お笑いコンビ・シャンプーハットのこいでが3年間、連載を続けてきたマンガ『パパは漫才師』(小学館)の最終巻となる第7巻が、ついに発売されました。人気芸人がおくる家族の物語も、いよいよ完結。大人気マンガの創作秘話を、本人にたっぷり語ってもらいました。

『パパは漫才師』はこいでと3人の子どもたちとの日々を描いた、ハートフルストーリー。どこか懐かしかったり、なぜか感動したり……こいで家の日常にクスッと笑いながら、いつしか心がほっこり温かくなる作品です。小学館のコミック配信サイト「サンデーうぇぶり」の好評連載が単行本になり、今回、その最終巻が7月12日(月)に発売されました。

7巻まで描けてよかった

──最終巻が発売になった現在の心境から聞かせてください。

とりあえず、ありがたかったなと。ふつうはド素人にいきなり連載なんてやらせてくれないですよ。ほんとは勝ち取らないとあかん席なんで、プロの漫画家の方に申し訳ないなあと思いつつ……。まあウェブとはいえ、ぜんぜん読んでもらえなかったら1巻で終わっていた可能性もあったので、7巻まで描けてよかったです。

──やり切った感じですか?

テレビとかで話すレベルの大ネタはぜんぶ描けました。テレビでは話してないネタももちろんあるんですけど、ちゃんとオチもあるような話はぜんぶ。

──これまで作品を読んできて、ご家族の反応は?

子どもたちは、小っちゃいころのエピソードやから、懐かしいというよりは「こんなことあったんや!」という感覚やと思います。大人になったときにしゃべってあげようと、小さいころのエピソードをネタ帳に書き溜めてたんですけど、それを大人になる前にマンガで出すことができたのでよかった。書き溜めてるとはいえ、「いつしゃべんねん」とも思ってたし。

──作品がそのまま家族アルバムのようになっているですね。

むかしのアルバムって、写真を貼り付けて、親がそこにコメント入れたりしてましたよね。いまはデジタル化してますけど、僕は機械音痴でそれができてなかったし、子どもたちもアナログなんで、将来ここから思い出をたどってくれたらなと思います。

──芸人仲間からの反響も大きかったのでは?

描いてる途中から、いろんな声をいただきました。(未知)やすえ姉さんが、2巻の書き下ろしで描いた話を読んで「泣いたわ」って言ってくださったり、(オール)巨人師匠は「息子が読んでる」とか。「マンガに描いていいですか?」って聞いて、誰にも拒否されなかったのもありがたかったなあと思います。

「高橋留美子先生が読んでくださっていた」

──「こんな人も読んでくれたのか」と驚いたことは?

3巻の帯にコメントをいただいたんですけど、高橋留美子先生が読んでくださっていたのには驚きました。(小学館の担当)編集者もビックリしてました。去年はコロナでなかったんですけど、小学館のパーティーで、高橋留美子先生やあだち充先生とお会いできたのもすごい財産ですね。
高橋留美子先生は、けっこう芸人のことも知ってくださっていて、パーティーのときに編集者が走ってきて「高橋留美子先生が写真撮ってほしいっておっしゃってます」と。むかしから作品を読んでいた先生ですし、すごくうれしかったです。

──小さいころからマンガを読んだり描いたりするのが好きだったそうですが、ルーツとなった作品や漫画家は?

『北斗の拳』です。

──影響を受けていると思いますか?

モロにありますね。むかしから落書きをよくしてたんですけど、(『北斗の拳』に登場するような)ムキムキのおっさんばっかり描いてました(笑)。(『パパは漫才師』は)子どもも女の人も描いたことないなかで描いてるから、改めて1巻を見たらめちゃくちゃ下手。最初は子どもたちも等身大のサイズで描いてたんですけど、「これマンガやから、リアルに影とか入れんほうがいいねんな」とか気づき出して、7巻のころには、いちばん下の子は2頭身になりました(笑)。

──マンガ制作では、どんなことに苦労しましたか?

小学館さんからは「何ページでもいいよ」って言っていただいていたので、話を作ることにしんどさはなかったんですけど、2巻の描き下ろしは20ページを超えてしまって、やっぱり1話20ページを超える作品を描くのって大変なんやなと痛感しました。

マンガ用紙に描くペンを見つけるのもけっこう大変で。むちゃくちゃ絵の上手い先生とかに「どんなペン使ってるんですか?」って聞いたら「100均のペンだよ〜」っておっしゃる方もいて、ホンマに人それぞれ。マンガ用のペンは難しいし、結局、筆ペンにしたんですけど、筆ペンってめちゃくちゃ種類あるんですよ。第1巻(の絵)が安定してないのは、筆ペンを探りながら描いてるからです(笑)。

芸人より漫画家のほうがキツい!?

──芸人と漫画家とで共通していると思うところは、ありますか?

売れてる先輩方を皆さんすごいリスペクトされていることです。パーティーで、大御所の席に若手は座りにくいからと、あだち充先生のテーブルに僕が座らされたんです(笑)。

で、僕は芸人やから、アホな質問でもなんでも聞けるじゃないですか。それにあだち先生は笑いながらぜんぶ答えてくれるんですよ。で、ふと後ろを見たら、若手10人ぐらいが、テーブル回りに立って聞いてて。2次会終わった後、けっこう有名な若手の人が「緊張して聞きたいこといっこも聞けなかったです」って言ってて……。それって大好きな先輩になかなかしゃべりかけられへん芸人の世界と通じるものがあるなあと。

──では、違う点は?

意外と東京に住んでる漫画家が減ってるということですね。いまはデジタルでできるから、パーティーでも九州から来られてる方とか、あえてちょっと田舎に住んで、データでやりとりしてる方がけっこういて。芸人はそれできないですから。

あと、芸人の最若手とめちゃめちゃ売れてる先輩の給料ってぜんぜん違うじゃないですか。でも、マンガになるとグッズ販売とか映画化、ドラマ化とかあって、儲かってる差っていうのは実は芸人よりすごいかもと。若いころってキツかったなと思ってましたけど、漫画家さんの若いころのほうがキツいんちゃうかと思いましたね。

森本大百科と蛙亭・中野がアシスタントとして大活躍!

──連載中いちばん大変だったことは?

アシスタントとして、森本大百科が背景を描いてくれて、中野(蛙亭の中野周平)がパソコンに取り込んでスクリーントーンを貼ったりしてくれてたんです。連載が始まった当時は、2人ともほとんど仕事ない状態やったから来てもらえてたんですけど、ほんまに2人がおらんかったら4コママンガになってたかもしれないです。

僕が作業部屋を借りて、週に1回、2人に来てもらって作業するので、それまでに僕が編集者とネーム(展開やストーリーがわかるラフな下書き)をやりとりして、作業日にはペン入れをするだけの状態にしておく。それが毎週キツかったですね。

——その作業をずっと続けてきたのですね。

ちょうど去年の1月から3月ぐらいは、(連載の)お休みをいただいたんです。芸人としての仕事プラス、習慣になってる筋トレと(笑)、吉本坂46にも入ってしまったんで東京にも行かなアカンようになって、忙しくて。めっちゃ体調が悪くなってきたので病院に行ったら、先生から「なにか1つやめたら」って言われたんです。だから、マンガをちょっと休ませてもらって、「体調を戻します」と。

ただ、自分に誇れるのは、3カ月休みをいただいたものの、うち2カ月は、復帰したあとの余裕のために描き進めていたこと。結局1カ月しか休んでないんですよ。最終巻あたりでは、もう5話ぐらい余裕がありました。そのころ中野が東京に行ったんですけど(蛙亭は2020年4月から東京進出)、「この作品だけは最後までやらせてください」って言うてくれて。いまは中野も忙しくしてるんで、(連載が)終わる時期やったんかなと思いますね。

──いろいろな出来事があった3年間だったんですね。

マンガを描いてたエピソードだけで、もう1本書けそうなぐらいでした。

次作はラブロマンスならぬ“ボケロマンス”!?

──作品を通じていちばん読者に伝えたいことは何ですか?

6巻に収録されている『子どもが教えてくれたこと』の内容です。親が自分に望むことはいったい何やったんやろうと考えたとき、楽しく過ごしてる姿を見せることがいちばんの感謝の表現というか、恩返しになってたんやなあということを、子どもに教わったという話ですね。
この話をなにかのイベントでしたとき、聞いてた女と男のワダちゃんが泣き出して。取材で写真を撮られてたから、「もし写真だけ載せられたら僕がセクハラしたみたいになるやん」と思ってました。危なかったです(笑)。

──今後、描いてみたいマンガはありますか?

まだどこにも出してないけど、2つ描いてて。1つはギャグマンガ、というか僕のなかではラブロマンス……“ボケロマンス”やなあ。やさしくて一生懸命がんばってる主人公が、結局、最後に誤解されて、その人だけ悲しいオチを迎えるっていう。
じつは、もともとこれを小学館さんに持って行ってたんですよ。でもそこで、「いましか描けないマンガを描きませんか?」って言われて『パパは漫才師』になったんで、ぜひこれをどこかで描きたい。
もう1つはヒューマンドラマ。『見守り人(仮)』っていうタイトルで、事故で仮死状態になった主人公の話です。でも、描いてて思ったんですけど、シリアス系は僕の画力じゃ無理やなあと(笑)。だから、下描きだけの選考みたいなのに出すか、誰か描いてくれっていうクラウドファンディングにするか……と思ってます。

──どちらも読める日が楽しみです! 最後に、読者にメッセージをお願いします。

たぶん僕らが子どものころも、親から聞いてないこのような話がいっぱいあったと思うんです。将来、子どもに伝えるほどの大ネタじゃないちっこいエピソードや、かわいいエピソードがたくさんあって、毎日、親はそんなん感じてくれてたんやろうなと。だから、自分の子ども時代と照らし合わせて読んでもらうのもいいかなと思います!

書籍概要

『パパは漫才師』第7巻
発売日:7月12日(月)
判型:A5判/192頁
定価:1,200円(税込)

詳細はこちらから。


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