M-1グランプリ(以下、M-1)2010年王者の笑い飯・西田や、2017年王者のとろサーモン・久保田ら実力派が注目する若手コンビ・コウテイ(下田真生、九条ジョー)。いまお笑い界で最も注目を集める2人が、5月31日(金)に東京で第1回目の単独公演『勢濃・牙栄童(ゼノ・ゲイド)』を開催します。
2013年に結成し、現在は大阪のよしもと漫才劇場を中心に活動している2人。NSC大阪35期生で、同期はゆりやんレトリィバァ、ガンバレルーヤ、おばたのお兄さん、ひょっこりはん、からし蓮根など個性派揃い。「先に行かれた感はありますけど、いつでも抜ける自信はあります」(下田)「僕らだけの道を開拓したい」(九条)と、さらなる高みを目指しています。

出典: ラフ&ピース ニュースマガジン
自らも認める“不仲”ながら、それを感じさせないほどお互い顔を寄せ合いカオスな世界を展開していく、自称「超不完全究極肯定完全感覚奇天烈漫才」は中毒になること間違いなし! オール巨人からも「不思議な漫才」と評されるなど、異彩を放っています。
2019年は『漫才Loversスペシャル ytv漫才新人賞決定戦(以下、ytv)』の決勝に初進出したほか、5月31日(金)の単独公演チケットも即日完売。いま、お笑いフリークから熱い視線を浴びるコウテイに迫ります!
下田、相方からの食事の誘いに「1回は断った」

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――今年はytvでファイナリストに。賞レースで初めて決勝に進出されましたね。
九条「正直なところ、M-1だけ狙っとけばいいかという気持ちで臨んでいたんですが、昨年のM-1は3回戦で落ちて面食らって。そのあと2人だけでご飯に行ってじっくり話し合ったこともあって、ytvの決勝に進むことができたんですけど……。もうね、ほんまに嫌いなんですよ。相方が!」
――(笑)どちらがご飯に誘ったんですか?
下田「それは九条ですね」
九条「自分を押し殺して、プライドをスパナでペシャペシャに叩いて1ミリもない状態にして“メシ行こうや”って言いました」
下田「僕もプライドはあるんで、ちゃんと1回断りまして(笑)」
――え!?
下田「対面にこいつがおるだけでキツいんです。食事も、お酒も置いてないようなラーメン屋で」
九条「原価40銭っていう噂がある大阪でいっちばん安いラーメン屋。そこで2~3時間くらい話したんじゃないですかね」
下田「麺が伸びきって塊になってました(笑)。けど、そこで腹割って話せたことが、僕らにとって大事な起点になりましたね」
九条「M-1で敗退してなかったらytvの決勝には行けなかったし、今の僕らもなかったと思います。初めて決勝に進めて、ずっと面白いと言ってくださっていたミキさんや見取り図さんなどの先輩方が、“ほんまによかったなぁ”って声をかけてくださったのは嬉しかったですね」
一度目は“しょうもないケンカ”で解散

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――そもそもコンビを組んだきっかけは?
下田「NSCが一緒のクラスで。授業中の班も一緒で、しかもたまたま同じマンションに住んでいて。こんな運はなかなかないってことでコンビを組みました」
九条「うちのマンションは、ほかの住人がちょっと変で……赤大根女とか、全身ビニール袋ヘビ男とか。“誰かと結託しとかな”って不安もあったからかもしれませんね」
――これまでに2度解散しているそうですが、1度目は何が原因だったんですか?
九条「芸人同士でマリオパーティをしていたとき、僕がこいつにファブリーズをかけるっていう何が面白いんかわからんボケをやったら、頭をパンと叩かれて喧嘩になって。そこから叩き合いになって、こいつの見えへんパンチが僕の顔の真ん中にズムッと入って(笑)」
下田「ひゃはは! 凹んでたなぁ、顔」
九条「同期が止めるなか、そのまま馬乗りでボコボコにされて顔が血だらけに」
下田「それまでの不満が積もってそうなったんですけどね。で、解散しました」
九条「そこから4、5人とネタをやってみたんですけど、しっくりこなくて。2ヶ月後に僕から“やっぱりお前はおもろいわ”って、もう1回誘いました」
下田「僕はその間ピンでやってたんですけど全然面白くなかったんで、ほんならもう1回やってみよかって」
――プロとしてスタートを切ってからは?
九条「NSC時代に、構成作家さんにネタ見せして順位をつける企画で2位になって。これなら卒業後もいけると思ったんですけど、プロになってからのオーディションは強制終了ばかりで」
下田「それが2~3年続いた気がします」
九条「ウケへんから仲も悪くなって。ある日のライブ前に、“ほんまのちゃんとした解散。お前となんか一緒にやりたない。ただ、今日は出番が決まってるから出るわ”って言われたんです。“どうせ最後やし、めちゃくちゃしてもええわ”と思って、僕もボケて乗っかる感じのネタをやったら優勝できたんですよ」
下田「そのとき、“あぁ、これなんや”って気づいたことで、もうちょっとだけ続けてみることにしました」
九条「そこからオーディションも受かるようになって、劇場のメンバーにも入るようになりました。あれも1つの転機でしたね」
お互い嫌い。でも、ネタはこいつとしかできない

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――二度目の解散は?
下田「芸歴4年目のときですね。特に僕が、“相方が嫌い”って気持ちが勝ってしまって」
九条「“お前とM-1優勝しても嬉しない。お前と優勝するくらいなら売れんほうがいい”って言われました。解散してから僕は20人くらいとネタをやったんですけど……なんなんですかねぇ? “やっぱり元カノよかったなぁ”みたいな気持ちになって、もう1回声をかけたんです」
下田「僕はピンでやってて、それなりにいい感触だったんですけど、ネタを書くスピードがバチボコに遅くて。月に新ネタ3本でヒィヒィ言うてたときに、もう1回やり直さんかって言われて腹を括りました。けど、その半年後にまた解散しそうになって」
九条「そのときは、よしもと漫才劇場の支配人の方が“先輩方にもそういう時期はあったけど今はうまくいってる。なんとかなるよ”って繋ぎ止めてくださった。あの言葉がなかったら、支配人が別の方やったら……」
下田「別のコンビになってたでしょうね。しかも、昨年8月くらいにも解散しようと言うてましたし」
九条「お互い嫌いなんで、すぐそうなるんですよ」
下田「ただ、ネタはね?」
九条「こいつとしかできないです。ネタは僕が書いてるんですけど、書いてる段階より面白いボケになるってすごいこと。そこはほんまに尊敬してます」
下田「僕もそうです。こいつの発想力はすごい。ほかの芸人とは違うかたちになる九条の発想力を評価してます」
九条「……いいコンビですねぇ、僕らは! 結果も出つつある今はこいつじゃないとあかんって思ってますし、お互いに鬱憤を溜めんようにもしてるので、解散しようとは全く思ってないです」
追求するのは“自分たちにしかできないこと”

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――ネタ作りで大事にしているのはどんなところですか。
下田「ほかの人と被らないところですかね。僕らにしかできないことを、追求してやるようにしてます」
九条「うんうん……いやぁ、素晴らしいです。言いたいことを言ってくれました。ほんまに僕らやからできる笑いを追求したいですね。けど、脱線しすぎちゃダメやというか。ピカソがキレイなものが描けるところから派生してああいう絵を描いてるように、僕らもそうしないと。万人に伝える要素を残しつつ、かつやりたい方向性に持っていくよう心がけたいです」
――コウテイさんの漫才は、革新性ときちんとした伝統的な基礎のバランスが絶妙ですよね。
九条「僕は“タイヤの顔”みたいな肖像画を描きたいタイプなんですけど、相方はその絵を商品化できるかどうか客観的に判断してくれる。こいつのおかげでどんどんウケるようになってるし、コミュニティも広がっていると思います。あとは……僕のギャグである“ズィーヤ★”ですね」
下田「ふはは! 大槍2本や!」
九条「笑い飯の西田さんとかいろんな先輩に使っていただいて、ありがたいです。いろんなところで、この指2本に助けてもらってますね」
東京の初単独は「これぞコウテイ」というものを

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――5月31日(金)の単独ライブでは、どんなことをやる予定ですか?
九条「濃いライブにしたいですね。漫才だけじゃなくコントもやっているので、今までのいいコント、イヤぁなコント、クサぁ~いコントとかもやりたいなと」
下田「詰め合わせパックみたいなね?」
九条「しゃべくり漫才もやりますし、“これぞコウテイだ”っていうものを見せたいですね。第1回が即完したので第2回も近々できたらと思ってますし、ゆくゆくはルミネtheよしもとでもやれるようになりたいです」
――九条さんは顎の手術を終えたばかりですが、順調に回復しているようですね。
九条「医者に“ありえないスピードで回復してる”と言われました。手術が終わった瞬間に、医者が“大大大成功です”って言うたんですよ」
下田「めちゃくちゃ成功してるやん(笑)」
九条「そうなのよ。まだ少し腫れてるんですけど、東京で単独をやる頃にはシャープな僕になってるはずです」
下田「イヤやなぁ……。僕との顔の大きさの差がエグいでしょ? 手術でさらに小顔になったので、正直並ぶのがキツいです」
九条「このまま順調に治れば、東京単独の頃には僕、絶対男前ですわ!」
――男前な顔での、東京単独の成功を祈ってます!(笑)では、最後に近々の目標を教えてもらえますか。
九条「もうすぐエントリーが始まる『ABCお笑いグランプリ』で、グランプリを獲りたいなと。相方が霜降り明星さんにお世話になってるので、同じ系譜を歩んでいけたらいいなと思ってます」
――大きな目標としてはいかがですか?
下田「テレビのレギュラー番組が欲しいですね。もちろん、M-1優勝が先ですけど」
九条「僕は面白いことは板の上で起こると思ってますので、ずっと劇場に立っていたいですね。で、NGK(よしもとなんばグランド花月劇場)の外観を鈍色にしたいです」
下田「ずーっと言うてるなぁ、鈍色!」
九条「NGKの入り口に書いてある師匠方の名前を全部真っ黒に塗って、僕らのロゴを並べたいです。僕らが大阪を変えていきますよ!」
コウテイ第一回東京単独公演『勢濃・牙栄童』
出典: ラフ&ピース ニュースマガジン
日時:5月31日(金)開場18:45/開演19:00
会場:ヨシモト∞ホール
チケット:前売1,800円/当日2,000円
覚大晩『惰理亜・楽房(ダリア・ラボ)』
日時:6月7日(金)開場19:45/開演20:00
会場:よしもと漫才劇場
チケット:前売1,500円/当日1,800円