2019年より神保町花月がスタートさせた「“演劇界を賑わす脚本家・演出家・舞台俳優×よしもと所属のタレント・芸人”のシナジーにより、新しいスタイルの演劇を創っていく」という試み。

その第2弾として2月20日(水)より上演されるのが、劇団ONEOR8が08年に上演した『莫逆の犬』のリメイク作品です。

罪を犯し、自分の父親と彼女に匿われ、身を隠すために家から1歩も出ない男の10年が描かれる今作の主人公・一郎を演じる宮下雄也と、その父親役の板尾創路に、今作の見どころや稽古場での様子、演じる上での苦労などを聞いてきました!

宮下「初演を観た時は、ズシンときました」

宮下雄也(左)、板尾創路(右)
出典: ラフ&ピース ニュースマガジン

――宮下さんは今作への出演を熱望されたそうですが。

宮下「12年前ぐらいに(今作の脚本・演出の)田村さんと一緒にお芝居させていただく機会があったんですけど、そこからお会いしていなかったので、田村さんに直接言ったわけではないんです。

ただ、よしもとの神保町花月のプロデューサーさんから『2月に田村さんとやるねんけど』っていうお話を聞いた時に『ぜひ僕も出演させてもらいたいです』と言って、それが『莫逆の犬』だということを後々知ったという感じです」

――じゃあ、『莫逆の犬』の上演は知らずに「出演したい」と言われたんですね。

宮下「そうですね。田村さんの舞台はよく観に行っていたので、ぜひ出演させていただきたいなと思いました」

――オリジナルと今回のリメイク作で、変わっている部分はあるのでしょうか?

宮下「僕は初演を観に行ってるんですけど、11年も前なので細かいことは覚えてなくて。

でも、心にズシンとくる舞台だったことはすごく覚えてます。今作では、特に板尾さんのシーンが初演とはちょっと違うなと思った部分は結構ありました。

今回の上演のために、新しく書き下ろされた部分もあると思います」

――今回の企画に田村さんが参加されるのは、板尾さんの推薦があったそうですが。

板尾「そうですね。そもそも神保町で劇団の人と一緒にやるという提案を僕がして、田村くんとお話しして、色んな人の名前を出して。

で、よしもとの方からも案が色々と出てきて、そこからみなさんにお願いして、何年かのスパンをかけてやっていきましょうということになったんですよね」

――じゃあ、田村さん以外の方のお名前も何人か出されたんですね。

板尾「そうですね。僕の知る限りのいいと思う方のお名前を挙げさせてもらって。だから、この先もそういった方のお芝居が上演されるかもしれないです」

――田村さんを推薦された理由は?

板尾「彼は優秀な脚本家であり演出家だと思ってますし、よしもとの若手が今の人気劇団の演出家の演出を受けるというのはあまりないことだと思うので、今回の企画を考えた時に田村くんの顔が思い浮かんだんです」

板尾「田村くんは、理想の舞台に導いてくれる人」

――以前一緒にお仕事されたことがあると思いますが、その時はどんな演出家だと感じられたんですか?

板尾「ホントにごもっともというか、的確な演出をされる方で。純粋にいいものはいい、ダメなものはダメで、理想の舞台にちゃんと導いてくれるんです。

脚本家であっても、役者であっても、スタッフであっても目指すところは一緒ですから。『いいものを作ろう』という志で、一緒にやっていける演出家だと思いますね」

――2人は今回親子役ということですが、稽古をしてみてどんな感じですか?

板尾「何回か共演してるよな? 舞台も映画も。親子役じゃないけど」

宮下「はい」

板尾「まぁ、年齢的にも親子ぐらい離れてるし、舞台の上でちゃんと親子に見えればいいなとは思います」

宮下「でも今回、部屋の中というワンシチュエーションの舞台なので、稽古してても緊張感がすごいというか……キュッとなります。

しかも神保町花月って客席数も120くらいの観やすい劇場なので、そういう緊張感もありますね」

――過去にも何度か共演されたということですが、これまでにお仕事以外の交流はありましたか?

宮下「特にはないんですけど、僕がまだ18歳の時に、俳優でもある腹筋善之介さんが演出を手掛けられた舞台でご一緒したのが最初の共演です。その時にいただいたGジャン、まだ持ってます」

――今でも着たりするんですか?

宮下「いや、すごいいいやつなんですよ」

板尾「そんなことないよ、別に(笑)」

宮下「めちゃくちゃ高いやつなんですよ、絶対。で、僕がすごくいいやつだから、板尾さんに『なんか書いてください』ってお願いしたら、裏地のところに『3年2組 板尾創路』って書いてくれて……(笑)。それをずっと持ってるんです。たぶんヴィンテージのやつじゃないですかね」

板尾「いや、そんなたいしたことないって」

――「3年2組 板尾創路」って書いたことは覚えてるんですか?

板尾「なんか書いたのは覚えてますけど、何を書いたかまでは……。たぶん、その時の思いつきだと思います(笑)」

宮下「(笑)」

――板尾さんは、15年前に共演された時の宮下さんの印象はいかがでしたか?

板尾「まぁ、当時は若かったし、まだグループ(RUN&GUN)で活動してたし、みんな生き生きしてて。なんかみんなキラキラしてましたね。今はちょっと、なんでしょうね。なんかもう……ちょっとよどんでますね(笑)」

宮下「その通りだと思います(笑)」

板尾「だから、今回の役にはちょうどいいんじゃないですかね」

宮下「苦労しているところは全部」

――昨年の会見時、宮下さんは「ボクサーみたいな減量をしようと思ってます」とおっしゃっていましたが、相当減量されたのでしょうか?

宮下「やってるんですけど、30越えてからは、肉がすごい落ちにくいですね。ダンスをやってた時は代謝がめっちゃよかったんですけど、やめてからは……。食べる量は変わらないんで。あとお酒もあると思います。

だから、ジムに行ってトレーナーと一緒にやってるんですけど、ある一定からガクンとくるみたいなんですよ、やせる時って。ちょっとずつは減らせてるんですけど」

――大変そうですね。

宮下「いや、それは役作りの一環なんで、プライベートというより作品のためなので、大変だとは思ってないです」

――板尾さんはどうですか? 宮下さんが減量されている姿を見ていて……。

板尾「いや、あんまり見た目わからへん(笑)」

宮下「(笑)」

板尾「でも、別にいいんですけどね。10年ぐらいの長いスパンの話やから」

――確かに、10年の変化を2時間ほどの舞台で見せるんですもんね。

板尾「だから、どこに照準を合わすんやっていう話なんでね。まぁ、そこそこでいいんじゃないですか?」

――脚本・演出の田村さんは厳しい方だそうですが、実際に稽古に入られていかがですか?

宮下「いい舞台を作ろうという志の高い方なので、そこについていくというか、僕らもいい舞台にしていこうという気持ちは絶対に必要だと思うので、特に厳しいとは思わないですね。すごくまっすぐに初演に向かって突っ走る方やなと思います」

――役柄を演じる上で、苦労している部分はありますか?

宮下「全部ですね。まだわからないところもいっぱいあるんですけど。でもワンシーンワンシーンが1年ごとの話なんです。で、まだ最後の年まで稽古ができてないんですけど、最後までやってみたらわかることもあるのかな、と思ってます」

――板尾さんはお父さん役を演じられる中で、10年の変化をどう演じようと思われているのでしょうか。

板尾「それは、気持ちを持ってやればそう見えていくとは思うんですけど。1人の役者が2時間弱の舞台の中で『10年経ったなぁ』って感じさせるのは役者だけでは難しいんで、それはまぁ、美術だったり演出であったり、そういうものでそう見えていくんじゃないかと。

もちろん意識しては演じますけど、10年前と10年後でどう変わるのかといっても、体型を変えるわけにもいかないし(笑)。そこは映像と違って舞台なんで、もちろんある程度のリアリズムは必要ですけど、抽象的にやることなので、お客さんに感じてもらえるようにやらないといけないとは思いますね。

映画やドラマでは味わえない気分になってもらえるはず

――稽古場でのエピソードはありますか?

宮下「まっったくないですね(笑)。今作は僕から見た視点の話なので、僕はずっと出てるんです。なので、休憩の時も次のシーンの台本を読んでたりして、気付いたら誰ともしゃべってなくて……。家に帰っても誰ともしゃべってないですし、全然しゃべらなくなりました」

――稽古場ではセリフ以外はしゃべってない?

宮下「そうですね。セリフ合わせに付き合ってもらうぐらいで。

あと、エピソードというほどでもないんですけど、稽古がスタートしたばかりの頃に稽古場で風邪がめっちゃ流行ったんです。インフルエンザも怖いなっていうのがあるから、とにかく体調にはビビりながらやってますね。もしかしたら、役柄的には体調悪いぐらいの方がいいかもしれないですけど(笑)」

――(笑)。では最後にラフ&ピース ニュースマガジン読者にメッセージをお願いします!

宮下「こんなこと言うと『前の舞台はどうやねん』ってことになるんですけど、ほんまにおもしろい演劇というか、骨太で、観た人が絶対に映画やドラマでは味わえないような気分になって帰ることのできる作品だと思うんですね。

で、それがズシンときて、ずっと心の中に残っているような舞台になっていると思います。ここ数年の中で一番おもしろいと思ってますし、脚本・演出も素晴らしいですし、共演者の方々もすごく個性があっておもしろいので、僕が真ん中に立って、千秋楽ではお客さんの前でお辞儀できるように、稽古場で身を削ってがんばりたいなと思っていますので、ぜひ観に来てください!」

板尾「脚本が素晴らしいし、よくできていると思うので、脚本に負けないように、よしもとの若手ががんばって仕上げていければと思います。

神保町花月はお笑いの劇場なんですけど、この作品にはギャグとか一切ないし、シリアスな話なんで、演劇として観に来ていただけるといいのかなという気がします。僕らはあくまでもいい状態に仕上げるという……。

当日券は5,000円ですから、5,000円分の何かは持って帰ってもらえるようなものに仕上げないと、と思ってますので、よろしくお願いします」

これまでの神保町花月の演目とは、ひと味もふた味も違う本作品。ぜひあなたも足を運んでみては?

神保町花月2月公演『莫逆の犬』

日時:2019年2月20日(水)~3月3日(日)
場所:神保町花月
料金:前売4,500円(税込) / 当日5,000円(税込)
チケット:発売中
■チケットよしもと Yコード:999-070
0570-550-100(24時間受付)
■チケットぴあ Pコード:597-723
0570-02-9999(24時間受付)
■ローチケ Lコード:34409
0570-000-407(オペレーター予約10:00~20:00)

脚本・演出:田村孝裕(ONEOR8)
出演:宮下雄也、冨田直美(ONEOR8)、山口森広(ONEOR8)、恩田隆一(ONEOR8)、大谷麻乃、ヒラノショウダイ、西田どらやき(入間国際宣言)、奈良岡にこ / 矢部太郎(カラテカ)/ 板尾創路

公式サイト https://bakugyakunoinu.yoshimoto.co.jp