9月12日(木)、落語家の林家菊丸が10月27日(日)になんばグランド花月で開催される自身の独演会『三代目林家菊丸 二十五周年記念独演会』の発表記者会見に登壇し、公演に向けての意気込みを語りました。

独演会そのものは芸歴10年目から年に1回のペースで毎年開催していましたが、今回は入門から25周年という節目。古典落語『湯屋番』『幸助餅』と創作落語『貢ぐ女』『留学生マットくん』の計四席を口演します。

菊丸「兵動さんは心の師匠」

菊丸は今回の独演会を「独演会で四席務めるのは初めての試みなんですが、これまで積み重ねてきたなかで一番自信の持てるネタです」と紹介。さらに、「現時点での集大成を発揮できるように務めたい」と声に力を込めます。

滑稽噺の『湯屋番』は東京の落語家・林家たい平から教わり、『幸助餅』は師匠の染丸ゆずりの人情噺。「人情噺は年齢とか経験値が重なっていかないと表現できる範囲が限られてくるので、毎年マイナーチェンジしています。『ボジョレー・ヌーヴォー』(フランスワイン)のようなものです」と例える菊丸。

一方、菊丸は入門15年を機に創作落語も手掛けるように。二席のオリジナル落語について「『貢ぐ女』は色恋を題材にした滑稽でちょっといい話。『留学生マットくん』は、実際にうちの師匠のところに勉強に来ていたアメリカ人の大学院生とのエピソードを落語に仕立てました」と明かし、ばかばかしい噺を楽しんでほしいと話しました。

ゲストは矢野・兵動。うめだ花月の頃から出番が同じになることが多く、特に兵動とはかつてご近所だったこともある間柄だそう。「落語の導入部分であるマクラは、日常の出来事の膨らませ方、構成、オチのつけ方など兵動さんの影響を受けました。兵動さんを“心の師匠”と仰いでいます」とのこと。

さらに、なんばグランド花月での独演会は5年前の菊丸襲名時から「25周年で行なう」と目標にしてきた菊丸。「NGK(なんばグランド花月)は、舞台袖から客席にパッと出た瞬間の景色にテンションが上がる劇場。これは他の劇場にはありません」と明かし、いつかは毎年、独演会を上演したいとの夢も語りました。

後継者候補はノンスタ石田!?

ラフマガでは、独演会を控える菊丸にインタビュー! 落語を始めるきっかけや、本独演会の見どころについて話を伺いました。

――改めて落語家になったきっかけを教えてください。

小学5年生の時に、笑福亭仁鶴師匠の『初天神』をラジオで聞いて衝撃を受けたんです。公開録音だったと思いますけど、すごいウケていて「なんじゃこりゃ!?」と。

小学6年生の修学旅行で京都に行った時には京都花月をちらっと覗いたりして。その時も前半で伏線を張って後半から笑いにつなげていく手法に、“落語って面白いな”と思いました。面白い大人の世界を知ってしまったみたいな感じですね。

――小学生の時でしたら、同級生とは落語の話などできなかったのでは?

当時はできませんでしたね。けど、担任の先生に言ったら興味持ってくれました。落語家になろうと思ったのは高校生の時で、その時はもう師匠(林家染丸)のファンでした。

ただ、高校の担任の先生に落語家になると言ったら「それは一時的な気の迷いや」と。「受験が近づいてくると、たまに突拍子もないことを言い出す奴がおる。今日はもう家帰れ」って早退させられて(笑)。

その後、大阪産業大学に進学して落研(落語研究会)に入ったのですが、それでは満足できず1年で大学も辞めました。

母親が女手ひとつで大学まで行かせてくれたのですが……。もちろん母は落語家になることも反対していて、師匠からも「親に反対されている子は絶対に弟子に取らない」と言われて、説得するために初めて親に手紙を書きました。

――どんなことを書いたか覚えていらっしゃいますか?

「将来はなんばグランド花月で独演会をやれるような人間なりたい」って書いてたんですよ。だから簡単に落語家を辞めることはできませんでしたね。仕事がつらかった時期もありましたけど、簡単には辞められないなって、その覚悟だけはありました。

――それから25年。今はどんなお気持ちですか?

今の立ち位置に満足しているかといったら違います。安定して仕事をさせてもらって、レギュラーもあるという意味では、落語家の中ではまあまあそれなりのところにはいるのかなとは思います。でも現状には満足しなくて、“もっと突き抜けないと”と思います。

――菊丸を襲名されて5年ですが、今の心境はいかがでしょうか?

僕は順番では6番目の弟子ですけど、“自分がもっと上に行かなきゃ”っていう思いが強くなりました。(前名の)「染弥」という名前には今でも愛着がありますし、字のバランスもきれいですし……。

襲名の話があったときも「急に菊丸になるの?」と思うこともありましたけど、今はもう朝から晩まで、寝ても覚めてもずっと菊丸が染みつきました。ただ、将来的には誰かに「染弥」を継いでほしいというのはありますね。

――ちなみに、後継者の候補はいらっしゃいますか?

NON STYLEの石田に「染弥をやるで」って言うたんですよ。今の漫才劇場がまだ「5up(ファイブアップ)よしもと」の時、彼も銀行強盗の創作落語を作って着物で口演したんです。ちょうどその頃、山崎邦正さんが月亭に行き、世界のナベアツさんが三枝一門に入って……(石田に)「何やったら林家に来い」と言うていたんです(笑)。洒落ですよ、完全にそう思っていたわけではないです。

兵動から得たトークの技術

――漫才ゲストの矢野・兵動さんからは、どういうところで影響を受けられましたか?

兵動さんは本当にストイックです。芸人って毎日楽しく過ごしてると思う方もいるかもしれないですが、飲んでいる時は面白いことを言うわけでもなく、ただただ芸談。

――その芸談で、漫才と落語に共通点はありますか?

起承転結をつけて落とすというのは一緒です。それと「今日のお客さんにはどんな噺が合うか」と察知する力ですね。それを見誤ると準備してきても意味がないので。お客さんとの間の測り方が兵動さんは敏感で、本当に努力家。努力で来た人やなという尊敬はありますね。

――マクラを考えられるときも、兵動さんの話芸のコツを取り入れたりされるのですか?

そうですね。2分ぐらいで完結できる面白い話をしないといけないので、時間が長すぎてもダメですし。オーソドックスな形は起承転結で最後にオチが来るというものですが、オチをフリにして謎解きのようにしゃべっていくという方が最近はウケがいいことが多いです。どうやってオチまで引っ張っていくかというのも、兵動さんの尊敬するところですね。」

――ラフマガの読者をはじめ、若い世代に向けて落語の魅力を教えていただけますか。

落語は一人芝居。想像しながら楽しむものなんです。想像ですから、お客さんそれぞれ描き方が違うんですよね。落語は日本語さえわかれば必ず理解できます。あと、誰の落語を最初に聞くかによって、好きになるか嫌いになるかが変わってくると思うので、最初に聞く落語は私にお任せください! 絶対に好きになります。

――創作落語『貢ぐ女』『留学生マットくん』も入りやすそうですね。

そうなんです! 最後の人情噺『幸助餅』で“落語は深いな”と思ってもらえると思います。落語家にもいろんな方がいて、六代 桂文枝師匠のように創作のスペシャリストもいれば、古典落語しかしないという職人肌の人もいて。僕はありがたいことに両方やれるので、そこは武器にしてやっていけたらと思いますね。そして60歳ぐらいになったら、文珍師匠のようにじっくり古典に取り組みたいと思っています。

 

菊丸の二十五年というキャリアだからこそ実現した『三代目林家菊丸 二十五周年記念独演会 ~古典と創作~』は、10月27日(日)になんばグランド花月にて開催。ぜひ劇場に足を運んでお楽しみください!

『三代目林家菊丸 二十五周年記念独演会 ~古典と創作~』

日時:2019年10月27日(日)
18:25 開場 18:45 開演

出演:林家菊丸
ゲスト:矢野・兵動

前売:1階席 3,000円 2階席 2,500円
当日:1階席 3,500円 2階席 2,500円(全席指定)

※未就学児入場不可
※場内飲食不可
※劇場でのチケットのお預かりはお断りさせていただいております。

チケットよしもと:Yコード 999010 http://yoshimoto.funity.jp/

お問合せ(10:00~19:00)
チケットよしもと予約問合せダイヤル 0570-550-100

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