5月16日(木)に兵庫県・関西学院大学で、国際的バイオリニストの山瀬理桜氏が、北欧研究入門科目の非常勤講師として講義を行ないました。この授業は北欧についての理解を深めることや、ノルウェーでの学生生活の魅力を伝え、留学先として検討してもらう目的で設置されたもので、約100名の受講生が参加しました。

ノルウェーが認めた日本で唯一のハルダンゲルバイオリニストとして、これまで多数のCDをリリースし、国内外で1000回以上のコンサートを行なうなど精力的に活動している山瀬氏。その実力は、スタジオジブリ作品『ゲド戦記』への演奏参加や宮崎駿監督の短編アニメ『水グモもんもん』の音楽監督も任されたほどです。

人材育成にも積極的で、これまで50人の生徒を指導。独自の奨学金制度を立ち上げてノルウェー留学を支援したり、北欧文化を日本に紹介する(社)日本ハルダンゲルクラブを設立したりと、ノルウェーと日本の架け橋のような役割を担っています。これらの功績から、2018年には日本初のノルウェー・ハルダンゲル地方の親善大使に任命されました。

このたび、北欧文化を訴求する活動の第一人者として関西学院大学・北欧研究科目の非常勤講師に就任。この日、初の講義を行ないました。

初の講義がスタート!ノルウェーの魅力について伝える

いよいよ講義がスタート。イントロダクションでは、“ノルウェーとはどんな国か”をテーマに、ノルウェーと日本の共通点や相違点などを紹介していきます。蒲焼でなくスモークでうなぎを調理するといった食文化の違いや、ムンクなど、ノルウェー出身の有名人の話に、学生は熱心に耳を傾けました。

幸福度ランキング上位常連!ポイントは平等・福祉・娯楽

国連が発表する「世界幸福度ランキング」では、ノルウェーは常に上位争いをしているとのこと。その理由について、山瀬氏は「新しい変化を恐れず、最新のものをどんどん試すから」と見解を語り、「平等」「福祉」「娯楽」の3つの観点からノルウェーについて説明しました。

“年齢・性別・立場・人権を問わず平等である”という考えが徹底されているノルウェー。その平等意識は国会議員の男女比や、男性の育児休暇取得率にも現れています。そして、ノルウェー語には敬語表現が少ないことを例に、日本ほど上下関係が厳格ではないことにも触れ、「最初は戸惑うかもしれないけど、私はいいと思いました」と肯定的に述べました。

また、高福祉国家のノルウェーでは18歳まで医療費が無料で、大学進学も無償。その分、税金は高めですが、使い方に関しては透明化が図られていることも付け加えました。

ちなみに、カラオケのようなエンタメ系の娯楽は少ないそう。豊かな自然のなかでクリエイティブな遊びを考えたり、コミュニケーションを楽しんだりすることが、ノルウェーの娯楽だそうです。

歴史都市トロンハイムは留学におすすめ!リアルなエピソードも

ノルウェーでの学生生活について話がおよぶと、「首都のオスロは外国人も住みやすく、日本人在住者も多いですが、それだけにノルウェーらしさは薄い」と山瀬氏。おすすめの滞在先として、歴史都市・トロンハイムを挙げ、実際に在住している山瀬さんの姪のリアルなエピソードを交えて魅力を伝えます。

課外活動については、オーケストラや写真などの文化系サークルから、ダンス、アウトドアなどのスポーツ系、バー経営などのユニークなものまでバラエティ豊か。「人脈づくりに役立つから、サークルには参加した方がいい」とアドバイスしました。

また留学志願者が気になるであろう、授業や試験についても解説。「時代に合ったシステムを学んできて、自分の将来に活かしてもらえたら」とエールを送りました。

学生たちからも多くの質問が

最後は学生からの質問タイム。「大学入試における日本との違いは?」「ノルウェーの学生のアルバイト事情は?」といった身近なものから、子育てやエネルギー事情といった難しい質問まで、山瀬氏はひとつずつ丁寧に答えていきます。「新しい取り組みには問題がつきものですが、“まずは進めてみて、起こった問題をみんなで解決していこう”というのがノルウェーの考え方」とまとめ、最後は拍手で講義が終了しました。

講義を終え山瀬氏は、序盤は「少し学生たちがおとなしいかな」と感じたものの、質問がどんどん出たことには「感激しました!」と笑顔を見せ、手ごたえを感じた様子。今後もこのように、ノルウェーの魅力を伝える機会を増やしたいと、これからに期待を込めました。