テレビやラジオで活躍する人気お笑いコンビ・プリマ旦那。2018年にボケ担当の野村が『劇団コケコッコー』を旗揚げし、昨年行われた2回の単独公演は、いずれも成功を収めています。

注目の第3回公演『雨やどり』は、3月22日(金)・23日(土)・24日(日)に大阪・ABCホールでの上演が決定。今回は、脚本・演出・主演を務める野村にロングインタビューを敢行しました!

古いアパートに集う兄弟とその周辺の「ありふれた感情」を描く

——今回はどんなお話ですか?

「ポスターに写っている建物からインスピレーションをもらったんですけど、いずみ荘という古いアパートがあって、そこに集まっている人たちのドタバタを描いていた物語です。僕と洲崎(ラニーノーズ)が兄弟を演じています」

——兄弟が主役なんでしょうか?

「そうですね。この物語では、僕が演じる兄が、何もできないダメなやつなんですが、気づいたら兄の周りには、人が集まってる。一方、弟は昔から器用で何でもできて、褒められるんだけど、兄のようにはいかずどこか孤独で、そんな自分にコンプレックスを抱えてる。兄は兄で、できの良い弟とずっと比べられて……といった関係です。物語では兄弟ですけど、人間、生きていると無い物ねだりで、隣の芝が青く感じるでしょう。そういう、ごくごくありふれた感情を描きたいなって思ったんです」

——「雨やどり」というタイトルは何が由来なんでしょうか?

「普遍的な言葉じゃないですか。その雨やどりって言葉が、なんか忙しなく生きてる人が立ち止まって、人生をちょっと振り返るなど、“今置かれている状況について考える時間”みたいな風にも受け取れるなって。そういう意味合いで『雨やどり』というタイトルにしました」

——前作の『恋の文』はリスナーの手紙がきっかけで制作したとお話しされてましたが、今回は何に着想を得たんでしょうか?

「ふざけんなって思われるかもしれないんですけど、ホンマにただ雨やどりしただけなんです。仕事の帰りにいつも寄る飲み屋さんがあるんですけど、店に差し掛かる手前で「今日はおとなしく帰るぞ、飲まずに家に帰って仕事するぞ」って思ってたらサーッと雨が降ってきて、傘を持っていなかったんで、お店に入ったんです。

ママに『あんた、昨日も来てたな』って言われて『いや、雨やどりでちょっと寄ってん』と答え、一、二杯引っ掛けてるうちに、同じように雨やどりしに来た人が何人かパラパラと入ってきたんですよね。そのときに、“雨やどり”って不意に出た言葉がすごく頭の中で回って。結局その飲み屋には2時間くらいたんですが、ひたすら雨やどりから連想するものをメモしましたね。“雨やどり”というイメージが、すごくしっくり来たんです」

主役のラニーノーズ・洲崎は「実は不器用な奴」

——今回の見どころは?

「気心の知れた飲み友達とやってる社会人劇団なんですけど(笑)、毎回いろいろなことに挑戦しています。これまでに僕らの公演を観てくださっている方が好んでくれている空気感は保ちつつ、「あ、この人がこんな雰囲気のキャラクターを演じるのね」と意外性を持たせられるような、これまでのイメージとは違うキャスティングを意識していますね」

——爛々の萌々さんが初出演ですが、今回の抜擢の経緯は?

「短編のお芝居に出てもらったときに、なんだかすごく映えるというか、光りそうだなって勘が働いて。実際に上演したら、お客さんや演者、スタッフさんからの評価がすごく高かったんです。本当に面白いやつで、真っ直ぐなんですよね。ずっと悶々としてて、もちろん元々の人柄もあるでしょうし、若さもあるんでしょうけど、ずっと葛藤に向き合ってるんが、20代のときの自分と重なるところがあって。また、誰しもが忘れちゃうような気持ちを、我々オジサン、オバサン連中に思い出させてくれる、すごくいいキャラクターです」

——今回の主役をラニーノーズ・洲崎さんに任せた理由は何でしょうか?

「洲崎ってちょっと“いびつ”なんですよね、すごくクールに見えて、熱い一面も見せるし。周りからはバンドもやったり、芝居にも挑戦したりして、器用なヤツってイメージもあると思うんですけど、僕は逆にすごく不器用なところもあるなぁっていつも思ってて。『こいつはこいつで、周りのイメージと、自分の元々の性格との軋轢が絶対あるやろな』と。それが、今回の弟にすごくダブるイメージがあって、お願いしたんです」

——話を持ちかけたときの洲崎さんの反応は?

「笑ってましたね、『僕弟ですか?』って。僕と洲崎、伊丹の3人が同い年で、普段からよく遊んでるんです。なんとなく芸歴順の部分もやっぱりありますし、僕が長男で伊丹が次男、洲崎が三男って感じはありますね。洲崎はほどよく無神経で、たまに人を怒らせることもあるのが面白いなと思ってます」

相方の河野の登場やいかに…!?

——今回、相方の河野さんは……?

「今、コンビとしてすごくいい状態で。仲良いのはもちろん、お互いがなんとなく、ちょっとずつ自分のやってきた仕事やプレイスタイルが認められて、需要がでてきた手ごたえを感じています。

相方は司会業など、リアクションを求められる明るいキャラクターで活躍するような場にご縁があって。僕は落語だったり、劇だったり、本を書くというところに特化していってます。

だからまぁ……今回、出演はないです(笑)。なんか逆に、今くらいの僕らで相方を出すと気色悪がられそうで。ズブズブやん、みたいな(笑)。

生モンの舞台って、向き不向きが絶対あると思うんですよ。乱暴な言い方をすると、撮り直しができるか、できないか、という。それこそ映像の世界に飛び込んで行く日が来たら、相方は多分撮り直しができないとてんやわんやすると思うんで(笑)、映像とかで寄ったときに面白いとか、そういうのをいつかお願いしたいな、と」

——今回、苦労しそうなところは?

「例えば女性目線で世の中を見たときに、『男性のしょうもないひと言でカチンときて、女性が怒涛の勢いで言い返す風景』って、どこにでもあると思うんです。飲み屋でも、会社でも学校でもありますし。

そういう身近なやりとり一つひとつに、一緒に演じる皆さんの素敵な個性をちょっとずつ反映させたり、逆に自分の性格にはないキャラクターをお願いしたりもしているので、そこを表現するのは苦戦しはるやろうなって思いますね(笑)。

困らせるのも好きですし、困ってる皆も好きですし、本番が近づいて困ってる自分も好きです(笑)。でも、生モンならではのいい緊張感、いい気の抜け方とかを再現したいな、という気持ちでいっぱいです」

掛け布団のシーツを用意して劇場へ

——最後に、ラフマガの読者に向けてメッセージをお願いします!

「結構いろんな方に『なんで売れてもないうちから劇団なんかやるんや』『芝居なんて書くな』って言われたんです。実際自分で脚本を書いている方々にも、『俺たちは売れてから書いた』って言われて。それで、なんで書くんだろうってすごく考えたんです。

で、お叱りもごもっともなんですけど、僕はやっぱり若いうち、収入もないうち、ホントだめなうちから、作る、紡ぐ言葉こそが、皆さんにより身近に感じ取ってもらえるんじゃないか、と思うんです。なんか今のうちにそういう青臭いこと、馬鹿らしいこと、今思ってることを伝えたいって気持ちでやってる劇団です。

そして僕、人生相談を受けることが多いんですけど、よくよく聞いてみるとコケコッコーの作品に触れた人が、何か僕に対してすごく自分の人生の活路を見出してくれる人だって思うのか、チケットの予約より『私この先どうしたらいいですか?』って相談してくる方が多いんです(笑)。

その答えを提示できるかどうかと言えばおこがましいんですが、僕たちの作品が少しでも明日への活力につながるなら、こんな嬉しいことはないと思います」

——前回はタオルケットの用意を促されていましたが、今回も泣ける芝居ですか?

「泣かしにかかるみたいなことを言われるんですけど、そうじゃなくて、僕の触れてきた作品がそういうものだったんです。日本映画だったり、昔の吉本新喜劇だったり、一生懸命そこに生きてる人がなんか笑えて、なんか泣けるような物語を目指してて。それぞれが一生懸命その役の人生に向き合うので、やっぱりなんか重なるところがあれば、泣いちゃうかも知れませんね、という……。

なので、今回は掛け布団のシーツを用意してもらって(笑)。普段はお笑いなんで笑いに特化してますけど、お芝居ですから、なんかこいつめちゃくちゃ腹立つ!とか、応援してやりたいとか、いろんな気持ちになってもらえたらなって思います」

——ありがとうございました!

劇団コケコッコー第三回公演『雨やどり』

【公演日程】
3月22日(金) 19:00開演
3月23日(土) 15:00開演、19:00開演
3月24日(日) 14:00開演、18:00開演

場所:大阪府 ABCホール(〒553-8503 大阪市福島区福島1丁目1番30号)

【キャスト】
野村尚平(プリマ旦那)、洲崎貴郁(ラニーノーズ)、伊丹祐貴、北野翔太(吉本新喜劇)、大西ユースケ、中谷祐太(マユリカ)、堀川絵美、辻凪子、樋口みどりこ(つぼみ)、鮫島幸恵(吉本新喜劇)、佐々木ヤス子、吉岡友見(吉本新喜劇)、萌々(爛々)

【チケット料金】
前売3,500円 当日4,000円
チケットよしもと 0570-550-100
Yコード 506-563

チケットよしもと