漫才の頂点を決める決戦『M-1グランプリ』が今年も開催。プロ・アマチュア問わず「とにかく面白い漫才」を基準とする審査のもと、最も面白い漫才師が決まるとあって、今年も総勢5,040組が名乗りをあげ、熾烈な戦いに臨んでいます。

今回、12月22日(日)に生放送される決勝戦を前に、『シリーズ:歴代チャンピオンが語るM-1論』と題し、歴代優勝者へのインタビューを実施。

初回は、2003年に優勝したフットボールアワー・岩尾望が登場し、激動の日々を振り返ってくれました。

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「何も通用せえへんかった」2001年から2003年の優勝へ

――初出場は、同大会創設の2001年でした。当時のことを覚えていますか?

すごく大きなことが始まるんだ、みたいなことはわかっていましたけど、何が何だかわからんまま進んでいった……という記憶ですね。僕らは当時まだ大阪で、ちょこっとテレビに出たことがある程度だったんです。

そんな芸人がゴールデンタイムの生放送でネタができて、しかも(島田)紳助さん、(ダウンタウン)松本(人志)さんら錚々たる人たちの前で披露と。本番が始まってから“どえらいことやなあ”って、ことの大きさに気づいた気もしますね。

――あがったりもなさらなかった?

んー、でも、ガチガチやったんじゃないですかね? あまり思い出したくもないというのもありますし(笑)。1回目はやりながら、“あかん、緊張してるわ”と思った覚えもありますね。

――2001年は6位でした。結果については、どう受け止めていましたか?

2001年は、コンビを組んで2年半とかくらいで、そこまでの集大成を持っていったつもりでした。決勝進出が決まったとなって、正直すごい手ごたえを感じていたので、“ひょっとしたら、獲れるんちゃうか?”と思っていた気がします。

でも、蓋を開けたらまったく通用しなかった。全部をぶつけにいくくらいの感じだったのに、やっても全然ウケていないし、極端に紳助さんと松本さんの点が低く50点くらいで。“NO”を突き付けられた気持ちで、この先どうしていったらいいんやろう……くらいにはなりました。

――シビアな想いを抱えていたんですね。その後、2002年の第2回大会出場までは、どのような時間を過ごされましたか?

そんな状態でも、大阪に戻れば、baseよしもとの出番が入っていたので、舞台には立たないといけなかったんです。言っても劇場には若いファンの子がついてくれていたから、その子らの前や大阪ではウケる……けど、1歩外に出たら何も通用せえへんかったから、後藤と「このままやとあかんな」「ネタの作り方から何から変えたほうがいいかな」みたいな話になっていきました。

(その後方向性を)変えて、その年に作ったネタの手ごたえを感じ出したと同時に、『NHK上方漫才コンテスト』最優秀賞や『上方漫才大賞』優秀新人賞とかも獲り出したんですよ。

ネタの作りも変えた、賞もついてきた……となると、やっぱりその先に『M-1』が見えてきて。“やっぱりあっこで通用せんと”と思って、2002年の『M-1』に行きました。

――結果、2002年は2位でした。2001年大会では厳しかったという松本さんたちの評価がすごく高かった年でしたよね。

覚えていますねえ。1本目のファミリーレストランのネタが結構いい感じの反応で、紳助さんと松本さんの点数もよくて。これまで『M-1』出た中で、あのときが一番うれしかったんです。単純に「よっしゃ! やった!」という喜びで言うと、一番うれしかったの、そこでしたね。正直、優勝の年よりも、何よりも(笑)。

――2001年からの大きな飛躍ですね。

2001年は1本目で惨敗して、“すべて終わった”と思ったくらいでしたから。それから1年後、ちゃんとまた同じ舞台で結果を出せた喜びが大きかったです。

もちろん“よし、いける”と思っていましたけど、ひょっとしたら、うれしすぎて、そこで終わっていたのかもしれないですね(笑)。決勝では最終的に負けましたけど、終わって大阪に戻ったら、先輩方にも「お前らやと思ったで」という言葉が聞けたので、そこで満足はできたというか。

――そして、2003年の第3回大会で、ついに優勝となりました。

2002年があったので、2003年は“今年はフットが獲るやろう”という目で周りからも見られていました。『M-1』の決勝戦が近づいてくると、大阪のレギュラー番組の先輩とかに、「じゃあ、次回会うときはチャンピオンやな」とか言われたりして(笑)。「やめてくださいよ」とか言いながら、「もし、これで獲れへんかったら、この人たちはすごい気を使って困るやろな……」とか、いろいろな想像をしましたね。

“獲らなあかん”とも思っていたので、ほんまに獲れてホッとしたというのが正直なところです。

あのときの1本目は、笑い飯がすごい得点を出して会場を沸かして、もう動揺もなく普通に“やらなあかん”みたいな感じでやっていました。審査のときに、松本さんが一言「おもろい」と言ってくれはったのはすごく覚えていますね。

「M-1」は漫才師が一番輝ける大会

――『M-1』優勝で芸人人生は変わりましたか?

『M-1』の優勝きっかけで、年明けから徐々に東京で仕事することが増えたりしましたね。『踊る!さんま御殿!!』(日本テレビ)とか、『森田一義アワー 笑っていいとも!』(フジテレビ)のゲストに出たりとか、自分が見ていた番組にポツポツ出られたイメージです。

ただ、今は優勝したら次の日の朝から情報番組を回って、とかでしょうけど、当時は全然そんなんじゃなかったんで。優勝した次の日、確か僕らは大阪に戻って、情報番組のロケで東大阪の商店街のたこ焼き屋を回っていたんです。“どこが一番大きいたこ入っているか?”みたいなのを普通にしていて。「おめでとう!」みたいな感じもないし、師走で皆さん普通に買い物も忙しいから、そこまで見向きもされへんし、みたいな(笑)。

“あの日を境に人生変わった!”というより、ほんま、ゆるやか~に変わっていきましたね。

――岩尾さんにとって、『M-1』はどんな存在と言えますか?

ほかの賞レースも出ましたけど、別物というかね。何でしょうねえ。見ている側でも、そうなりますしね。漫才師が一番輝ける大会のような気がしますし、見る側になっても一番魅力的やなと思います。

今は普通に“やっぱり面白いな、見ごたえ抜群やな”と思って見ていますよ。

――今の若手の台頭については、どう感じていますか? 注目しているコンビがあれば教えてください。

昔は、ほんまにむっちゃスベるコンビとか、全然いたんですよ。漫才師たちの力が上がっているのもあるのか、今はほんまに面白い子ばっかりやな、と思います。

今回の『M-1』で残っているメンツを見たら、どこがいってもおかしくないし、“ああ、いくやろな”というのが多いですよね。和牛、ミキはもちろん仕上げてきているだろうし。

そこで今まで漫才のイメージもない天竺鼠みたいなんが、パーンとさらっていくのもあるかもしれないし。パーンと出てきてパーンと獲るのが一番いいんですよね。

――新鮮さが求められる大会でもあるんですか?

“昨年もおもろかった”というのがわかっている状態で、“さあ、今年は何すんねやろ”というのがないコンビが一番強いですよね。何回も出ている常連組は、その分しんどいし、めちゃめちゃ大変なことをしていると思います。

でも本当に、誰が獲ってもおかしくない勝負になるでしょうね。新鮮さとか関係ない、台風の目がおらん、ガチガチの勝負もおもろそうですよね。決勝戦、楽しみですね。

 

M-1グランプリ2019

<決勝>『M-1グランプリ2019』
放送日時:12月22日(日)午後6時34分~10時00分
ABCテレビ・テレビ朝日系列24局 全国ネット生放送
司会:今田耕司 上戸彩
審査員:オール巨人 上沼恵美子 松本人志 ほか
<決勝>進出者:12月4日(水)開催の<準決勝>にて決定
<決勝>ネタ分数:4分

<敗者復活戦>『M-1グランプリ2019 敗者復活戦 ~決めるのはアナタの1票!!~』
放送日時:12月22日(日)午後1時55分~4時25分
ABCテレビ・テレビ朝日系列24局 全国ネット生放送
開催場所:東京港区・六本木ヒルズアリーナ
<敗者復活戦>ネタ分数:4分

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