8月8日(木)、大阪・なんばグランド花月で『吉例 第三十七回 88 桂文珍独演会』が行なわれました。

文字通り、37年続いている夏恒例の独演会。今年は「今、最もチケットが取れない講談師」との呼び声が高い神田松之丞をゲストに迎え、前座はおなじみの“桂珍幻菜”(文珍演じるキャラクター)による高座から始まりました。

文珍「お客様ファーストで」と誓い

珍幻菜は、芸能ニュースを取り入れたマクラでつかみつつ、「お客様ファースト」で頑張りたいと気合を入れます。「今はインターネットですぐにわかる時代」と続け、“あの世とこの世をつなぐアプリ”での顛末を描いた「スマホでイタコ」を披露。師匠たちのモノマネも飛び出し、往年のファンを沸かせました。

続いて神田松之丞が登場。『万両婿』を披露します。なんばグランド花月に初めて立つという松之丞は、「文珍師匠とも実は2、3回しかお会いしていないのですが」と文珍からの出演オファーは意外だったと語ります。そして「いつもニコニコされていますが、目は笑ってなくて、何をお考えかわかりませんね」と笑わせました。張り扇で釈台を叩きながらリズミカルに物語を進める松之丞のメリハリのある講談に、会場は一気に引き込まれました。

「松之丞さんは口跡がよくて聞きやすいですね。売れるのも分かるような気がします」と語る文珍は、「持参金」という題で知られる古典落語にオリジナルの解釈を加えた『不思議の五圓』を口演しました。早速、松之丞のネタのくだりも取り入れ、笑わせます。「金は天下のまわりもの」がテーマの「持参金」ですが、「最近は回らんようになった」ことや、昨今の女性の活躍も含め大幅に演出を変えたと明かしました。

「天神山」で大阪の春を活写

「88独演会」は毎年夏に行なわれることから、夏の噺が多かったため、最後に「今年は春の噺を」と文珍が『天神山』を口演。

『天神祭』は、若い頃に師匠の五代目文枝に稽古をつけてもらったという、思い入れの深い一席。大阪・一心寺の春の様子から描いた一席で、かつての大阪の町の様子を生き生きと描き、会場を花見遊山へと導きます。そして、幽霊やキツネが登場する場面では怪談めいた描写もあり、夏らしさを感じられる一幕もありました。

昨年、古希を迎えた文珍ですが、95歳を「珍寿」と呼ぶことを最近知ったそう。2020年の2月から3月にかけて、東京・国立劇場大劇場での20日間にわたる独演会が控えていることもあり、「それぐらいの歳まで元気でいたい」と語ります。「ゲストには、今、一番会いたいノリに乗っている皆さんを迎えます」と、日替わりで旬の落語家が登場することも明かしていました。

70代に突入してなお、高見を目指す文珍。「来年もまたお目にかかりたい」と、今年の「88 桂文珍独演会」を締めました。

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