2019年の関西演劇祭受賞者の野村有志による一人演劇ユニット、オパンポン創造社の待望の本公演『オパンポン★ナイト〜ほほえむうれひ〜』が、東京・こまばアゴラ劇場で上演されました。約2年ぶりとなるこの本公演は、短編3本からなるオムニバスで、テーマは“静かに騒ぐ短編集”。2月の神戸公演に続いて3月5日(金)に開幕した東京公演は、『サンセット』(初演2019年)、『てんびんぼう』(初演2020年)に新作『bikeshed』を加えた3作の会話劇という構成。今回は、公演直前に行われた公開ゲネプロの様子をレポートします!

今回の公演で、全作品の脚本と演出を手掛ける野村。『関西演劇祭2019』で演出賞・脚本賞をダブル受賞し、2020年にはドラマ『あのコの夢を見たんです。』(テレビ東京系)の脚本(10話・12話)を務め、NHK連続テレビ小説『おちょやん』にも出演するなど、精力的に活動の幅を広げています。

出演者にはその野村をはじめ、『関西演劇祭2019』 ベストアクター賞受賞の川添公二(テノヒラサイズ)、飯嶋松之助(KING&HEAVY)、伊藤駿九郎(KING&HEAVY / theatrePEOPLEPURPLE)、成瀬遥(テアトルアカデミー)、殿村ゆたか(MelonAllStars)らが名を連ねました。

謎のボタンを巡る人間模様

短編3本の最初は『サンセット』。2人の男が、なにやら言い争いをしている場面から物語が始まります。

彼女から翌日のフルマラソンに誘われているという男・日野(飯島松之助)は、先輩の落合(川添公二)に「一緒に出よう」としつこく誘っていますが、落合はまったくその気がない様子。聞き分けのない日野にうんざりしているところに、もうひとりの男・月村(野村有志)が登場します。

ラフな服装の2人とは対照的に、刑務官のような服装で現れた月村は、2人の堂々巡りの会話も耳に入らない様子。それもそのはず、3人にはこれから、人の運命を大きく左右する“ボタン”を押すという大仕事が待っているのです――。

重大な仕事を前に冷静でいられない月村に対して、慣れた様子の日野と落合は、おしゃべりをやめません。「静かにしてもらえませんか? 不謹慎じゃないですか」と怒る月村に、「しゃべったほうがラクやで」と言い返す日野と落合。

少ない登場人物ながら濃密なセリフの応酬で、謎が深まるシチュエーションの全貌が見えてきたときに物語は一気に社会性を帯びてきます。

「浮気」告発それぞれの思惑

続く『てんびんぼう』の舞台は、セミの鳴き声が聞こえる“取調室”のような一室。芸能記者・田代(伊藤駿九郎)の前で、法子(成瀬遥)が書類にサインをしています。実は法子は、オリンピック選手・小野田の彼女で、彼の浮気を芸能誌に告発しに来ていたのです。すると、そこにスポーツ記者・瀧(野村有志)がやってきて、「このネタは出せない」と言い張ります。

柔道で2大会連続「金メダル」のスター選手が、今度は陸上男子100mに転向する。しかも、その理由は、亡くなった婚約者の夢を叶えるため――いま国民は、そんな純愛物語に酔いしているところだと主張する瀧は、「そんなすごい人を浮気ぐらいで潰していいのか!」と法子を責め立てます。しかし、よくよく話を聞いていくと、どうやら自分が担当している小野田の特集をジャマされたくないだけなのでは? という疑問が浮かび上がり……。

結局、3人にはそれぞれ自分勝手な思惑があり、その立場が微妙に変化していくセリフ回しが見ものです。

セミの踊り食いで大激論の新作

最後は新作の『bikeshed』。簡素な部屋にテーブルとイスがセッティングされ、白髪で長髪の男(殿村ゆたか)とその孫・フクスケ(飯島松之助)が座っています。2人の前に置かれた料理皿には、なんとセミが。

セミを食べようとする祖父に「やめてよ!」「ふざけてる!」と怒るフクスケ。しかし、祖父は「まだ見ぬ世界が広がってるかもしれないじゃないか。見なきゃ人生損だろ?」と笑顔。さらには「ジジジ……」と鳴くセミを見て、「生きてんだな、まだ……。これは踊り食いなのかな?」とつぶやくと、「セミの踊り食いを食いながら、今夜は俺たちも踊り明かそう!」と鼻歌を歌いながら踊り出します。

とうとうシェフ(野村有志)を呼んで、どういうつもりか問いただすフクスケですが、やがて祖父と言い争いになり……。セミを巡って食べる食べないの大激論となるなか、フクスケはふと「俺はこんなことを話しに来たわけじゃない」と我に返ります。フクスケは本当は何を話したかったのか。そして祖父の正体と、その後の運命は……。

絶妙にリンクする3作品

エピローグでは『サンセット』のメンバーが再び登場。翌日の彼らの日常のひとコマがユーモラスに描かれ、余韻を残します。

野村は、公演に向けてこうコメントしています。

「1人ユニットであるオパンポン創造社が 2都市(神戸・東京)公演を打つには苛酷過ぎる昨今ですが、 だからこそ上演したいと心から思える短編が書けました。 どうか1人でも多くの方に届きますことを。劇場でお待ちしております」

ユーモラスかつ哀愁ただよう会話劇でありながら、人間の本質を鋭く突くようなセリフにドキッとさせられる――そんな3つの作品が絶妙にリンクしている構成も見どころです。

公演概要

オパンポン創造社本公演『オパンポン★ナイト~ほほえむうれひ~』
作・演出:野村有志
キャスト:野村有志、川添公二(テノヒラサイズ)、飯嶋松之助(KING&HEAVY)、伊藤駿九郎(KING&HEAVY/theatre PEOPLE PURPLE)、成瀬遥(テアトルアカデミー)、殿村ゆたか(Melon All Stars)

<東京公演>
3月5日(金)14:00~ 18:00~
3月6日(土)13:00~ 17:00~
3月7日(日)13:00~ 17:00~
会場:こまばアゴラ劇場(東京都目黒区駒場1-11-13)
チケット:前売3,900円 当日4,500円

<神戸公演>
2月26日(金)18:00〜
2月27日(土)13:00〜 17:00〜
2月28日(日)13:00〜 17:00〜
会場:神戸アートビレッジセンター KAVCホール


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