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先日、作品投稿サイト「note」で大反響を呼んだBKBの超短編小説が書籍化されたというニュースをお届けしていました。
書籍は早々に重版も決定。Amazon売れ筋ランキングでも8月18日(火)になんと売上トップという好成績をおさめるなど、大人気となっています。

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話題の50作品

©ヨシモトブックス
出典: ラフ&ピース ニュースマガジン

作品投稿サイト「note」で大反響を呼んだ「すぐ読めて、もう一度読み返したくなる」というBKBのショートショート(超短編小説)。
作家デビュー作となる本書には、SNS上でも話題沸騰の表題作ほか、noteに投稿された作品を厳選。さらに書き下ろし5作を加えた全50作品が収録されています。
なんと著者であるBKBによるセルフレビュー付き。
恋愛、ミステリー、SF……思わず涙してしまう感動作からクスッと笑えるブラックコメディまで、多彩なジャンルで魅せる大どんでん返しの連続。
読者の予想を裏切り続ける小気味よく、ついつい読み返したくなってしまうストーリーが盛りだくさんの一冊となっています。
今回は年末年始のおうち時間に皆さんに読んで頂けるよう、50本のうち2本を特別公開!
BKBからは一言メッセージが届きました!

BKBからみなさんへ

「歴史に刻まれるであろう大変な2020年でした。今はゆっくり信号待ちしましょう。そしてお暇だったらBKB(爆読してみてください、この、ブック)」

『花言葉』

俺は、いつものように、彼女に合う花を探していた。

「スイートピーはこの前あげたし、その前はカンパニュラだったし、たまにはストレートにバラもありか……」

花はいい。
何の悩みもてらいもなく、みずみずしく咲き誇り、優しく悠然と散りゆく花々。彼女はそんな綺麗な花々に、とてもよく似ている。

……なに恥ずかしいこと考えてんだ俺。

柄にもない思いを巡らせて花を決めあぐねていると、もうすっかり顔見知りとなった花屋のおばちゃんが話しかけてくる。

「あらいらっしゃい、今日はどの子たちにしますか?」

花を〝子〟と呼ぶおばちゃんに、俺は一気にもっていかれたのを覚えている。このおばちゃんもまた、みずみずしく咲き誇ってきた人なのだろう。

「はい、今日はバラにしようかと」
「いいじゃない、バラをもらって喜ばない女性はいないですよ」
「ですか」
「そうですよ。万が一、喜ばれなくても、優しくしてあげてください。トゲのある態度はダメですよ」
「はは。ありがとうございます」

いつも少し粋なことを言うおばちゃんだ。バラを包んでもらい、いつもの道を歩く。今日は少し風が強い。バラが震えるように揺れている。まるで風邪をひいた〝子〟のようだ。

またもや、そんな柄にもないことを考えているうちに、彼女の元へとたどり着く。

今日は何を話そう。
誰にでも優しい彼女。
見た目より幼く見えることを気にする彼女。
鼻声の彼女。
よく泣く彼女。
その何倍も笑う彼女。
少しガンコな彼女。
猫もいいけど犬も好きな彼女。
本が好きな彼女。
曲がったことが大嫌いな彼女。
大好きな、彼女。

苔(こけ)ひとつない、手入れが行き届いたお墓の前に立ち、俺はつぶやく。
「……元気?」
つぶやいた刹那、目頭が熱くなる。
「俺、結婚することになったんだ」
あれ、おかしいな。
「だから安心してよ」
もうあれから随分たってるのに。
「今度、奥さんを紹介するよ」
涙が出る。
「色々報告があるんだけど」
涙が出る。
「うまく言えないや」
きっと風が強いからだ。
「ごめんよ」
きっと砂が目に入ったんだ。

「孫の顔くらい、見せてやりたかったよ」
帰り道、吹き抜ける風の中、母が好きだったクチナシの花の香りを微(かす)かに感じた気がした。

書籍概要

『BKBショートショート小説集 電話をしてるふり』

©ヨシモトブックス
出典: ラフ&ピース ニュースマガジン

発売日:8月12日
価格:定価1,200円+税
ページ:256ページ
版型:四六版 並製
発行:ヨシモトブックス
発売:株式会社ワニブックス
ISBN:978-4-8470-9946-5 C0095
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