お笑い芸人にして柔道2段の“猛者”として知られるガリットチュウ・福島善成と、格闘技界のレジェンド・桜庭和志。彼らがマットの上で激突した格闘技イベント『QUINTET FIGHT NIGHT7 in TOKYO』は、異様な盛り上がりを見せました。あえなく完敗した福島ですが、今回は改めて“師匠”である桜庭と夢の対談! 試合のことはもちろん、桜庭のプライベートから福島へのアドバイスまで、たっぷり語ってもらいました。

「QUINTET」は、桜庭が2018年に立ち上げた新しいグラップリング(組み手)イベント。パンチやキックなどではなく、“ひたすら寝技を競うだけ”というルールのもと、5人1チームで戦う競技です(8分1本勝負)。

これまでも「雑誌破り」「フライパン曲げ」「パイナップル潰し」などの芸で怪力ぶりをみせてきた福島は、QUINTETに魅せられて以来、週6日柔術道場に通う日々。43歳になっても、ファイターとして着実にレベルアップし続けています。

その福島と桜庭親子が、7月13日(火)に後楽園ホール行われたエキシビジョンマッチで対戦。ルールは、試合時間5分以内は双方いずれかが「一本」を取っても、改めて中央から試合を再開するという特別ルールです。福島はSAKU Jr.(桜庭の長男)と桜庭から次々と一本を取られると、セコンドについた相方の熊谷茶とおもむろに交代する場面も。結局、2人で計7つのタップ(「参った」の意思表示)をして試合終了となりました。

試合前は一睡もできず…

——QUINTETでは、勝者は自分が負けるか引き分けるまで、相手チームの選手と闘っていく勝ち抜きシステムを採用しています。1人が相手チーム全員を一本勝ちでなぎ倒していくなんて展開もあり得て、そこも見どころの1つですね。

桜庭 そうですね。QUINTETは、阿部詩ちゃん(東京五輪柔道・女子52キロ級金メダリスト)が高校のとき4人抜きした「金鷲旗」(高校柔道大会のひとつ)を見たときに、「団体戦でやったら面白い」って思いつきました。外国の方は、日本の剣道や柔道の抜き試合(団体対抗試合)を知らないので、初めてやったときは「なんでこんなに面白いの?」って驚かれましたね。

福島 1人が試合終わって勝ち抜いたときに、全員が選手をマッサージしていて。すげぇチームワークを感じます。

——格闘技は個人戦のイメージがありますが、そうとは限らないのですね。

桜庭 僕がイメージしたのは野球なんですよね。野球は基本的に投手と打者の対決ですけど、ホームランバッターがチームのために犠牲フライをすることもあるし。

——そんなQUINTETをきっかけに、福島さんのような異色の分野からファイターが生まれました。うれしいものですか?

桜庭 そうですね。やる人が増えれば、強い人もどんどん出てくるだろうし。

福島 見て面白くて、やってもまた面白く感じるんですよね。

桜庭 あの緊張感がよくて。試合前は本当に嫌なのに、負けたら悔しいし、勝つとうれしい。終わったらまたやりたくなるんですよ。

福島 あの魅力はなんなんでしょうね。

——福島さんは先日のエキシビションマッチで、こてんぱんにやられました。やはり悔しいものですか?

福島 めっちゃ悔しいですね。試合前は一睡もできなくて、こんなに緊張したのは久しぶりでした。

桜庭 本当ですか(笑)。僕はふだん通りでしたけどね。

福島 そりゃそうですよ!(笑)

桜庭 慣れもあると思います。僕も人前でしゃべる場所に立てと言われたら、寝られなくなりますから。

フライパン曲げは「やべぇーな」

——桜庭さんと福島さんは、練習も一緒にしたそうですね。お互いの印象を教えてください。

福島 桜庭さんはスーパーレジェンドですからね。「すみません、ありがとうございます」って感じです。相手が僕みたいなクソ芸人だったので、日曜日のお父さんが子どもと遊んでくれているようなイメージではあったんですけど、それでもマットに上がると、目がギュッと上がって怖かったですね。

桜庭 事前に、福島さんはフライパンを曲げるって聞いていたんで、やべぇーなって思っていたんですよ。(先に福島と試合をする)SAKU Jr.には、「一本を取れたら取っていいけど、たぶん厳しいと思うから、とりあえず削れ!」って。僕がやったときには、福島さんヘロヘロでした(笑)。

福島 練習で5、6本スパーリングをやっても息荒れなかったんですけど、(試合では)開始1分くらいで、肩でハァハァ息していましたね。

桜庭 僕もそうなんですけど、練習ってテクニックを身につけるために、力を抜いてやるんですよ。だけど、本番だと力が入っちゃうんで仕方ないですよね。

福島 SAKU Jr.選手とはお互い柔道出身で、“倒されないぞ感”があったんですよ。でも、途中で「魅せる試合をしなきゃ」って、やったことのないタックルをして、そこから腕をとられてパキパキパキって……(笑)。
あと2カ月間、下からのキムラロック(うでがらみ)をずっと練習していたのに、なかなかうまくいきませんでした。桜庭さんの得意技ですし、キムラで勝ちたいと思っていたんですけど、まったくやるタイミングがなくて、「俺の2カ月間ムダ!」って思っていましたね(笑)。

——相方・熊谷さんのセコンドぶりはいかがでしたか?

福島 最高でした。何も(状況は)わかっていないですけど、とにかく俺を応援してくれていた(笑)。熊谷のおかげで会場が盛り上がりましたし、「いいぞ!」「上になってるよ!」って声をかけてくれて。

桜庭 試合途中で、福島さんが熊谷さんにタッチしてビックリしました。「格闘技やったことあるんですか?」って聞いたら、「ないです」って……。どうしたらいいんだろうって思いました(笑)。

福島 (桜庭が熊谷の)胸にひじグリグリをしたんですけど、1週間くらい痛かったそうです(笑)。

レジェンドファイターも人間だった!?

——桜庭さんの入場はエンタメ性が高くて、今回もおなじみのマスク姿で登場でした。入場に関して、こだわりはありますか?

桜庭 じつは入場がいちばん恥ずかしいんですよ。お客さんが盛り上がるからマスクをするというのもあるんですけど、緊張している顔を見られるのが嫌なんです。

福島 ぜんぜん知らなかったです。目がバキバキになっているのかと思っていました(笑)。

桜庭 ヴァンダレイ・シウバ(PRIDEの元ミドル級王者)だって、試合前に審判からルール説明を受けるとき、僕を睨んではいるんですけど、近距離で見るとけっこう緊張した顔しているんですよ。

福島 へー! すごい話ですね!

——そこで、「シウバも人間なんだって」感じたりするのでしょうか。

桜庭 そうです。(格闘技界のスター選手だった)ミルコ・クロコップ、ケビン・ランデルマン、クイントン・ランペイジ・ジャクソン、ホイス・グレイシーもみんなそうでした。だから、「どこかに穴があるな」って思うというか。

福島 すげぇ。何人ものレジェンドたちと戦ってきたってことですよね……。そんな方と試合できたなんて、ほんと夢のようです。

——福島さんの登場は『キン肉マン』のテリーマンの姿でした。

福島 もともとテリーマンのモノマネをしていたっていうのもあって選びました。船越英一郎と迷ったんですけどね。

週6日の練習は減らしたほうが…

——(笑)。桜庭さんから見て、福島さんの格闘家としての素質はどうですか?

桜庭 もともと柔道をやっていらっしゃって、基本的な形を知っているので、あとは色をつけていけばいいと思うんです。どこで“フライパン曲げ”の技術を使っていくかですね(笑)。
あと、(QUINTETは)年食ってもできますし、これからだと思います。ただ、週6日の練習は、もう少し減らしてもいいんじゃないかなって(笑)。僕だってPRIDE全盛期で週4ですからね。
(1週間のスケジュールは)3日やって1日休み、1日練習、1日休み、日曜日に道場のクラスがあったので、練習足りないなって思ったら、素人の会員の子たちと汗を流していました。だから、ガッチリやるのは週4くらいなんですよ。

福島 奥さんに「週2にしてくれ」って言われてますけど、「週5で!」とは返しています。

桜庭 週2は少ないですけど、週5も多いですね(笑)。週4でいいと思います。

福島 練習時間はどれくらいですか?

桜庭 2時間半くらいですかね。

福島 練習中はスパーリングをずっとやり続けると聞いたのですが、本当なんですか?

桜庭 準備運動したら2時間半、スパーリングの繰り返しです。ホイスとやったときは結局、90分やったんですけど、(試合前は)練習で2時間半やっているから、2時間は大丈夫かなって。

——福島さんは柔術を始めて約半年ですが、この時期にやっておくといいことはありますか?

桜庭 とにかく続けることじゃないですかね。いま福島さんは43歳ですよね。僕が43歳のころはガッチガチに練習していましたよ。だから、ぜんぜん大丈夫です。

福島 ありがとうございます!

——年齢を重ねていても成長できるということですね。

桜庭 します。関節なんてたくさんあるわけですから。たとえば、キムラロックを覚えたとしたら、今度は、それにつながる技があるのでそれを覚えて……。でも、別の技を練習すると、前に覚えたものを忘れちゃうんですよ。だから、また反復して、いろんな形の技をつなげていくんです。

ずっと笑顔で楽しそうに練習していたのが衝撃

——せっかくの機会なので、福島さんから桜庭さんに聞きたいことは?

福島 ふだん、どんな食事をされているんですか?

桜庭 別にふつうですよ。今日、来る前は自分でスパゲティ作りました。

——栄養面も意識していますか?

桜庭 そこまでガッチリは考えないですね。年食って油モノがキツくなったとかはありますけど、ほかは魚食ったり、朝はそんなに食べられないんで、バナナとプロテイン、練習終わったあともプロテインを飲みます。

福島 1日何時間眠るんですか?

桜庭 ベッドにいる時間は長いです。10~12時間くらいです。

福島 マジっすか! それで回復させるんですね。

桜庭 回復しているかどうかわからないですけどね。起きたら家にある酸素カプセルに2時間入ってまた寝て……って感じです。

福島 僕、いま腕をケガしているのですが、ケガをしたときのモチベーションってどうしたらいいですかね?

桜庭 試合が終わった直後は治すのが大事なので、とにかく休む。できない期間が長引くので、休むときはガツンと休んだほうがいいですね。僕、何度か入院しているんですけど、入院のときが最高にうれしいんです。「やったー! 練習しなくていい!」って(笑)。福島さん、足は動くと思うので、足を絡める練習をやればいいんじゃないですか。

福島 桜庭さんと一緒に練習したとき、衝撃だったことがあったんです。殺伐としているのかと思ったら、ずっと笑顔で楽しそうに練習しているんですよ。それで、僕もこういう空気で練習やりたいなって思ったんですよね。

桜庭 笑っているときがいちばん幸せで、練習は楽しくやらないとなって。キツいのは、中高生のときくらいでいいんじゃないかなって思います。

福島 桜庭さんって、すべてが異次元なんですよね。練習のときも、本気でぶつかるんですけど、お父さんに高い高いされているような感じになるんですよ。小細工は一切効かないし、「何やってもムリ!」っていう空気になるんですよね。

——プライベートの話も聞かせてください。桜庭さんが、いまハマっているものは何ですか?

桜庭 「TSUTAYA」にハマってますね。今年、初めてTSUTAYAに入会したんですけど、TポイントがTSUTAYAから生まれたものだって知って、よく行くようになりました(笑)。
むかしのドラマや映画が好きなので、映画の『戦国自衛隊』(1979年)、『八甲田山』(1977年)とか。アニメだと『機動戦士ガンダム』とか『新世紀エヴァンゲリオン』とか借りていますね。あとは酔っ払ったときは、YouTubeでむかしのK-1を見ます。これは何度か言っていますが、「マーク・ハントVSジェロム・レ・バンナ」はめちゃくちゃ面白い!

——ご自身のベストバウトは?

桜庭 最近だと、福島さんとやった試合ですね。

福島 えー(笑)!

桜庭 片足タックルで入って、足を払って、アキレス腱固めでいくって考えて試合したら、見事に決まったので、僕のなかでのベストバウトです(笑)。

——今後の活動の予定や目標を教えてください。

福島 5人集めて桜庭さんチームに挑みたいです。あとは、東京・ルミネtheよしもとにお呼びして、こっちの主戦場でも戦いたい。

桜庭 今度は僕が眠れなくなります(笑)。僕は、プロレスラーとしてプロレスリング・ノアに出ているのと、次回のQUINTETは11月に予定しています。もしよかったら(選手として)どうですか?

福島 いやいやいや(笑)! 見には行きたいですけどね!

 


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