ダウンタウンの幼馴染にして、『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』(日本テレビ)をはじめ数々の有名番組を手掛けてきた放送作家・高須光聖が、初めての小説に挑戦。戦国時代を舞台とする、時代小説『おわりもん』を今年8月に発売しました。

『おわりもん』の主人公は、親も仕事も何もない“おわりもん”と揶揄される五郎左衛門と又兵衛の2人。生と死が隣り合わせで、明日何が起こるのかもわからないような厳しい時代に、アイデアだけで様々な苦境を乗り越えていく2人の姿が描かれています。

ラフマガでは、本人曰く「びっくりをたくさん詰め込んだ!」という同作について、話を伺いました。

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ちょんまげも切腹も「ファンタジーの世界」

――本書では、全編通して飽きさせない工夫や仕掛けがあり、映画を観ているようなテンポの良さが印象的でした。そもそも、なぜ今回、小説を書こうと思ったのですか?

経緯としては、そもそもは吉本興業の100本映画(『YOSHIMOTO DIRECTOR’S 100 〜100人が映画撮りました〜』)というのがあって、その企画で30分くらいの映画を撮ることになったんです。

でも撮影には2日しかあてられないし、製作費もない。そうなると“1シチュエーションで面白いものを”と思いついたのが、今回、1章に入っている『賽の目坂』だったんです。ただ、そのときは「どの時代か」とか「なんで捕まったか」とか、そういうのは全然考えていなかった。

実はずっと今回の本の編集の方から「小説を書きませんか?」とお誘いをいただいていたんですが、その人からあるとき、「あの話(『賽ノ目坂』)の前後とかを考えてみるっていうのはどうですか?」と言われて。ずっと書きたいものもないしと思っていたんだけど、「あ、それなら書けるかも」と思ったのがきっかけなんです。

――舞台が戦国時代だったのもそういう経緯だったんですね。

もともと時代劇は好きなんですよ。そもそも時代劇で描かれるのって不思議な世界観だなと。長袴もちょんまげも切腹も全部おかしいじゃないですか。どっかの夢の中に入ったような、変なファンタジーの世界みたいで。

だから、僕からしたら現代の話よりも、戦国時代の話やったら書けるかなと。一度、映画で作った2人のキャラクターを軸にして、それからパズルを合わせていくみたいな感じで「なんでこいつらは捕まったのか、逃げた後にどうなんのかな」と想像することで書き足していったんです。

――書く作業はいかがでしたか?

これがまた大変で。1か月に一度、編集の方が来てくれるんですけど、それが申し訳なくて(笑)。約束の日が近づいてくると編集の方の顔がチラついてくる。で、3日くらい前からようやくうわーっと書き始めて。誤字もあったり、展開も急だったりでめちゃくちゃだけど、とにかく思いつくままに書くんです。

そんなんやから読み返すとやっぱり粗いんですけど、いったん書き切ろうと。それで書き上げてから結構、手を入れました。読み返してみて、ここはカットしたいなとか、ここはもっと説明入れようとか。

――本を書く上でこだわったのはどんな部分ですか?

どうやったら読んでいる人がびっくりするかなとか、こういう風に動いたら面白いやろうなぁとかをずっと考えて、“まさかの展開”をできるだけたくさん埋め込んだつもりです。

読み始めてすぐにどんでん返しとか、とにかくその章ごとに様々な「えー! そう来るの?」っていうどんでん返しを入れてあるので。驚きのシーンが他の小説よりも多いはず。ある意味、爽快な気分でちょっとずつ読み進めていけると思います。

――確かに予期せぬ展開ばかりが起きていて、そこに引き込まれて一気に読んでしまいました。

そうなんですよ。「予期せぬ展開ってなんだろう?」と思いながら書いたんです。でも、実際の世界だって日々、予期せぬことばかり起きる。だってね、猿岩石時代に一発屋的と評されていた有吉が、数年後ゴールデンのMCになっているって誰が想像できました?

3日で人生がガラッと変わることが全然あるんですよ。一気に天から地に叩き落とされる人もいれば、どん底で這いつくばっていたのに急に頂点に上り詰める人もいる。世の中わかんないなぁと。

――ほかに意識したことはありますか?

戦国時代を舞台にしたってこともあって、わりと生々しい描写もあえて入れました。

日本人って美意識も高いし、人の気持ちを慮るところもあるんだけど、その一方でこの時代の人は生きていくために死んだ人からいろんなものをはぎ取るとか、生々しいところもある。生きるってことは綺麗事だけではいかない何かもあるんですよ。そんな人の業とか生々しさも飲み込んで、自分の中で咀嚼して、自分なりに決着をつけて立て直して、自分の方向を見つけるしかない。

それが五郎左衛門と又兵衛のしぶとくもたくましい生き方につながっているんだと思う。一番下、底辺にいたやつらが、とんでもない目に遭いながらも自分の中で折り合いをつけ、飄々と生き抜いていく様を描きたかったんです。

――五郎左衛門と又兵衛、主人公2人のやりとりが漫才のようで面白かったです。

最初は昔っぽい言葉にしようと思って少し書いてみたんですけど、取って付けたみたいな会話で生き生きとしないんですよ。それで次に標準語で書いてみたんだけど、それもなんか違う。浮いたコントに見えるんです。

それで関西弁にしてみたら、僕のイメージしている2人の絵が見えた。それで「登場人物を生き生きと見せるなら関西弁のほうがええわ」と思って関西弁にしました。

合戦のシーンがない理由は「なるべくお金かからないように…」

――もともと『賽ノ目坂』は高須さんが監督を務めて映像化しているわけで。となると、小説の映像化は考えていますか?

ずっと「自分で撮るなら……」と思って書いていました。自分の中で見えている絵があって「どういう高さかな」「どんな感じの室内の湿度かな」とか、そういうのをイメージしながら。ただ、とにかくどんでん返しというか、珍トリックがたくさん出てくるんですけど、「あれ? これは映像やったらすぐ理解できるけど、文章で説明するとしたらめっちゃ難しいぞ」というのはたくさんあって苦労しましたね。

でも実は、僕がすごく好きなある監督にゲラを見せたら「撮りたい」と興味を持ってくれて! なので、映像化はぜひしたいですね。撮りたいなという願望があったので、シチュエーションもなるべく撮りやすい形にしてあります。戦国時代だけど、合戦のシーンとかないんですよ。なるべくお金かからないようにと(笑)。

――苦労もあったと思いますが、1冊小説を書きあげてみていかがでしたか?

途中はしんどかったですけど、終わってみたら楽しかったんですよ! いや~ほんと楽しかった。

書いてる途中はずっと「これ、面白いの?」と自分で書いていてぜんぜん面白くなくなって。でも、(放送作家の)百田尚樹さんに「高須さん、僕も書いているとき、全然面白くなくなる。でも、それは何度も読み返すことで、いちばん自分が知っている状態になるから。最初にアイデアを思いついたときのパッション、その気持ちを信じて書き切るしかないですよ」と言われて、あの百田さんがそういうなら本当にそうなんだろうと信じて書き続けましたね。

――では、またもう一度書きたいですか?

それはありますね。とりあえず完結はしていますけど、五郎左衛門や又兵衛のアナザーストーリーのようなものも書きたいなと思いました。まあ書きたいと言いながら、実際には書き出せないんですけどね。やっぱり大変さもわかったので(笑)。

――では最後に、本書の魅力を教えてください!

とにかく、まさかの展開ばかりが連続して続いているような1冊です。

驚きのシーンは他の小説よりも多いと思います。他の作家の方は緻密な構成力とか文章力で行くと思うんです。でも、僕は放送作家なので、アイデアをたくさん出してなんぼ。僕が小説を書くってことはそういうことだろうなと思って、(アイデアを)たくさん盛り込んであるので、ぜひ読んでみてください。

 

“痛快”というフレーズがぴったりな小説『おわりもん』。ぜひ抱腹絶倒の“高須ワールド”にどっぷりと浸ってみてください!

『おわりもん』

価格:1,500円(税抜)
発売:幻冬舎

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