2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催に合わせて、政府が昨年12月に始めた新たな認証制度「beyond2020(ビヨンド・ニーゼロニーゼロ)マイベストプログラム」のキックオフイベントが28日、内閣官房で開かれ、第1弾の認証事業者5社が発表されました。マイベストプログラムは、運動や健康増進に取り組んで健康面などの「自己ベスト」を目指す人たちを支援する企業や団体を政府が認証する制度で、一般の人たちも巻き込んで2020年への機運を高めていこうという取り組みです。

ゴールは開会式が開かれる2020年7月24日

この日のイベントでは、認証事業者に付与される新ロゴマークが発表されたほか、ゲスト出演した長野五輪スピードスケート女子500メートル銅メダリストの岡崎朋美氏、パラトライアスロンでリオパラリンピック代表の木村潤平選手、NHK「みんなで筋肉体操」で話題の谷本道哉・近畿大学生物理工学准教授の3人に加え、司会進行役のお笑いコンビ・ペナルティのヒデが、トークセッションで盛り上げました。

マイベストプログラムは、個々人が健康面などの「マイベスト目標」を決め、東京オリンピックの開会式がある2020年7月24日をゴールに取り組んでいこうという、という試みです。その目標達成に向けてサポート体制を整える企業や団体に対し、政府が認証を与え、ロゴマークを付与します。

設定する目標は、人それぞれ。体重や体脂肪率、血圧、血糖値といった健康目標でも「毎日ジョギング」や「毎日1万歩」など運動の実施回数でもいいのです。マラソンや水泳のベストタイムなどスポーツの記録を目標にしても大丈夫。

アスリートたちの「マイベスト目標」は⁉

トークセッションでは、ゲストたちがそれぞれの「マイベスト目標」を発表しました。

まず、司会進行役のペナルティ・ヒデが掲げたのは「ウエストマイナス5センチ」。50代を前に、落ちにくくなったウエストまわりを「5センチ=ホタルイカ1匹分」くらい減らしたいと言います。「これならいけるはず。ウエストはマイナスで、笑いはプラスで!」と意気込みました。

続く谷本准教授の目標は「潜水50m」。専門の「筋肉」とは違う分野ですが、血管の機能を上げ、全身の持久力を高めるために、現在の記録から10メートル増を目指します。「大学が山の上にあるので、日々の通勤途中の坂で、20秒運動して10秒休むタバタ式トレーニングを実践しています」と達成に自信を見せました。

岡崎の目標は「筋肉増大‼」。現役を引退して5年になりますが、「ムキムキだったので細くなりたかったけど、ぜんぜんならなかった」とのこと。そこで、「開き直って、もう一回、アスリートにチャレンジしたくなるくらい筋肉を増量したい」と意欲を語りました。

最後に現役アスリートの木村選手が掲げたのは、ずばり、「金」。2020年8月25日に開幕する東京パラリンピックでの金メダル宣言でした。「アスリートである以上、自分は勝つためにやっている。いちばん勝つには『金』しかない!」と意気込みを語ると、会場から大きな拍手が起きました。

ここで宣言したからには、ぜひ“有言実行”でありたいところ。岡崎は、「期日設定をしてみんなで向かっていくというのは、目標にしやすい。アスリートだけでなく、国民全員がしっかりと健康を維持し、みんなで一緒になって東京大会を盛り上げていけたら」と語りました。

第1弾の認証は5社

一方、今回認証された事業者の第1弾は、スポーツクラブなどを運営するJR東日本スポーツ、セントラルスポーツ、RIZAP(ライザップ)、ルネサンスと、卓球スクールを運営するタクティブの5社。各社が、それぞれの強みを生かしたプログラムを設定しました。

JR東日本スポーツ

フィットネス会員向けに①水泳のタイム②ウェイトリフティングの重量③腕立て伏せ・腹筋の回数④体重・体脂肪などの数値を目標にし、定期的にチェックして記録更新を目指します。子どもたちのキッズスクール会員向けには、水泳のタイム、跳び箱の段数、サッカーのリフティング回数、ダンスのステップの種類などを目標にします。

セントラルスポーツ

会員向けに、インストラクターが体重・体脂肪率・血圧・ジョギング回数などの目標達成に必要なトレーニングメニューを作成。子どものスクール会員にも、水泳・体育・ダンスなどの技術習得に向けて、インストラクターが保護者とともに目標達成をサポートします。

ライザップ

会員向けに、トレーナーが目標設定をアドバイスし、トレーニングメニューを作成する。法人・自治体向けにも、健康セミナーや出張型トレーニングを実施します。ライザップ社員も率先してマイベスト目標を設定。設定する目標は、自分史上最高のカラダ(体重・体脂肪率・肥満度を表すボディマス指数など)や、自分史上最高の健康スコア(血糖値・血圧・悪玉コレステロールなど)など。

ルネサンス

子どものスイミングスクール会員向けに、水泳のタイム測定を行い、目標達成を目指します。なるべくレッスンを休まない、泳法技術を習得する、目標総泳距離を消化する、といった行動目標も設定します。

タクティブ

卓球スクール会員むけに、技術項目の習得やラリー回数、練習回数などの目標を設定し、段階的に、自分のペースで習得できるようにプログラムを作成します。

認証制度は、こうしたスポーツ関連企業のほか、地域スポーツクラブなどの地域団体、従業員向けに健康増進の取り組みをする「健康経営」企業などを想定しています。

運動習慣のきっかけに

今回のマイベストプログラムのコンセプトは、2020年東京オリンピック・パラリンピックの基本コンセプトに沿ったものです。

①「すべての人が自己ベストを目指し(全員が自己ベスト)」
②「一人ひとりが互いを認め合い(多様性と調和)」
③「そして、未来につなげよう(未来への継承)」

という3つの基本コンセプトを、日本全国の一人ひとりの取り組みに落とし込むことはできないか、という考えからスタートしました。

政府はこれまでも、2020年東京大会をきっかけに、日本文化の魅力を世界に発信する企業や団体の取り組みに対して認証する「beyond2020プログラム」制度を進めてきました。すでに和食や祭り、伝統芸能、あるいはゲームやファッションなど幅広い分野で、9,496件が認証されています(2月22日現在)。今回のマイベストプログラムもその一環で、より一般の人たちが参加しやすい仕組みを目指したものとなっています。

内閣官房東京オリンピック・パラリンピック推進本部事務局では、「高齢化が進む中、2020年に向けて、皆さんが運動の習慣を身に付けていただくきっかけになれば」(事務局担当者)と取り組みに力を入れています。