8日間にわたって開催された『関西演劇祭2020』の表彰式が11月29日(日)、大阪市中央区のCOOL JAPAN PARK OSAKA TTホールで開かれ、脚本賞や演出賞など7つの賞の受賞者が発表されました。昨年までの「最優秀作品賞」にあたる「MVO(Most Valuable Opus)」を受賞したのは劇団「May」。さらに、2021年秋に第3回の開催が決定したことも発表されました。

激論だった「ベスト演出賞」

表彰式では各賞の受賞が発表され、受賞者たちの喜びの声と、審査員らの総評が語られました。

【ベスト脚本賞】ばぶれるりぐる 竹田モモコ
【脚本賞】May 金哲義、くによし組 國吉咲貴
プレゼンター:スペシャルサポーター(審査員) 西田シャトナー氏(劇作家・演出家)

受賞者コメント(ばぶれるりぐる 竹田モモコ)
「身に余る光栄をいただき、とてもうれしいです。このご時世に劇場に来ていただいたお客さま、オンラインで観てくださった方々、なんとか演劇祭を開催しようと心砕いてくださったスタッフの皆さまにお礼を申し上げます。ありがとうございました」

西田氏の総評
「素晴らしい脚本がたくさんあり、そのなかでも選ばせていただいたのは、(高知県の)幡多弁で描かれた台詞でストーリーをつむぎながら、言葉だけで世界を描く、こんな世界ですよと説明しなくても、やりとりのなかで田舎町の、舞台の向こうの風景まで見えるような、世界観が広がる脚本でした。単なる人間関係だけに収まらない、大きな世界を描かれたことが、われわれのなかでも決め手になったと思います。すべての人に届く作品を脚本として描かれたというところが素晴らしいなと思って選ばせていただきました」

【ベスト演出賞】May 金哲義
【演出賞】くによし組 國吉咲貴、ばぶれるりぐる チャーハン・ラモーン
プレゼンター:スペシャルサポーター(審査員) 行定勲氏(映画監督)

受賞者コメント(May 金哲義)
「このたびは本当にこのような賞をいただき、ありがとうございます。大変な中でいろんな劇団さんが挑まれたのですが、そのようななかで自分がこのような賞をいただいて恐縮です。今回、僕はメンバーたちを信頼していたので、ほぼ演出はしなかったんです。頼れるメンバーで一緒に遊べたという思いです。ありがとうございました。これからもよろしくお願いします」

行定氏の総評
「演出賞は激論でした。これは誰を選べばいいのか、と。それは今年の成果だと思います。甲乙つけ難いものがありましたが、結果的に1つ選ばないといけなくなった時に、Mayの演出を導き出した金さんになりました。ほとばしる熱さとエネルギーを舞台から感じられて、これを能動的に観客が受け取ったというのは、第2回目の(演劇祭の)1つのトピックとなって、すごく熱いものを感じました。そこに圧倒されたところが評価されました」

新喜劇・佐藤が「役者として認めていただけた」

【ベストアクター賞】劇団アンサング・ヒーロー 佐藤太一郎
【アクター賞】May 北野秀気、、劇団乱れ桜 とだただし
プレゼンター:スペシャルサポーター(審査員) 桜井賢氏(NHK大阪拠点放送局チーフ・プロデューサー)

受賞者コメント(劇団アンサング・ヒーロー 佐藤太一郎)
「私はふだん吉本新喜劇で活動していまして、なかなか新喜劇のメンバーは役者として見られることが少ないんです。そのなかで、こういう演劇祭でベストアクターという形で役者として認めていただけたことを本当に嬉しく思います。今回、出演したメンバーはもちろん、それ以外にも新喜劇のメンバーには役者として通用する人がたくさんいますので、ぜひよかったらそっちのほうも注目していただけたらな、と思います。本日はありがとうございました」

桜井氏の総評
「アクター賞の選考も激論でした。今回の(演劇祭の)ひとつの特徴として、圧倒的な主演という形の舞台が意外と少なくて、ある種、群像劇のような表現のなかで誰をアクター賞として選出するかということは、非常に激論になりました。

そのなかで佐藤さんが演じたのは、シチュエーションコメディーという形で、笑わせにいくのではなく、やりとりのなかで笑いがあふれていくという作品。すごくストイックに劇団をまとめられただけでなく、膝から崩れ落ちて『あー!』という演技など、なかなかできることではないと思います。なにが始まるんだろうという期待感のある作品を、見事に牽引された存在感は圧巻でした」

【ベストアクトレス賞】劇団乱れ桜 佐野あやめ
【アクトレス賞】May 鄭梨花、ばぶれるりぐる 東千紗都
プレゼンター:スペシャルサポーター(審査員) 桜井賢氏

受賞者コメント(劇団乱れ桜 佐野あやめ)
「こんな素敵な賞を本当にありがとうございます。いま本番より緊張しているので頭が回っていないのですが、すごく夢のような気持で、でもこれが現実なんだなという、自分の劇団の舞台にもう一度立ったみたいな気分で、とても嬉しいです。ありがとうございます」

桜井氏の総評
「アクトレス賞もアクター賞と同じく激論になりました。それぞれの劇団のなかで印象に残っているアクトレスがたくさんいて、どなたに差し上げようかという議論になりました。劇団乱れ桜の作品は、ある種ファンタジーなのですが、いまを生きている人たちに届ける力のある作品だと思いました。佐野さんの演じるヒロインはとてもみずみずしくて、真実に迫るお芝居に、審査員のなかでも心を打たれ、その力強さに圧倒されました」

観客の支持がダントツ

【審査員特別賞】Artist Unitイカスケ 青木道弘
プレゼンター:フェスティバル・ディレクター 板尾創路(お笑い芸人)

受賞者コメント(Artist Unitイカスケ 青木道弘)
「ありがとうございます。ひとつ評価をいただいたということですごく嬉しいです。この『関西演劇祭』を機に青木は仕事が増えたぞ、という感じになって、また、小劇場の若い子たちが『関西演劇祭』に出たら光が見えるぞ、みたいな夢が膨らむような活躍ができるように明日からも頑張りたいと思います。(審査員の)櫻井さん、特によろしくお願いします。いつでも(NHKの)朝ドラ待っています!」

板尾の総評
「青木さんの個性、主役芝居、その“感じ”とかにすごく期待させるものが多く、なにか魅力的な、印象に残る方で、ぜひ特別に保護しないと、このまま野に放ったらお芝居を辞めてしまわれるのではないかとか、そういう意味で僕個人ですけども、青木さん個人に差し上げたいなという賞です。来年も元気な姿で主役のお芝居を待っています」

【観客賞】キミノアオハル
プレゼンター:フェスティバル・ディレクター 板尾創路

受賞者コメント(キミノアオハル)
「たいへん光栄な観客賞をいただきまして、こういう状況下で足を運んでいただいた皆さまと、オンラインでたくさん観ていただいたお客さまに、キミノアオハル一同、感謝申し上げたいと思います。ありがとう」

板尾の総評
「初日からすごく観客に支持されて、すごかったですよ。ダントツというか。すごい得票で、お客さんが感動した、素晴らしかったという証だと思います。これを励みに来年、再来年も頑張ってください」

次のレースにメダルを下げて走るランナーはいない

【MVO(Most Valuable Opus)】May
プレゼンター:「関西演劇祭2020」実行委員長 羽野晶紀(女優)

受賞者コメント(May)
「僕が大学生の時に初めて演劇という世界を知って、1つだけ演出家に教わったことで、いまでも守っていることは、朝、劇場に入ったら、必ず一番に劇場に挨拶する。これをずっと守ってきました。しかし、今年に入ってから、まずは僕たちが劇場に入ることができず、いちばん僕たちを守ってくれている劇場に挨拶することができませんでした。

それを思った時、今回、この空間でお芝居をやった劇団の人たちは、必ず自分たちのなかで重んじる、大事な礼節を犠牲にして作品を作っているんだということ、そして、その状態で『関西演劇祭』が行われたんだということを実感しました。

賞は1つの結果であり、『メダル』だと思っています。今日いただいて3日間から1週間は浮かれると思いますが、次のレースにメダルを下げて走るランナーはいません。その次の瞬間から賞は、“責任感”と“プレッシャー”になると思います。これからもどんどん作品を作っていきますので、今日、いただいた賞を励みに、そして糧にして頑張っていきたいと思います。本当にありがとうございました」

羽野の総評
「すべての劇団を観させていただいて、本当にどこも素晴らしかったです。お芝居に正解はないし、この演劇祭で皆さんが本当に頑張ってくれたことが伝わってきました。そのなかで最優秀作品賞(MVO)のMayは、金さんおひとり、劇団の中でおじさんが混じっているのですが(笑)、皆さんが若くて、金さんの率いるみんなのエネルギーがものすごかったんです。演劇ということを若い人たちがこれだけやってくれていることに可能性を感じて、お礼を言いたいなと思いました。こんな時期ですし、いろいろありましたけど、来年はもっと盛り上げたいと思いますし、今年ダメだった人はどんどんリベンジしてほしいと思います」

自分の人生のなかの出来事に感じられた

受賞者発表の後、実行委員長の羽野、フェスティバル・ディレクターの板尾、スペシャルサポーター(審査員)の西田、行定、桜井の3氏が改めて『関西演劇祭2020』を振り返って、印象を語りました。

「審査員なので誰がどの賞をもらったか、ぜんぶわかっているのですが、発表するときはドキドキして、もらったら自分のように嬉しくて、終わるのが寂しくなるくらい、この表彰式が新鮮で楽しかったです」

表彰式について、こう振り返った板尾。西田氏も、参加した劇団員たちにかつての自分を重ねて見ていたと言います。

「どうしても、見ているうちに自分の人生のなかの出来事に感じられて。すごく嬉しいんです。学生劇団で演劇活動を始めてから20~30年が過ぎましたが、いま、ここにいる若い皆さんが学生劇団をやって芝居を作っている時に、自分もまだ作っている。世代を超えた人たちと一緒に、自分もまだ作っているぞということを感じられるお祭りでした。こんなに時間が流れても、まだみんなでやってるんやということが本当に嬉しかったです」

一方、行定氏は、コロナ禍のなかでの開催となった今回の演劇祭について、こう評価します。

「映画はもとより演劇に携わる方たちは、今年は本当に大変な年で、苦しい時期を乗り越えて今があると思っています。だからこそ、この演劇祭をやり遂げたことは、すごく意味のあることだと思います」

実際、それぞれの公演で見せた劇団員たちの“熱気”は、行定氏にとっても大きな刺激になったと言います。

「僕は演劇の演出もさせてもらっていて、来年、久々にやります。だからなのか、劇団の一つひとつがものすごく刺さりました。そして、ものすごく緊張しました。ただ、最初は緊張していても、どの作品もいつしか取り込まれていきました。だからすごく意義のある、凝り固まった、緊張した気持ちを解放させてくれた演劇に出合えて感謝しています」

「たくさんのチャンスがあった」

今回が初参加となった桜井氏もまた、「刺激をたくさん受けた」と語り、こう続けました。

「時代が求めるものが何かと常に意識するのですが、(関西演劇祭では)10劇団すべて違う作品に出合い、その中でまた新しいファンや出会いができるという『劇場』の力強さを感じさせていただきました。このなかから、またテレビドラマを一緒に作る方との出会いが繋がるといいなと思っています」

最後に実行委員長の羽野が、改めて今年の演劇祭を総括しました。

自身も関西の小劇団出身で、初めての舞台は「チケット代1,000円ちょっとで、お客さんも50人入っているかどうか」というスタートだったと振り返りながら、関西演劇祭は「たくさんのチャンスがある演劇祭だった」と評価します。

「すごいな、うらやましいなと思いました。というのも、小劇場ブームと言われていた1980年代、90年代に一生けん命やっていた人がいま、けっこう偉い人になっているんですね(笑)。それが、みんなでこうやって支えて、関西の演劇界が盛り上がるようにとやってくれているのではないかと思うと、すごく嬉しくて頼もしいです。(今後も関西演劇祭が)続いていったら、きっといいことがあると思います。みんなで作っていく演劇祭だと思いました。今回、携わらせていただいて本当に感謝しています。ありがとうござました」

2021年秋には、第3回『関西演劇祭』の開催も決定(詳細は後日発表)。次回に向けてさらなる盛り上がりを胸に、今年の演劇祭は幕を閉じました。

 


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