若手芸人の登竜門である今年の「ABCお笑いグランプリ」は、激戦の末にオズワルド(畠中悠、伊藤俊介)が優勝を飾りました。まれに見る好勝負となった今回の大会で、勝敗を分けたのはなんだったのか――その秘密を探るべく、審査員を務めた矢野・兵動の兵動大樹と、ダイアンのユースケに緊急インタビュー! 知られざる審査のポイントや、番組で話せなかった思いなどを聞きながら、芸人ならではの鋭い視点で決勝戦の“裏側”を振り返ってもらいました。

7月11日(日)に開催された決勝戦に進んだのは12組。ファーストステージでは、Aブロック(Gパンパンダ、さすらいラビー、オズワルド、さや香)、Bブロック(パンプキンポテトフライ、ダブルヒガシ、コットン、蛙亭)、Cブロック(チェリー大作戦、赤もみじ、カベポスター、空気階段)にわかれて争われました。

そしてファイナルステージは、各ブロック1位だったカベポスター、蛙亭、オズワルドが順にネタを披露。得点は、それぞれ672点、665点、676点でした。

審査員は、兵動とユースケのほか、小沢一敬(スピードワゴン)、陣内智則、濱口優(よゐこ)、山内健司(かまいたち)、そしてリンゴ(ハイヒール)という錚々たるメンバーが顔をそろえました。

出典: ©ABCテレビ

「いつもにも増した緊張度だった」

――まずは、今回の大会の総評から聞かせてください。

兵動 何年か連続で審査員をやらせてもらっていて、毎年、難しい審査になるなと思ってるんですけど、やっぱり今年もかなり難しくて。出場者のネタのレベルが高くて、いつもにも増した緊張度の、すごい戦いになったと思いますね。

ユースケ 去年と比べても、今年はコロナもあって例年ほど劇場でネタを仕上げられないなか、完成度が高くて。僕らが出ていたときより、すべてのレベルが上がってる感じがしました。

――ABCお笑いグランプリは、数あるお笑い賞レースのなかで、どんな位置付けなんでしょうか?

兵動 権威ある賞ですよね。番組のオープニングでも言うてますけど、(テレビなどで)売れ切っている人たちって全員、これを通っていってるという感じがするので、本当に特別な、次のステップに行くための大事な賞じゃないかな、と。

ユースケ 子どものころから見てきた賞レースで、歴史もありますし、これを獲って売れていくというのは、ずっと変わらないですね。むかしは関西だけ(の参加)でしたけど、最近は東京からも参加してるし、素晴らしい賞だと思います。

――おふたりは、この賞に何か思い出はありますか?

兵動 僕の記憶違いじゃなければ、この賞をいただくと、次の違う賞でまわりが本命視してくれるというか(笑)。これを獲ってから、仕事がはっきり確実に増えたっていうイメージです。

ユースケ 僕らは2回くらい本戦に出てるけど、賞には絡んでないんです。だから悔しい思いのほうが大きいですね。
当時、めっちゃ緊張しましたから、ホンマに。僕もですし、相方も。それで、怖いんで早口やったり、テンポが早なったり。とにかく、そういう「緊張した!」って思いが強いんで、みんなすごいなって。たぶん緊張もしているんでしょうけど、あんまり見えないですし。やり方も上手で、ネタの内容とかも、ぜんぜんレベルが上がってると思うし。

審査で迷いに迷ったときの決め手は…

――審査はどういった基準でするんですか?

兵動 難しいっすね〜(笑)。なんやろ、おもしろいっていうのは絶対ありますけど。所作とか、演じる力とか、自分のなかで項目をいくつかに分けて、少しずつ点数をつけて、平均を出して。(点数の)スイッチは押すんですけど、それまでにすごく葛藤があって、横(の審査員を)見たくなるというか……。

ユースケ (笑)

兵動 左右見て違うかったら、「合わそかな」とか(笑)。それくらい緊張するんですけど、最後には自分の責任やと思って押してます。あったらアカンのですけど、多少は好みも出てくるというか。だから審査員が複数いると思うんですけど。

ユースケ 僕も、いくつか細かいところもあるんですが、基本は総合的に見てます。あとは自分の好きな感じのが出てきたら、好みも入ってしまうし。でも好みを超えた素晴らしいものを見せられると、それが上位に来たりとか……。自分のなかでもよくわからない(笑)。僕が本来、好きなタイプじゃないのに、それを凌駕して素晴らしいと「ああ、すごいな」となるし、そのときによりますね。

――今回、好みを超えてきた、すごいと思ったコンビはいましたか?

兵動 どうやろ、今回ほど拮抗したのも珍しい。ほんまに「どうする、どうする」って直前まで悩んで。

ユースケ (うなずく)

兵動 もうそうなると、最後は自然と好みになってるのかもしれない。

ユースケ 今回、ファーストステージの各ブロックの1組目がすごくおもしろくて、「あ、(勝つのは)このコンビなんかな」と思いきや、残る3組がみんなおもしろいっていう。本当に「もうちょっと時間くれ……」って。

兵動 (笑)

ユースケ 1回、持ち帰りたいくらい。4組終わったらすぐに(採点を)入れてって言われるので、本当にちょっと相談したいくらいでした。

CM中にほかの審査員と…

――それこそ、ほかの審査員の評価が気になるのでは?

兵動 気にするっていうより、CMに入ったときにみんな小声でしゃべってるんです。それが自分と合ってたら安心する(笑)。

ユースケ (笑)

兵動 (自分と)違うかったら「あれっ!?」とかもあるんですけど、基本、僕は押すときに責任を持って押してるので、あまり気にはしないですね。

ユースケ 僕も正直でありたいと思ってます。去年、皆さんが「1位」を付けてたコンビに、僕だけ「4位」を付けたことがあって。そんときは「あっ……」と思うんですけど、まあそういうもんやし。自分に正直に、自分の気持ちでっていうのはあります。

出典: ©ABCテレビ

――審査の際に、必ずここは見るというポイントは?

兵動 難しいなぁ〜。どこを見るのかって聞かれると、(コンビによって)それぞれ見るところが違って、テンポ、間、おもしろさ、演じる力、構成くらいのなかからまとめてるので。
オズワルドの最後のネタとかは「決勝で難しいところ放り込んでくるなぁ」って。でも、「ああなるほど、こういうふうに仕上げてきたんや」っていうのもあるし。カベポスター(永見大吾、浜田順平)とかは、笑いの爆発力とかで見方が変わったり。蛙亭(中野周平、イワクラ)は1本目が自転車撤去、2本目はポイ捨てダメっていう設定のおもしろさに引っ張られたりするし。
だから各コンビで引っかかるところが違うんです。でも、それをトータルしないとダメなので、気になるところは変わりますね。

ユースケ 僕もそうですね。コンビによってポイントが違うというか。僕も総合的に見るのと、あとは蛙亭の1本目みたいな面白い設定もあるし、コットン(西村真二、きょん)のネタの“携帯灰皿のなかの銘柄がぜんぶ違う”とか、そういう細かな部分も印象に残ったりしますね。

出典: ©ABCテレビ

カベポスターのネタの運びは圧巻

――そんななか、ファーストステージのAブロックでは、審査員全員がオズワルドを1位にしていましたね。

兵動 さっきユースケも言うてたんですけど、もう1組目から「これで決まりなんちゃう」っていう連続やったんです。でも、そこでオズワルドはもうワンパンチ打ってきた。みんなすごいパンチなんですけど、印象に残るパンチをもらったというのがあるので、Aブロックはオズワルドかなと。

ユースケ 僕はAブロックがいちばん悩んだんです。でも、総合的に見たときにオズワルドかなと思いました。

――Cブロックでも、1位を獲ったカベポスターをおふたりとも1位の評価に。

兵動 ほかのメンバーもおもしろかったんですけど、順位を付けないとダメなので、そのなかではカベポスターの漫才のネタの運びとかは圧巻やなって。
カベポスターはボケに行くまでに、いろんな手法と言葉遣いと、あとはツッコミの言葉でちょっと違うように見せてる感じとか、すごい実力があるんやなぁってびっくりしました。去年と比べても、僕のなかでは「すげえ」って。やっぱりこの1年、劇場になかなか立てへんなかで成長してくるのはすごいなぁと思いましたね。

ユースケ ほかの組もおもしろかったですけど、カベポスターは終始よくボケてましたし。ああいう感じのネタをあそこまで全部ウケさせるって、なかなか難しいと思うし、すごいなって。

出典: ©ABCテレビ

――一方で、Bブロックでは、1位を獲った蛙亭を兵動さんは2位にしていました。

兵動 正直、2組で悩んで蛙亭に2位を付けたんですけど、ホンマにもうこれは理由がないというか。(決め手は)ネタが始まった瞬間にグッと持っていかれた気持ちですね。だから、ホンマに「誰か押して」って感じになったんですよ(笑)。

ユースケ (笑)

兵動 正直、ほかの人もすごかったんですけど、最終的にそこはやっぱり好みが出てしまったかもしれないですね。

ユースケ 兵動さんが言ってたみたいに、それぞれ面白いところが違うんですけど、僕は、総合的に見たときに、あのなかでは蛙亭かなって決めました。

出典: ©ABCテレビ

兵動 ホンマにユースケが言う通り、(審査の)時間短いですわ(笑)。あの短さでどんだけ考えなアカンか。

ユースケ ホンマに(頭が)グーッてなって……。

兵動 いまでもこんだけ悩むのに、それをあの時間でどっちかってなったら、ホンマにもう……。

もうカベポスターと蛙亭の両方優勝やろ

――ファイナルステージのカベポスター、蛙亭、オズワルドのそれぞれのネタは、どうでしたか? 1組目のカベポスターからお願いします。

兵動 おもしろかったんですけど、「コントなんや、そうなんや!」っていうびっくりはありました。1本目にあんなにえげつない漫才を見せてもらったから、2本目も、追撃でえげつないのを持ってくるんかなと思ってたら、コントやったんで。僕のなかでは新鮮というか、びっくりでしたね。そのままの流れで漫才でいきそうやのに、すごい幅の広い芸人さんやなぁと。

ユースケ 僕も漫才とコントが分かれてたのは、「ああ、そうなんや」って。でも、絶対に漫才でとかじゃなく、この設定やったらコントのほうがいいとか決めてるんかなと思いました。そこもすごく柔軟性があって。2本目もめちゃくちゃウケてましたし。

出典: ©ABCテレビ

――2組目の蛙亭はどうでしょう。

兵動 めちゃくちゃすごかったです。あそこで1回、混乱させられたというか。カベポスターのすごいのを見せられたあとで、ぜんぜん違う世界観の蛙亭が来るから、「どうしたらエエねん。もう両方優勝やろ」ってなるんですよねぇ(笑)。

ユースケ (笑)

兵動 1本目を強めのネタで行くのか、2本目に置いとくのか、そういうのは各コンビであるんですけど、もう終わった瞬間にパニックでした。「どうしたらエエねん」って。比べるもんが違うから。ホンマに「来年(審査員)辞めたろかな。こんなしんどいか〜」っていう(笑)。だから、(どれかが)劣っててくれたほうが楽なんですよね。でも劣らんから。ちゃんと激突していくから。

ユースケ 蛙亭はああいう男女コンビで、ネタじゃないところでテレビとかにも出てるのに、ネタもちゃんとしてる。設定もおもしろいし、しっかりネタで勝負してるんやってところがすごい。しかもガチのヤツやって。“男女”で濁してる感じじゃなく、ガチおもろいやつ。だからすごいな、素晴らしいなって。東京でさらに力をつけてるんじゃないですか。

出典: ©ABCテレビ

「風吹いてるヤツが勝つ」

――優勝したオズワルドについては?

兵動 ゆっくり出てきて、すでに1回目で聞いてるのに、また自己紹介する。あの時間、怖がらへんって(笑)。ふつうの寄席やったらぜんぜんいいけど、賞レースって時間が決まってるわけでしょ。1秒でも早く、みんな笑い取りたいはずやのに、決まりごとか知らんけど、あの肝の座り方はすげえなって。わかりやすいネタでもなかったし、それをやり切ったって、やっぱりすごいです。

――確かにすごくウケてました。

兵動 そして、おもしろいっていう空気プラス、獲るんかなぁ〜っていう空気を出してたというか。決勝はみんなおもしろかったから、僕の好みでそうなったかしれないですけど、「(グランプリ)行くんちゃうかな」っていうのが、やる前、出てきたときくらいからあった気がするんです。
まあ底力って感じですかね。凄みを感じましたね。でも、本当に点数付けるのは迷いました。

出典: ©ABCテレビ

ユースケ オズワルドは、ゆっくりとしたっていう印象じゃないですか。でも実際、後半とかはそうでもないというか、リズムが出てくる感じ。だからそういう印象を与えてる時点で、リズムを変えるのも効いてくるでしょうし、すごい上手というか。もちろん内容もおもしろいうえでのこういうスタイルやからこそ、テンポとかも緻密に考えてやってるんやろなって思いました。

――オズワルドはこれまでと印象が違いましたか?

ユースケ ふだん劇場とかで会っても、そんなにしっかり見てないんです。でもしっかり見てみると、ちゃんとあの4分のなかで計算してやってるんやって。後半盛り上げるし、ああいうスタイルであれができるのはすごい。めちゃくちゃ完成度高いなって感じました。
それと兵動さんもいま言ってはったけど、獲るヤツの雰囲気、みたいな。「風吹いてるヤツが勝つ」とか、そういうのを聞いたことがあって。オズワルドに風が吹いてるかどうかはわからないですけど(笑)。ただ、どこかそういう「行くんかな」みたいな雰囲気は出てたと思う。そういうのも、あるんでしょうね。

出典: ©ABCテレビ

――オズワルドにメッセージはありますか?

兵動 なんやろ……年を重ねるにつれて、どういう漫才になっていくのか。こういう感じのコンビはあんまり見たことがないので、これがどんなふうに変化していくか、めちゃくちゃ楽しみにしてます。

ユースケ ABC優勝して、このあと決勝常連のM-1もありますんで、また素晴らしいのを見せてもらいたいなって感じです。

――ズバリ、オズワルドはM-1でグランプリを獲ると思いますか?

ユースケ このABCで優勝してますし、ぜんぜんあるんじゃないですか。何年も決勝行ってるから経験もありますし。もともとですけど、さらに注目かなという感じがします!

 


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