楽屋でですけど――福田転球の楽屋での面白さを、舞台に乗っけるものやったらできるんちゃうか』って思って、転球さんにお声がけして始めたのが2002年頃ですね」

――山内さんに誘われたとき、福田さんはどう思われたんですか?

福田「『うん、やろう!』って言いましたね。山内くんがやってる他のユニットに呼んでいただくこともあるんですけど、特に今まで悩んだことはないです。『やろか』って言われると『はい、やろか』って。基本的に即答です(笑)」

山内「遊びに誘っても断らへんし」

福田「(笑)。というようなノリで、長くやってますね」

――構成・演出もおふたりが担当されるということですが、本公演はアドリブが多いんですよね?

山内「元々、制作するときに台本を書かないんですよね。『これおもろいな、いけそうやな』っていうやつを、点だけ決めて、点から点にいくのはわりとフレキシブルに、っていう」

――福田さんは台本がない方がやりやすいんですか?

福田「いや、今はどうかわかんないですけど(笑)」

山内「えぇ(笑)?」

福田「今はどっちかわかんないですけど、当時はない方がやりやすかったですね(笑)。今は『そんなにアドリブがポンポン浮かんでくるかなぁ?』っていう恐怖がちょっとあります」

山内「えぇ~、マジで!?」

福田「まぁ、できると思うけど」

山内「そもそも、転球さんがそういうタイプの役者さんというか。僕ら台本のセリフを読むのが仕事みたいなとこがありますけど、この人それがなかなかでけへん人で」

――そんなことあります(笑)?

山内「でも勝手にベラベラ喋ったりするような人っていうか……アーティストなんですよね。もちろん“楽屋での面白い転球さん”を持っていこうとしてますから、転球さんが一番やりやすい、爆発しやすい作り方にしようと思ったんですけど、今『できるかどうかわからへん』っていう衝撃発言を聞きまして……」

福田「久しぶりやからね。でも山内くんの前やと、それこそ自由にっていうか『まぁなんとかしてくれるやろ』っていう思いがあるんで、思い切っていけますね」

――今でも楽屋では相変わらずおもしろい転球さんなんですか?

山内「最近おもんないんです。なんかちょっと、大御所役者風情出してきて」

福田「逆や、逆! 僕だから、楽屋で申し訳ないなぁ思って」

山内「なにがいな」

福田「活躍してはるから、あんまり邪魔したらあかんやろなぁと思って。楽屋でいらんことしたら怒られるやろなぁとか『余計なことしたらあかん!』っていう思いが強くて」

山内「それを解き放ってもらいたいですね」

本来自分たちが嬉々としてやるのは「アホらしいこと」

――13年の間に自分がいちばん変わったなと思うことはありますか?

山内「う~ん、13年前よりちょっとはお金あるかな?ぐらい。基本そんな変わってないですよ。元々、なんでずっとこれをやりたかったかというと、やっぱりどんどん大きい役もいただくようになって、『しっかりやってくれるだろう』みたいな信頼も感じるようになってきたんですけど、同時に『え、オレこんなんやったかなぁ?』みたいな気持ちもあるわけですよ。

ふだん演劇やってて『今ここにいるお客さんって、僕らのほんまのポテンシャルを感じてくれてんのかなぁ?』とか『自分はやれてんのかなぁ』っていつも思ってて。『2Cheat』を最初に演じたときに観にきてくれたお客さんは、今僕らのお芝居を観たときに満足してくれはんのかな?とか。本来、ここに来てくれてたお客さんに、僕らは支えられてたんじゃないだろうかと考えると『やっぱりこういうことをやっとかな』って思うんですよね。そんな真面目な役者ちゃうかったから」

――そうですよね。私も山内さんは「おもしろい役者さん」っていうイメージでした(笑)。

福田「今も決して真面目ではないと思うけど……(笑)」

山内「だから『セールスマンの死』とか演じている場合やないと思うんですよ。コアなファンの方からは『あれ、いつやるんですか?』みたいなメッセージはずっといただいてましたし。本来自分たちが嬉々としてやるのってこういうアホらしいことやから、そういうことができる機会を定期的につくっておきたいとずっと思ってたんです」

――役者として求められるお仕事と、自分がやりたいと思うことの両方をやることで、自分の中でバランスが取れるみたいな感じなんでしょうか。

山内「もちろんそれはあります。で、『セールスマンの死』なんてやってる場合じゃないってのはシャレとして、逆にあれをやるからこそこっちのおもしろさもわかるわけじゃないですか。

――振り幅がすごいですもんね。

山内「そう。比較対象がどんどんできてきたんですよね、この13年で」

福田「確かに、自由にやれる場はかなり減ったんで、それをまたやれるっていうのは非常に嬉しいですね。この13年間学んだことを、『2Cheat4』で発揮できたらと思います。13年前までは好きにやることしか考えてなくて、演劇を学んでなかったんで。真面目に演劇に取り組んだ13年間やったと思います」

――じゃあ取り組む姿勢も前回までとは変わってくる?

福田「そうありたいなぁと思います。それに、さっき山内くんも言うてましたけど『セールスマンの死』の山内くんじゃない山内くんもいるんだよ、っていうのを僕も見せたいし(笑)。山内くんは結構長くボケるんですけど、そういう姿をみんなあんまり知らないと思うんで、それに対処する僕の姿も見てもらえたらと思います」

お互い、本来の演劇のおもしろさがわかってきたんだと思う

――お互い、13年で変わったなと思うところは?

山内「僕はさっきもちょろっと言いましたけど、なんかおもんなくなったなぁ、って」

福田「(笑)」

山内「前はもっとおもろかったのになぁみたいなことは半分シャレで思ってます。というのは、立派な役者さんにどんどんなっていかはるっていうか、空気読めるような人になっていってる頼もしさとさみしさがあって。だから、これでまた一回リセットしていただければ」

福田「山内くんは『日々成長してはるな』って。大きくなったなぁと思いますけど」

山内「お互い演劇への取り組み方はがぜん真面目になったんじゃないですかね。それがいいのか悪いのかはわからないですけど」

――やっぱりキャリアが長くなっていくと、だんだん真面目に……。

山内「“真面目に”っていう言い方は違うのかなぁ。なんていうか、本来の演劇の面白さがわかってきたというのはお互いあると思います」

福田「山内くんは、前向きなんだ。演劇に対して。そんな風に見えへんけど。稽古での姿を見てると、やっぱり『俳優の山内圭哉さん』って感じになっていって、13年前とはずいぶん変わりましたね。頼りになりますし、助けてもらうことも多いですね」

山内「『新ロイヤル大衆舎(福田転球、大堀こういち、長塚圭史、山内圭哉の4人のユニット)』もそうですけど、お互い長塚との出会いが大きかったとこありますよね。あいつは、僕らみたいにムチャクチャしてたやつらをちゃんとさせることに、喜びを覚えたりするから」

福田「(笑)」

山内「普段やってない役をやらしたりとかね。『セールスマンの死』もそうでしたし。それを経て、一回長塚とかと離れて、ふたりでもっかいアホなことやろかってことなんですけどね。それがどうなるかは自分らでもわからないですけど」

お笑い芸人がやる「お笑い」と演劇人の「お笑い」の違い

――福田さんは以前『2Cheat』のことを「演劇人からのお笑いへのアプローチ」だとお話しされていましたが、お笑い芸人がやるお笑いと演劇人のお笑いは違うと思いますか?

福田「これはほんまに難しいんですけど、違うと思います。けど、何が違うかっていうのをはっきり言うのは難しい。ずっと違うとは思ってますけど、『じゃあ何が違うねん』って問われたときに、これはほんま、なんとも言えない……。『なんか、ちょっとちゃう!』んです」

山内「なんやねん!」

福田「たとえば、僕は『マサ子の間男』っていうユニットをやってるんですけど、そこにシューレスジョーっていう芸人がおるんです。彼のスタイルはどこか演劇に近いと言われてるんですけど、少し違うんですよ。これがねぇ、言葉では言い表せないんですけど」

山内「最近、お笑い芸人さんでコントやってらっしゃる方って、相当演技力が高くなってると思うんですよ。それは、芸人さんの方が気づくの早いと思うけど、『笑いの構造』って、四角いものが急に丸くなったりすることが面白いわけじゃないですか。その四角をきっちり作っとかんと、丸くなったときに笑われへんということを、みんな気づいてるんです。そういう経緯で芸人さんはそっちをやるけど、演劇人って元々それをやってるんですよね。その違いやと思うんですよ。

だから『ちょっと違う』っていうのはそういうことで、やることは結果一緒やねんけどその導線が違うっていうか。ただこの『2Cheat』シリーズに関しては、僕らが逆にそういう役者的な導線で作らず、ふたりで楽屋でゲラゲラ笑ってることを、そのまま舞台に乗っけていこうかっていうアプローチなんですよね。だから、『演劇人からのお笑いへのアプローチ』っていうのはそういう意味だと思います」

――チラシのコピーには「これは演劇なのか? お笑いなのか?」って書いてますけど……。

山内「どっちでもええよ?ってことなんです」

――確かに、そこは観る人にとっては重要じゃないですよね。「おもしろければいい」というか。

山内「そうそうそう」

――では最後に、ラフマガ読者のみなさんに一言ずつメッセージをお願いします。

福田「爆笑間違いないと思うんで。それだけは保証します!」

山内「保証すんねや」

福田「ええ。なので、笑いに来てください」

山内「最初にやったときに観にきてくれて、僕らの背中を押してくれた初期のお客さんたちにまた観にきていただきたいですし、逆にこれを知らない人は、ちょっと新しいもんが観れるかと思うので、そういう楽しみを持ってきてくれたらええなぁ。神保町花月はまた独特な空間で、すごくせまいところで、表情も全部見えるので楽しいと思います。『表情だけで喋らんと笑わす』みたいな面白さもあるので、観にきてくれたら嬉しいですね」

『2Cheat4』のチケットは、3月9日(土)に先行発売、3月16日(土)に一般発売が開始されます。13年の年月を経て、さらに磨かれた笑いいっぱいの舞台を、ぜひ観にきてください!

 

『2Cheat4』

日程:5月10日(金)~19日(日)
会場:神保町花月

日程:5月30日(木)~6月2日(日)
会場:COOL JAPAN PARK OSAKA

SSホール

構成・演出・出演:福田転球×山内圭哉
料金:前売 4,000円(税込)/当日 4,500円(税込)
チケット:3月9日(土)先行発売/3月16日(土)一般発売開始予定
※詳細、追加情報は神保町花月HPまで!