ラフマガでは9月3日から4日間にかけて芸人ライター記事を掲載しています!
本日のライターはデニス・松下です。
芸人が芸人のYouTubeを紹介するとどうなるのでしょうか。では、どうぞ!
●なぜ!?若手芸人がこぞって出たがる
「ニューヨーク Official Channel」
その人気の秘密を暴く!
「やらない理由が見当たらない。」
ここ数年、世間的にまだ知名度のない若手芸人達が、チャンスを掴もうと、こぞってYouTubeチャンネルを開設。
コロナの影響で対人の劇場や営業がなくなったことも、この流れを加速させた。
一方で石橋貴明、さまぁ〜ず、など、数々の大物芸人もYouTubeに参戦。
時は正に「全芸人YouTuber時代」に突入。
そんな中、若手芸人でありながら登録者数10万人を突破し、コアな指示を集めているのが2019M-1ファイナリストコンビ「ニューヨーク」が開設した
「ニューヨーク Official Channel」だ。
なぜ人気を集めているのか?同期の芸人である筆者の目線から解説して行こう。
●「若手大発掘」というカテゴリーの確立
YouTubeでよく重要と言われるのが「何をするチャンネルなのか?」をハッキリさせることだ。
ペットやグルメなど、チャンネルの方向性を明確に打ち出すことで、そのカテゴリーが好きなファン層に見つけてもらいやすくなる。
単に何でも面白いことをします、といった方向性の定まらないバラエティチャンネルは、知名度が無いと視聴者に刺さりづらいのだ。
かといって、前述したグルメなど既に多くの人がチャンネルを開設しているカテゴリーは、先行者が有利でチャンネルを開設しても埋もれてしまいやすい。
YouTubeを始めるにあたってカテゴリー選びは非常に難しい問題だ。
これを踏まえた上でニューヨーク Official Channelはどうだろう?
動画のタイトルを見てみると
「ヤバい同期のネタを見せてもらったら本当にやばかった」「日本一詳しい芸人図鑑」「ケンカが強い芸人ランキング」
一見、単なるバラエティチャンネルのように見える。
しかし、これらの動画全てに共通しているのが「若手芸人」を紹介しているということだ。
まだ世に知られていないだけで有能でユーモアのある芸人は数多くいる。
ニューヨークがチャンネル内で若手芸人を紹介することによって、視聴者は今までテレビで見る機会が無かった面白い芸人を見つける事ができる。
つまりニューヨーク Official Channelは、ライバルの多い単なるバラエティチャンネルのように見せかけて、
実は、昔からテレビなどで一定数人気のある「若手発掘」というカテゴリーを踏襲しているチャンネルなのだ。
もっというと、テレビより更に深く若手の魅力を掘り下げて紹介しており、言うならば「若手大発掘」チャンネルというカテゴリーを確立している。
自分たちの良さを全面に打ち出そうとする芸人チャンネルが多い中、相手の良さを引き出すという逆転の発想で
「ニューヨークのチャンネルさえ見ておけば世に出ていない面白い若手芸人が知れる!」
というイメージを一定層の中で作りあげたのだ。
●業界視聴率ナンバー1!?
筆者があるバラエティ番組に呼ばれた時に担当ディレクターにこんな事を言われた。
「ニューヨークのチャンネルを見てオファーしたんだよ。」
確かに、この日私が番組に呼ばれたのは数日前にニューヨークのチャンネルで行った企画そのものだ。
同じ日の他の企画は「いぬ太田ひげ伸ばしすぎ問題」。
言うまでもなくニューヨークのチャンネルからのオファーだ。
それもそのはず、毎週若手芸人の企画を考えるバラエティ番組にとってニューヨークのチャンネルほど若手芸人を知れるチャンネルはない。
芸人の中では常識となっている話だが、お笑い番組などの会議では、世に知られていない芸人をキャスティングするにあたって、ネタをYouTubeで見る事が多い。
そんな中で、ニューヨークのチャンネルは、若手芸人のネタ以外の面を知りたい時の資料のような存在になりつつあるのだ。
こうなってくるとニューヨークのチャンネルへのオファーに嫌な顔をする若手芸人はいない。
若手芸人が高いモチベーションでニューヨークに自分をプレゼンすればするほどチャンネルは面白くなる。
それと同時に相手芸人の良さを引き出す側のニューヨークの評価も上がる。
このお互いに利益がある仕組みが、ニューヨーク Official Channelに高い熱量を与え、視聴者に響いているのだ。
●様々な面で躍進するコンビ「ニューヨーク」
劇場でもテレビでもラジオでも、芸人を選ぶのは特定の人間だ。
一方で、YouTubeは自分達の思ったように直接世間に配信できる。
選ぶのは視聴者だ。
キングオブコント、M-1グランプリなどの賞レースでも今年大注目株のニューヨーク。
自分たちを自由に表現出来るYouTubeという世界でも今後の彼らの活躍に期待が高まっている。
※画像・参考: ニューヨーク Official Channe