8月21日(水)、天津・向清太朗が執筆した新刊ライトノベル『クズと天使の二周目生活(セカンドライフ)5』が発売されました!

“ライトなラノベ”ではない、本気のラノベシリーズ

小学4年生のときの『きんぎょ注意報!』に始まり、アニメや漫画といった「萌え」の世界に早々に飛び込んだ天津向。
『ラブライブ!サンシャイン!!』のヨハネ、『ガヴリールドロップアウト』のサターニャ、『干物妹!うまるちゃん』のうまるちゃん…といった具合にその愛を語らせると芸人の中では右に出るものはいないと言っても過言ではない程の知識量を誇っています。

そんな天津向は早々にライトノベルの執筆を始め、2014年に『芸人デスティネーション』を出版。その後も執筆を続け、全4巻のシリーズ作品へと成長させました。彼はその後、アニメ好き芸人としての仕事の一つで執筆していたウェブマガジン『ニジ★スタ』にておいて『ガヴリールドロップアウト』の作者であるうかみと対談します。向は当時執筆中だった『クズと天使の二周目生活(セカンドライフ)』の挿絵を『うかみ』に依頼し、第1巻の発刊からその魅力的なコラボが話題となりました。

30歳になる、売れない構成作家の雪枝桃也(ゆきえだ とうや)がある日、工事現場から落下してきた鉄骨の下敷きになって死亡してしまうところから始まるストーリーには冒頭からアニメ的展開が期待され、ラノベの世界に没入する仕組みが鮮やかに作られています。
死後の世界で天使エリィエルと出会い、自分の死がエリィエルのミスによることを知った桃也は、無理を言って10年前の過去に戻してもらうことに。
一週目で付けていた「たらればノート」とともに過去に戻った桃也が失敗した過去の改変を目指すという設定は、主に10代から20代がターゲットであるラノベ業界でも分かりやすく受け入れられやすい作風と評価されています。

これまで4作続いてきた同シリーズ。

5作目となる今作では、(架空の)ラジオ番組『あおばラジオ』のスタートにともに加入した新人AD・瀧上由佳、番組スポンサーから派遣された男・九部の登場によって、さまざまなトラブルが勃発します。恋に仕事にと一生懸命生きる登場人物たちが、いきいきと描かれていると早速注目の本作。向だから描く事が出来るラジオ番組の裏側も注目を集めるきっかけとなっています。

ラフマガではそんな著者・天津向を直撃!
ライトノベル執筆という挑戦には、相方・木村卓寛の影響があったことを明かしてくれました。

芸人だからこそ作れる会話劇

――シリーズ5作目が発売となる今の心境を聞かせてください。

4巻出た前作『芸人ディスティネーション』(ガガガ文庫)を超えられたのは、成長した感じがして嬉しいですね。ライトノベルって、6巻までがアニメの12話に当てはまるとよく言われていて。6巻まで出せたら、今作のアニメ化も視野に入ってくるんじゃないかなと思いながら、目をギラギラさせているところです(笑)。

――登場人物がいきいきと描かれていて、全員のキャラクターが満遍なく際立ってますよね。

そんな風に描けていたら嬉しいです。ライトノベルの礎を築かれた(小説家・ライトノベル作家の)あかほりさとるさんと一度ご飯をご一緒したときに、「芸人さんってキャラの宝庫だから、向くんはどちらかと言うとストーリーよりもキャラクターをしっかりと作ったほうがいいかもね」と言ってくださったことがあったんです。そこで改めて周りの芸人を観察してみたら、小説に書いたら逆にそんなヤツいないって言われるようなキャラクターばかりだったんです。

例えば、ピースの又吉なんて全然喋らへんけどお洒落で、サッカーができて、芥川賞を獲っている。しかも、相方の綾部は今までの仕事をほっぽり出してニューヨークへ行ったちっちゃい男前……。普通に考えると、2人ともありえないキャラじゃないですか。だけど、そういう人たちが身近にいることで、逆にリアリティさえあればどんなキャラクターでも物語に登場させられるんだな、と考えられるようになりました。

――身近な芸人仲間の存在が、物語を形成するうえで活きているんですね。

そうですね。すごくお世話になっている博多華丸・大吉の大吉さんって、品行方正な九州男児ながら厳しめなことを言う“黒大吉”の部分が出るっていうすごくキャラクター性の高い方なんですけど、前作の『芸人ディスティネーション』ではそのキャラを女体化して書かせてもらいました(笑)。

――会話のテンポの良さ、ツッコミの成立する会話作りも、芸人だからこそ構築できるものなのかなと思ったのですが。

会話劇的なところは、コントの作り方が活きているかもしれないですね。僕、編集さんの直しは納得するところばかりなので、きちんと受け入れるんです。けど、ツッコミにおいては基本、突っぱねている。ボケももちろんそうですけど、会話においては任せてほしいっていうところに、芸人としての自負があるのかなとは思います。

ライトノベルを書き始めたきっかけとは?

――そもそも、ライトノベルを書き始めたきっかけは?

『ニコニコ生放送』(ドワンゴ)の配信を一緒にやっていたデス電所っていう劇団の竹内(佑)さんが、ガガガ文庫(小学館)からライトノベルを出されたんです。その縁で、配信に来られた編集の方に「向さんも何か企画書を書いてください」って言われたのを真に受けて、山ほど企画書を書いて。そこから1年くらい企画書を出し続けて、ようやく通ったということですね。僕自身、いろいろとやりたいなという思いが……ちょっと待ってください!これ、男前(な人に対する)インタビューになってないですか? 今、我に返りました。ちゃんと僕の変な顔、インタビューの間に挟んどいてくださいね(笑)!

――わかりました(笑)。いろんなことをやりたいという気持ちが強いんですね?

そうなんです。東京に出てきた2009年、相方はめちゃくちゃ売れてたんですけど、僕は2ヵ月くらいヒマで、17連休とかもあったんですよ。そのとき気付いたのは、現時点のことと未来のことを常にやっておかないとピタッと仕事が止まる瞬間があるということ。だから、ライトノベルを書き始めたんです。せっかくライトノベルを書けるチャンスがあるならば、将来のために食らいついてみようと。そうやって早いうちにいろんなことに挑戦してきて、好きなことが今、運よく仕事になっているんだと思います。

挑戦できたのは、相方の“エロ詩吟”のおかげ!?

――小説を書くこと自体、興味があったんですか?

ありましたけど、無理だろうとも思ってました。けど、書くのはタダですからね。才能ないし、文章なんて書いたことないしって思ったらそこで終わりなので。

――普通の人ならできないと思った時点で立ち止まってしまいそうですけど、挑戦する前向きさがいいですね。

そうできたのは、相方のおかげでもあると思うんですよね。相方はずっと「面白くない」と言われながら、「何か好きなものはないか?」「何かできることはないか?」と常に探していて。詩吟の師範代であることを活かそうとしたんですけど、詩吟で普通のあるあるを言っていてスベり続けてたんです。

そんなとき、好きなことを聞かれた際に「僕はセックスが好きです」って答えてから(周りに)「詩吟にしてみろ」って言われて、“エロ詩吟”の原型ができあがった。そうやって、好きなものとできることを掛け合わせたら、オンリーワンのものが生まれるということは、木村くんから教わったことです。僕はライトノベルが好きで、企画書を書くこともできた。挑戦さえすれば可能性が広がるだろうと思えたんです。

――ネタづくりはもちろん、劇団アニメ座の台本執筆など様々な方法で物語を作っていますが、その経験はライトノベルの執筆にも活きてますか?

そうですね。デッカいiCloudみたいな感じで、漫才に使ったものをライトノベルに持っていくこともできますし、ライトノベルで学んだものを脚本づくりに使うこともできるというか。今、インターネットラジオの構成作家もやっていて、いろんな角度で物事が見られるポジションにいることも、全体的にいい影響が生まれてますね。

だからね、若い芸人たちももっといろんなことをやってみればいいのに、と思うんですよ。今って手元に情報がありすぎてわかったような感じになってしまいがちですけど、自由にやったからこそ生まれるものってあるじゃないですか。やっぱり芸人はある意味、異質な集団であるべきなので、もっと自由にいろんなことに挑戦してほしいですね。これ、カッコいい男の人のフリー素材の写真を貼って、伝えてください!

――(笑)。では、最後に改めて新刊の魅力を教えてください。

5巻から読もうっていうキテレツな人はあまりいないと思うんですけど(笑)、僕のような芸人があれこれともがいてあがいて書いている小説を、ちょっとでも読んでみようと思ってもらえたらなと。面白い!と太鼓判を押すことはできますので、読む時間を作っていただけたら嬉しいです。

相方の“エロ詩吟”と同じく、好きなこととできることを掛け合わせて生まれた“作家”の顔。多くの読者から反響を得ている「クズと天使の二周目生活」の5巻は、絶賛発売中です。ぜひ、お手に取ってみてくださいね!

『クズと天使の二周目生活(セカンドライフ)5』

 

著者:向清太朗

定価:593円(+税)

刊行:小学館・ガガガ文庫

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