落語家・桂文珍の真夏の恒例『吉例88桂文珍独演会』が、今年も8月8日(日)に大阪・なんばグランド花月(NGK)で開催されました。兄弟子である六代 桂文枝が初めてゲストとして参加した今回の独演会。噺はもちろん、文珍の時事ネタを盛り込んだ挨拶や、文枝が文珍と出会った50年前のことを語った小咄などで、大いに盛り上がりました。

“笑いの集団接種会場”で抗体を

独演会は、文枝の弟子である桂三実の前座からスタート。『寿限無』の口演で会場が温まったところで、いよいよ文珍の登場です。舞台に上がると一礼し、ゆっくりと高座へ。「毎年8月8日に独演会を行なって、今年で39年目になります。それも皆さまのおかげです。来年は40年、吉本興業も110周年。かれこれ51、2年、吉本にお世話になっています」と挨拶します。

「今年はめったにない状況下での独演会でして、皆さまにマスクをしていただいたり、いままでの独演会とは形が異なります。今日は“笑いの集団接種会場”として、まずはわたくし“ファイザー文珍”と、あとで“モデルナ文枝”の混合接種で、ますます皆さん方は抗体ができまして、お元気になられるんじゃないかいな」

新型コロナに絡めた時事ネタを盛り込みながら笑いを取り、ヒートアップしたところで「だいぶ、調子が出てきた」と、演目『軒付け』を披露します。

続いて文枝が登場。「今年になっていろいろとあって、元気出しなはれと(この会に)呼んでもらって感謝しています」と挨拶すると、50年以上前、文珍と初めて会った当時のことを鮮明に語り始めます。

文珍に、五代目桂文枝のもとに弟子入りするよう強く勧めたという文枝は、「実は師匠の面倒を見る人がほしかった」と明かします。そして、「文珍はいつも明るくて、笑っている」と、文珍の特徴的な笑い声をマネするマクラで沸かせ、自身の創作落語『笑わない男』を口演。ダジャレも織り交ぜながら大いに笑わせました。

師匠が好んだ『たちきれ』披露

この日、最後のネタは文珍の『たちきれ』。

「医者も施しようがないのが恋の病。それは時代がどう変わっても、ずっと同じこと。上方落語のなかでは珍しい噺を今日はやらせていただきます」

文珍はこう語ると、大店の若旦那と芸者小糸の悲恋を描いた演目が始まりました。

声の強弱で喧騒と静寂を支配し、後半は迫真の演技で観客の涙を誘います。クライマックスに差し掛かると、舞台の照明がすっと暗くなり、スポットライトに照らされた文珍の姿がぽっかりと浮かびあがります。三味線の演奏と地唄の「雪」が聴こえてくるなか、固唾を飲んで文珍の一挙手一投足を見守る観客。オチでは緊張の糸が切れ、温かい拍手が沸き起こりました。

45分間たっぷりと熱演した文珍は、「師匠の文枝がようやっておりました『立ち切れ線香』を、今日のお客さまはずいぶんと聴き巧者の皆さんでございますから、それに甘えてやらせていただきました」と満面の笑みを浮かべます。

最後には、「大変なご時世ですが、お互いに生きる力を信じながら、こんな時代を乗り越えてがんばって参りたいと思います。来年は40回です。そのころはにマスクを取って、お互いに大いに笑えるような時代を迎えていたいと思います」と挨拶。落語会には珍しく洋楽が流れるなか緞帳(どんちょう)がゆっくりと降りて、文珍が両手で作ったハートマークを会場に向けて飛ばし、お開きとなりました。

 


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