10月24日(木)、ヨシモト∞ホールにて『アーセン・ヴェンゲル氏基調講演会』が開催され、名古屋グランパスエイトやアーセナルFCを率いたアーセン・ヴェンゲル氏が登壇。

ゲストとして、横浜F・マリノスやサッカー日本代表の監督を務め、現在はFC今治・代表取締役会長兼オーナーの岡田武史氏、FC東京の代表取締役社長・大金直樹氏 、東京ヴェルディの代表取締役社長・羽生英之氏が登場しました。

先日、吉本興業と、日本国内におけるマネジメント契約を締結したヴェンゲル氏。キャスターのフローラン・ダバディ氏をモデレーターに迎え、サッカーの未来やスタジアムの在り方について、ゲストと対談を行ないました。

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都市部にサッカースタジアムを作る理由

2部に分けて行なわれた当イベント。第1部では「街とサッカースタジアムの幸せな関係」について、羽生氏と大金氏との対談が実施されました。

アーセナルFC監督時代に、6万人収容のスタジアム建設の陣頭指揮を執った経験があるヴェンゲル氏は、日本で散見されるような郊外型ではなく、都市型のスタジアムを作るべきだとコメント。ヨーロッパのほとんどの地域では、仕事を終えた後でもすぐにサッカー観戦が可能であり、都市部に歩いて行けるスタジアムがあれば、人々が集まり街としても活気づくと持論を展開しました。

羽生氏は、東京には地方出身者が多く、団結してひとつになる機会がありそうでないと言います。都市部に皆が集まることのできるスタジアムを作れば「日本の文化そのものが変わってくるのでは」と期待を寄せました。

大金氏も、2人の意見に同意。また、都市部で災害があった場合にスタジアムが避難場所となるため、絶対に役に立つものだと語り、「サッカーだけでなく、東京のためになるのでは」と話しました。

岡田氏の銅像をヴェンゲル氏が建設!?

第2部では、ヴェンゲル氏と岡田氏が日本のサッカーの過去・未来について対談。

2人は旧知の仲だそうで、2010年の南アフリカW杯で岡田氏が日本代表を率いた際に、予選の日本の対戦相手について話をしたことを明かします。

同じグループステージにカメルーンやオランダなど、強豪国がひしめき合っていたため、当時ヴェンゲル氏からは「グループ突破できるわけないだろう。セットプレーで終わりだよ。もし突破できたら東京に大きな銅像を建ててあげるよ」と言われたと岡田氏は回顧しました。

そんな彼の予想を良い意味で覆し、日本はグループステージを突破。岡田氏からその件に触れられると、ヴェンゲル氏は「クレジットカードを持ってきていない」とジョークで返しました。

ヴェンゲル氏が感じる“日本代表の弱点”

また岡田氏は、日本代表のレベルの高さを認めつつも、「ひとつ歯車が狂うとリカバリーできない」と指摘。負けたり逆転されたりした途端に点を取り返すことができなくなっていたと振り返り、今では自立した選手を育成すべく取り組みを行なっていると明かしました。

また、ヴェンゲル氏も、自身が名古屋グランパスエイトを率いていた90年代の頃と比べると、日本のサッカーはすさまじい進化を遂げたと称賛しつつも「20年前からの弱点を克服できていない」と語る一幕も。2018年のロシアW杯・ベルギー戦で逆転負けした例を挙げ、得点されると慌ててしまう節があると指摘しました。

ヴェンゲル氏は「自信を持って、一歩踏み出す勇気が足りないのではないかと思います」とアドバイス。どんな状況下でもメンタルを強く保っていられる自己肯定感を持ち、「これまでの成功例を糧に、恐怖に打ち勝てる強さが大事」と語りました。

岡田氏が監督時代に感じた日本人の強み

1998年のフランスW杯では他国と「大きな差を感じた」という岡田氏。当時、海外でプレーする日本人選手は少なく、対戦相手はテレビで観てきたスター選手ばかりで、戦いに臨んだものの力が及ばなかったと振り返ります。

一方で、2010年の南アフリカW杯のときには海外で活躍する選手も増え、実力の差が埋まっていたとコメント。相手国には10代の頃から代表としてプレーしてきた選手もおり、結果として日本チームの自信に繋がっていたのではと予想しました。

また、そうした中で、海外の選手にはない日本人ならではの良さも生まれたと回顧。一人ひとりの力では勝てないものの、日本人がひとつになることで大きな力になると言い、ラグビーW杯で活躍したラグビー日本代表や400mリレー走の選手などを例に出しつつ、「(日本は)十分世界でも戦える力を持っている」と述べました。

ヴェンゲル氏の“監督術”とは?

ヴェンゲル氏は、トップクラスの選手は「これがしたい」と頭で考えたものをやってのける力があり、現在の自分の実力とのギャップを埋める術を持っていると言います。そんなトップアスリートに対してフィードバックを行なう際には、選手に受け入れてもらうために、1つのネガティブな要素につき3つのポジティブな要素をつけることを明かしました。

また岡田氏は、日本代表を初めて率いた際、バッシングを受けて落ち込んだものの、スイッチを切り替えて乗り越えたと話します。

そんな岡田氏に対し、ヴェンゲル氏は「選手も一緒だ」と一言。プレッシャーがかかる中で、いかに良いパフォーマンスを発揮できるかに専念することはもちろん、たとえ良いパフォーマンスができなくても切り替えを行なうことが大切だと話していました。

吉本興業では、芸人や俳優の他にも、数多くのアスリートをマネジメントしています。サッカーをはじめ、日本のスポーツ界から今後も目が離せませんね!

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