2月14日(木)、エンジェル投資家ならぬ“エンジェル労働家”を自称する須田仁之さんが初めての著書『恋愛依存症のボクが社畜になって見つけた人生の泳ぎ方』(ヨシモトブックス刊)が発売されます。

本著は、吉本興業とSTORYS.JP(ストーリーズ)による1人ひとりの人生の物語を発信するプロジェクト『カタリエ2』のノンフィクション部門の大賞を受賞した作品に大幅な加筆を加えたもの。茨城生まれの平凡な青年だった著者が都会に憧れて東京の大学へ進学。

その後、ソフトバンクグループに入社して『Yahoo!BB』の立ち上げに参加したり、『スカパー!』の草創期に立ち会ったりと、変わりゆく社会の中で“社畜”として働きながら、恋愛にのめり込んでいった軌跡がリズミカルな文章で描かれています。

今回は、著者の須田さんへインタビュー。『カタリエ』応募の経緯から執筆中のエピソードなどを伺いました。

――まず、『カタリエ』に応募するに至った経緯を教えてください。

「2012年頃、TwitterやFacebookでストーリーズという面白いサービスがあると拡散されたんです。僕たちIT業界の人間って新しいサービスができるとすぐイジってみるっていう職業病を持っているので、とりあえず登録だけして、書こうと思っている題名を箇条書きしていたんです。

で、何十件か、この題名が読みたいっていう通知をもらっていたんですけど、いつか書こうと思いながら後回ししていたら、2016年ごろに、よしもととストーリーズが提携して原作開発プロジェクトを手掛けることを知りました。よしもとが参入しているなら本格的なんだろうなと期待を持ちまして。

さらに、将来的には映像化されるかもしれないとあったので、第1回の『カタリエ』で『Yahoo!BB』の立ち上げ経緯を書いたんですね。全部で1万3000字、大学の卒業論文すらロクに書かなかったので人生最大の長文でした。アップしたら、SNSで影響力のあるインフルエンサーが拡散してくれて話題になったんですけど、賞は取れなかった。

その後、ストーリーズの方と知り合うなかで第2回が開催されることを知ったので、前回より気合を入れてお惣菜屋さんを潰した話を書いたんです。それが評価され、大賞をいただくことになりました」

――大賞を受賞された時、どんな風に思われましたか?

「まず、なぜ前回は賞が獲れなかったんだろうと考えましたね。それに前回、決勝まで進んでいたこともあって、今回は決勝には行けるだろうと思っていたので、“よっしゃー!”という感じでもなかったというか……。大賞と言っても、坂田さんとダブル受賞だったのもちょっと引っかかりました(笑)。でもまぁ、嬉しかったですけどね」

――書籍化するにあたって、人生最大の長文をさらに10倍にする作業は大変だったんじゃないですか。

「最初の打ち合わせは……いつでしたっけ?(と言いながら、パソコンへ向き合う)」

――すべてメモを取られているんですか?

「忘れてしまうので、データにして整理しています。……そうだ、4月末に書籍化したいという話をもらったんですけど、僕はそのメールに対して“本って分量が多過ぎて、今どきじゃないね”って返してます。

要はこんなのやりたくないっていうのが最初の意思表示で、もし本にするなら相田みつをの詩集だとか『人生はニャンとかなる』だとか、水野敬也みたいなテイストの本なら出してもいいなと思っていた。

あとは漫画とか、とにかくワードの少ない本がいいなと。ストーリーズの清瀬さんから池井戸潤の本を勧められましたけど、スルーしましたね(笑)」

――そこから、どうやって執筆の意欲を湧き起こしていったんですか。

「確か(制作サイドに)漫画化はできないと言われて執筆の方向へ説き伏せられたんだと思うんですけど、まず本を読んだことがないから書き方がわからなかった。

そこで、東大卒の編集者と以前、一緒に働いてた会社の後輩にいろんな本を紹介してもらったんです。で、図書館に行っていろんな本を読んでいるうちに、読書にハマりました」

――執筆中は、どんな本を読まれていたんですか?

「とにかくいろんな本を読んだのであんまり覚えてないですけど、夏目漱石の『坊ちゃん』と『こころ』は面白かったですね。村上春樹の『1Q84』『職業としての小説家』も非常に面白かった。

また、『江分利満氏の優雅な生活』はサラリーマンの人が書いた話で、僕の本のテイストと近かったので、今回書く上で参考になりました」

――『カタリエ2』で発表されたものには、恋愛的な要素は入っていませんでしたよね。なぜそちらを書き加えることになったんですか。

「打ち合わせの際、過酷すぎる激務で逃げてもおかしくない状況だったにも関わらず、なぜ仕事に打ち込めたのかという話になって。なんでだったんだろうと振り返る中で、女の子にフラれて心が灰になったから、そうするしかなかったんだということを思い出したんです。

で、実際に書いてみたら、仕事より文量が増えてしまったので、両方入れようという流れになったんだと思います。……普通、自分の恋愛のことなんて書きたくないですよね?

ですが、これを書いてる時はなるようになれっていう気分になっていたんでしょう。それに、かなり書いてしまったので引き下がれなかったという気持ちもあったと思います」

――以前からインターネット上にいろいろな文章を書かれていたそうですが、文章を書くこと自体はそんなに苦ではなかったですか。

「どちらかと言うと、楽しかったですね。脳の奥にある引き出しを開けているような、昔の写真を見ているような感覚があって。昨年の6月くらいから書き進めて、8月にはすでにこの形になっていました」

――その間、読書もしてたわけですよね? インプットとアウトプットをものすごいスピードでやってしまったんですね。

「まさにそうでしたね。書き進める中で気を付けていたのは、“読んでくれる人が身近に感じてくれるようなものにしよう”ということ。

僕は普段、本を読まない。本1冊に1,500円払うならハイボールを数杯呑んだほうがいいと思っちゃうタイプなので、ある程度ウケることも意識して書きました。

例えば具体的な地名を入れたり、上司にニックネームのようなものをつけたのも、その一環ですね。そのほうが身近に感じてもらえるだろうなと思ったんです」

――どんな方に読んでもらいたいですか?

「社畜として働いている20代男性、ですね」

――とは言え、今の世代の思う“社畜”とこの本で描かれているものはレベルが違うというか。

「確かに、あの時代ならではの行きすぎた感じがありますよね。なので、若い世代の方にはこういう時代もあったんだと思ってもらえれば。

実際、『カタリエ』に書いたものを読んでくれた人から『勇気が出ました』とか『私の苦労はまだまだ甘いなと思いました』っていう感想をもらったくらいなので、この本を読んでこの人より自分はマシだなと思ってもらえればいいですね。

あとは悲しい男のストーリーが好きな人、ビジネス書を読み飽きたハイキャリア30代男性、平成を懐かしみたい40代前半、村上春樹が好きな女性とかに読んでもらいたいです」

――映像化するという言葉に惹かれて『カタリエ』に挑戦されたと話されていましたが、もし映像化されるなら、ご自身の役はどなたに演じてもらいたいですか。

「“すだ”つながりで、菅田将暉さん! 孫さんは 高橋克己さん。元カノのまみちゃんは永野芽郁ちゃんが演じてくれたら嬉しいです」

――では、最後に『ラフ&ピースニュースマガジン』を読んでくださっている方に本のアピールをお願いします。

「このサイトを読まれている方はきっとお笑い好きな方が多いでしょうから、こういう本はあまり読まないかもしれません。が、今は無名の僕ですが、まだ売れてない芸人さんに目をかけるように、僕にも目をかけてみてくれれば。もしかしから、ココから売れるかもしれませんよ!今なら間違いなくファン1号です。まずはこの本を読んでみるところからスタートしてみてください!」

現在、須田さんのTwitterアカウント(@sudax2000)にて、本著出版を記念した人生相談キャンペーンを開催中。「Peing質問箱」で恋愛や仕事に関する相談を受け付けていますので、ぜひお悩みのある方は相談してみてはいかがでしょうか。素敵なアドバイスをもらえること、間違いなしです!

恋愛依存症のボクが社畜になって見つけた人生の泳ぎ方

著者:須田仁之
価格:1,404円(税込)
ヨシモトブックス刊