2019年12月14日より、沖縄県本島北部エリアを広域に活用した地域芸術祭「やんばるアートフェスティバル 2019-2020 山原黄金之杜」が開幕しました。

通称「やんばる」と呼ばれる沖縄県本島北部は、世界に誇る美しい自然と豊かな地域文化が息づく土地として、2016年「やんばる国立公園」に指定され、2020年夏には、世界自然遺産への登録も見込まれています。
そうしたやんばるの原風景とともに、現代アートと沖縄の伝統工芸を体感・体験できるのが、本アートフェスティバルならではの魅力です。

クリエイターが聖地に集う

3回目の開催となる今回のテーマは、やんばるにある聖地「黄金森(くがにむい)」に、国内外のアーティストたちが集い「鎮守の杜」を創造すること。タイトルを「やんばるアートフェスティバル 2019-2020 山原黄金之杜」と銘打ち、今回も海を目前に臨む素晴らしい廃校舎、大宜味村立旧塩屋小学校をメイン会場に計8か所の会場に47組のアーティストたちの作品を展開。年をまたいで2020年1月13日(月・祝)まで約1か月間にわたり展開します。

会場は全部で8会場。

メイン会場となる大宜味村立旧塩屋小学校は、まるで海の浮かんでいるようなロケーションに建っています。
ここでは、【エキシビジョン部門】として、谷本研+中村祐太「タイルとホコラとツーリズム season7」、古謝哲也の絵画と山口那智の書道を展示した「パラリンアート in やんばる」、永澤嘉務「UTAKI-せいめいのれきし―」、陳豪毅+鄭志強+羅安聖の「Secret Hut」、

DOPPEL「やんばるシーサー」、染谷聡「ミストレーシング / SOUVENIRS URUSHI」、高木真希人「草木のペンシル」、新世界「IN THE BUNAGAYA」、吳思嶔「muntjac imitation」、副産物産店(矢津吉隆+山田毅)「副産物産店 やんばる支店」、横山裕一「キジムナーショー」、ニック・クリステンセン「Gathering of Loose Ends」、usaginingen「ウサギニンゲン劇場」、仲程長治「黄金陰翳 クガニインエイ」

【クラフト部門】として「YAF CRAFT MARKET」と名づけられた期間限定のクラフトショップを展開。やちむん(陶器)、琉球ガラス、紅型、芭蕉布、染織物、木工、漆など、沖縄で生まれた個性豊かな工芸品の他にも「種水土花」が植物の装飾、「Jungle Studio」が什器を担当しています。喜如嘉芭蕉布織物工房と城間びんがた工房が共演する「糸と色の効能」も今年のみどころです。

塩屋小学校から北上した辺土名商店街ひかり医院跡では、西野達「忘れようたって忘れられない」が、その建物から、少し歩いたところにある「YANBARU HOSTEL」のロビーではYuko Moriiによる植物をつかったインスタレーション「Love Sanctuary」が出展されています。

更に沖縄に現存する最古の鉄筋コンクリート建築でもある大宜味村村役場旧庁舎2階では、信藤三雄+Keng-Shingが出展。

そして、1階では、アート芸人として注目されるNIKUGUSOTARO(野性爆弾のくっきー!)も参加。くっきーとガリットチュウの福島が沖縄のアートを探訪する番組「MOI AUSSI BE TV」(OTV)とのコラボで、3カ月に渡り制作を重ね、今回の展示のために創り上げたオリジナル作品を、くっきー!がNIKUGUSOTARO として、披露しています。
作品名は「キジムナーと肉屋敷」。会場を、沖縄の妖怪キジムナーが密かに好む「肉屋敷」に見立て、中央に「肉柱」を設置。そこに自らのデスマスクをたくさん飾りつけるという作品です。

大宜味村の副村長や、本フェスティバルの総合ディレクター仲程長治と一緒に会場を下見したり、沖縄県立芸術大学にて、デスマスクの石膏型取りをしたくっきー!。また、真っ赤な衣装を身につけキジムナーに扮したくっきー!の姿を仲程長治が撮影。前後左右の四方から撮影したその全身写真は、作品の一部としてパネルになり会場に展示されています。

キジムナーが生まれる場所に

開催前日、最後の作品仕上げに駆け付けたくっきー!にインタビュー。国内では初のアートフェス参加となる今回。カラフルなデスマスクがずらりと並んだ肉柱を前に、アートな話を聞いてみました。

——「やんばるアートフェスティバル」に参加しての感想は?
「楽しかったです。最初どうやって沖縄感を出したらいいかよくわからなかったけど、この会場の前の木にキジムナーがおったんですよ。赤くて小さいやつが2体。沖縄といえばキジムナーだっていうから、それでアタシなりのキジムナーを表現してみました。写真では真っ赤な服着てキジムナーになりきって。赤かったらキジムナーでしょ。ジャーシャクも赤いしね」

——ガイドブックに書いてあった「肉屋敷」というテーマは、どこから出てきたんでしょうか?
「何か書いてくださいと言われたから、なんとなく書いてみただけなんですけど(笑)そういうゆるーい感じも沖縄っぽいかなと」

——いざ完成してみていかがですか?
「デスマスクの型取りをするときの石膏がめっちゃ辛かったんですよ。カメラ回っていなかったら大暴れしているくらい。寝そべって生き埋め状態で石膏流されて、ほんま怖かったですわ。取るときも髭がごっそり抜けたんです、もう痛すぎて痛すぎて。大変なことになったんで、この作品はその結晶ですね。悲痛な苦しみが滲み出ていると思います」

——デスマスクという発想は、どこから出てきたんですか?
「突然、ぽっと。木に顔面をいっぱいくくりつけてみようと思って。ま、キジムナー絡みですよね。この木をキジムナーが生まれる場所にしたいというか。ちょっと聞いたら、ここは位置的に沖縄の子宮だと聞いたんで」

——知りませんでした!
「すんません、嘘です。でもそれっぽいでしょ(笑)」

——くっきーさんは、この1年あたりアート芸人としても注目されていますが、そのあたりはどう思われますか?
「流れですよね。『今年はアートやろう!』って始めたわけでもなくて、なんとなく流れに身を任せて、気がついたらアートをやっていたみたいな感じ?」

——「MOI AUSSI BE TV」では沖縄のアートを探訪するロケをしていますね。
「最初はアーティストの人と絡んでいたけど、最近は方向性が……変な人に会いに行くみたいな(笑)そこで無理やりアートにねじつけるっていう。これからは、しっかりとアートを打ち出していきたいと思っています。沖縄自体がもうアートランドですから」

——やんばるの土地は体験してみていかがですか?
「自然が豊かで、まるで100年前とか200年前にタイムトリップしたかのような、古きよき日本を思い出させてくれる感じがあって。好きです」

——では最後に作品の見どころを教えてください。

「最初にこの木が来たとき、ただの筒だったんです。それに、無理やり枝をぶっさして木に見せてるってところを見てみてください。あと、デスクマスクが本当に死ぬ間際みたいな顔をしているんで。これいろんな色がついているからまだいいけど、真っ黒とか真っ白だったら怖いだろうな。そんなアタシの表情をじっくり見てほしいなと思います」

イベント概要

「やんばるアートフェスティバル 2019-2020 山原黄金之杜」

主催:やんばるアートフェスティバル実行委員会
共催:大宜味村、島ぜんぶでおーきな祭
開催期間:2019年12月14日(土)~2020年1月13日(月・祝)
開催場所:沖縄本島 北部地域
大宜味村立旧塩屋小学校(大宜味ユーティリティセンター)/ 大宜味村役場旧庁舎
オクマ プライベートビーチ & リゾート / 辺土名商店街・ひかり医院跡/ YANBARU HOSTEL
国営沖縄記念公園(海洋博公園・熱帯ドリームセンター)/ カヌチャリゾート / 名護市民会館前アグー像 ほか
後援:沖縄県、一財)沖縄観光コンベンションビューロー、北部市町村会、国頭村、東村、本部町、名護市
総合ディレクター:仲程長治
エキシビション部門ディレクター:金島隆弘
参加アーティスト:47組
エキシビション部門:usaginingen/カゼモニワ多田弘×濱元朝和/佐々木怜央/新世界/信藤三雄/染谷聡/高橋真希人
陳豪毅+鄭志強+羅安聖/吳思嶔/椿昇/DOPPEL/永澤嘉務/仲程長治/谷本研+中村裕太/NIKUGUSOTARO(野性爆弾くっきー!)
西野達/ニック・クリステンセン/パラリンアート/副産物産店(矢津吉隆+山田毅)/Yuko Morii/横山裕一/淀川テクニック
クラフト部門:あさと木漆工房/Araruna/奥原硝子製造所/ガラス工房てとてと/花藍舎/金細工まつ/工房ぬりトン/
坂 奈津子/シーサー陶房 大海/Jungle Studio /種水土花/城間びんがた工房/sue/菅原謙/杉山早苗/田村窯/陶藝玉城/陶factory509
Nakamurakenoshigoto/Harvest High/ハロイナ/芭蕉布織物工房/紅型工房べにきち/深貝工房/螢窯

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